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脇役な主人公補正者 ~影から世界を操る男~  作者: 源 玄武(みなもとのげんぶ)


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第35話 一人旅初日、まさかの鉢合わせ

草原の道をのんびり歩きながら、俺――佐藤悠真は鼻歌を口ずさんでいた。

 王都とは反対方向に歩き出してから半日。もうすぐ最初の寄り道スポット「ローベル村」に到着する。


「ふふん。寄り道こそ旅の醍醐味。王都に直行なんて主人公くさい真似、俺には似合わん」


 そう、俺は脇役。

 主役の修羅場に巻き込まれるなんて御免だ。

 俺はただの傍観者として、ひっそりと過ごすのだ――そう心に誓っていた。


 ……なのに。


「きゃああああっ! 助けてぇぇぇっ!」


 突如、村の方から悲鳴が響き渡った。


「……え、これフラグ?」


 嫌な予感しかしない。だが俺の足は勝手に村へ向かっていた。

 主人公補正め……マジで余計なお世話。


 


 村の入口に着いた瞬間、目に飛び込んできたのは地獄絵図だった。

 畑が荒らされ、村人が逃げ惑う。数匹のゴブリンが野菜を担ぎ、楽しそうに暴れ回っている。


「くっ、畑が……!」

「誰か、誰か勇者様を……!」


 その声と同時に、颯爽と駆けつけた影があった。


「安心してください!」

「私たちが来ました!」


 ――勇者パーティ。


 光を宿した大剣を構える勇者カイル。

 銀髪の魔術師アリシア、金髪の聖女セリーナ、元気いっぱいの剣士リン、冷静な賢者フェリス。

 そして弓を構える栗色髪の少女、弓使いシャロ。


 6人が一斉に陣を組み、村人の前に立ちはだかる。


「ゴブリンごとき、私たちに任せなさい!」

 カイルの凛とした声が響き、大剣が閃く。


 アリシアの炎が爆ぜ、リンが突撃し、フェリスが援護魔法をかける。

 シャロの矢が正確にゴブリンの額を射抜き、セリーナの祈りが村人を守る光となった。


 ……いやぁ、やっぱ主役組は華やかだな。俺の出番ゼロ。


 俺は畑の端っこに座り込み、遠巻きにその様子を眺めた。


「うん、これぞ理想の傍観ポジション。俺はただの観客。素晴らしい」


 心の中でガッツポーズを決める俺。


 


 数分後、ゴブリンは全滅し、村人たちは歓声を上げた。


「ありがとうございます! 勇者様!」

「あなた方がいなければ村は……!」


 感謝の嵐に包まれる勇者パーティ。

 俺はその光景を眺めながら「俺は脇役でいい」と満足げに頷く。


 ――が。


「……ん?」

 アリシアが何かに気づき、こちらを振り返った。


「カイル、あそこに……」


 勇者パーティ6人の視線が、一斉に俺に突き刺さる。


「えっ、俺?」


 慌てて立ち上がる俺。


「君……誰だ? この辺りの村人じゃないな」

 勇者カイルが訝しげに問いかける。


「い、いや、俺はただの通行人でして……」


 ――だが、フェリスがすかさず言った。


「戦闘が始まる前から、あの人は畑の端にいた。まるで事件が起きるのを知っていたかのように」


「はぁ!? いやいやいや! たまたまだって! 偶然通りかかっただけ!」


 俺は両手をぶんぶん振って必死に否定する。


 だがリンが首をかしげ、シャロが矢をつまんだままこちらをジト目で見てくる。


「うーん……怪しいよね、この人」

「そうね。事件のタイミングにぴったり居合わせるなんて、普通じゃない」


「……悪い人じゃありませんように」

 セリーナが不安げに祈る声まで重なった。


「ちょっ、待って!? 俺、そんな悪人顔してる!?」


 ――こうして俺は、勇者パーティ全員に「事件現場にいた謎の男」として覚えられてしまったのであった。


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