第37話 謎の旅人、強制同行フラグ立つ
勇者パーティ六人の視線が、俺の一挙手一投足を監視するように突き刺さっていた。
「さて……どうする?」
剣士リンが退屈そうに肩をすくめる。
「捕まえる?」
「尋問する?」
「拘束して連れてく?」
シャロとアリシアが物騒な提案を並べる。
「ま、待って待って待って! 俺はただの旅人! 怪しい行動なんてしてないって!」
両手をぶんぶん振って否定する俺。だが――。
「悠真さん」
勇者カイルが一歩近づいてきた。澄んだ瞳に射抜かれ、思わず後ずさる。
「僕はあなたが事件に関わっているかどうか、まだ断定はしない。でも……」
周囲が水を打ったように静まり返る。
「少なくとも、僕たちが行動を見張らせてもらう」
「……はい?」
「つまり、監視対象だ。しばらくの間、僕たちと行動を共にしてもらう」
「ちょ、ちょっと待て! 俺は自由気ままな一人旅を――」
「事件が続く中、放っておくわけにはいかない」
賢者フェリスが冷静に補足する。
「でも……悪い人じゃないと思うんです……」
セリーナが小声でつぶやくが、声は弱々しい。
「セリーナ。甘い顔は後で取り返しのつかないことになるよ」
リンがぴしゃりと言い切った。
村人たちの囁き声が広がっていく。
「やっぱり怪しいんだ……」
「勇者様たちが監視するってことは……」
「でも顔は普通っぽいけどね……」
……普通っぽいってなんだよ。褒め言葉? 違う?
(な、なんでこうなるんだよ……! 俺はただの脇役ポジションで、目立たず安全に暮らしたいだけなのに!)
結局、俺は「謎の旅人・要監視対象」として、勇者パーティの一行に組み込まれることになってしまった。
――自由気ままな一人旅、初日で終了。
(うわぁぁぁぁ! フラグが強制的に立ってるぅぅぅ!)




