第39話 事件現場に現れるだけで怪しまれる男
昼過ぎ。
俺たちは森を抜け、次の目的地「グレン村」に到着した。
……本来なら「俺だけの寄り道ルート」で、のんびり旅情を味わう予定だったのに。
現実は、勇者パーティ五人+俺という完全アウェイ。
「お腹すいたー! 村の食堂に行こう!」
リンが真っ先に駆け出す。
「待て、リン。まずは村長に挨拶だ」
勇者カイルが真面目に答える。
うん、リーダー気質すごいな。俺なら速攻で食堂派だが。
そんなやり取りを背中で聞きながら、俺は思う。
(ま、寄り道だからこういう村も楽しもう。事件なんて、そうそう――)
「――きゃあああっ! 火事だぁぁぁっ!」
「ほら出たよォォォォ!?」
叫び声とともに村の奥から煙が上がる。
あー……うん、知ってた。どうせこうなるって。
「みんな、急げ!」
勇者カイルが走り出し、仲間たちが続く。
そして、なぜか俺も走っていた。
「なんで俺まで!?」
「現場にいなければ怪しまれる」
フェリスが当然のように返す。
「えっ、それって俺が自主的に現場に行くフラグじゃん!?」
◇
村の納屋が燃えていた。
中から子どもの泣き声がする。
「私が行きます!」
シャロが弓を構え、扉に向かう。
「待って、火の勢いが強い!」
アリシアが防御魔法で炎を押さえ込む。
カイルとリンが突入し、数分後、無事に子どもを救出した。
「ありがとうございます、勇者様!」
村人たちが涙ながらに感謝を叫ぶ。
……はい、またしても俺の出番ゼロ。
だが問題はそこじゃない。
「なあ……」
カイルが振り返り、俺をじーっと見る。
「なんで君、もう現場に来てるんだ?」
「え、いや……走ってただけで……」
「火事が起きた瞬間、すぐ駆けつけていた」
フェリスが冷静に突き刺す。
「怪しい!」
リンが指を差す。
「やっぱ事件と同時に現れるんだよ、この人!」
「まるで……」
アリシアが呟く。
「……事件を呼び寄せているみたい」
「ちょ、ちょっと待って!? 俺が放火魔みたいな言い方やめて!?」
セリーナはおずおずと祈るように俺を見る。
「……悠真さん、ほんとに無実ですよね?」
「無実だぁぁぁ!!」
――結局また、俺は「事件現場にいた謎の男」として勇者パーティの疑いを強めることになった。




