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脇役な主人公補正者 ~影から世界を操る男~  作者: 源 玄武(みなもとのげんぶ)


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第27話 逃げたい脇役、試練に追い詰められる

「悠真さーん! おはようございます!」

まだ日も昇りきらないうちから、リサの元気な声が屋敷の廊下に響いた。


「うわっ!? リサ、なんでここに!?」

寝癖を直そうとしていた悠真は驚いて振り返る。


「だって、悠真さんのお世話をしたいんです! ほら、洗顔用のお水も用意しましたよ!」

「い、いやいや! 俺は一人でできるから!」


そこへタイミングよく、セレナが現れた。

「悠真、おはよう。……って、何やってるのよリサ」


「えっ!? えっと、私はその……」

リサが狼狽していると、セレナは溜息をつきつつも静かに水盆を差し出した。

「こういうのは落ち着いてやるの。悠真はすぐオロオロするんだから」


「お、おう……ありがとう」


ほんのり赤くなる悠真の頬。

それを見たリサが慌てて叫んだ。

「ず、ずるいですセレナさん! 私だって悠真さんに――」


「朝からうるさいわね」

冷ややかな声と共に、ミリアが姿を現した。

腕を組み、長い髪を払いながら悠真を睨む。


「……あんたもあんたよ。女に世話されてばかりで情けないと思わないの?」

「ぐっ……!?」

心に突き刺さる正論。悠真は思わず俯いた。


「ふふ、まあまあ。悠真さまは甘えてくださって結構ですわ」

最後に現れたのはクリスティア。豪奢なドレス姿で、堂々と廊下に立っていた。


「私の未来の旦那さまになる方なのですから」


「なっ――!」」」」」

リサ、セレナ、ミリアが一斉に噛みついた。


こうして、屋敷の朝は修羅場で幕を開けた。



その日の昼。

領主ガルド卿が悠真を呼びつけた。


「悠真、そなたの力を確かめる機会を設けよう」

「えっ!? な、なんでそんなことに!?」


「王都から使者が来る前に、村人や騎士たちに示しておかねばならん。蒼紋剣の勇者の力をな」


「いやいやいや! 俺は勇者じゃなくて……!」

必死に否定する悠真。


だがガルド卿は意に介さない。

「三日後、領内で討伐試練を行う。魔物を退け、力を示せ」


「ちょ、ちょっと待ってくださいって!」


悠真の悲鳴はまたも虚しく空気に吸い込まれていった。


---


夜。


屋敷の庭園で涼んでいた悠真のもとに、リサが小走りでやってきた。

「悠真さん……! 討伐試練、絶対に大丈夫です。私、信じてますから!」

その瞳は純粋で、まっすぐだった。


「いや、だから俺は……」

悠真は言いかけて、喉を詰まらせる。

リサの信頼を裏切りたくない気持ちが、胸を締め付けた。


そこへセレナが現れる。

「リサばっかり悠真に近づいて……。ねえ悠真、もし怖くなったら私を頼って。私は……絶対にそばにいるから」

そう言って微笑む姿に、悠真の心臓が跳ねた。


「……ふん。結局は誰かの力がないとやっていけないってことね」

ミリアが木陰から現れ、冷ややかに言い放つ。

「……でも、あんたの背中を見てると、放っておけない自分が嫌になるのよ」


「な、なに言ってんだよ……」

悠真が真っ赤になったそのとき。


「まあまあ。皆さま、焦らなくても悠真さまは私の婚約者候補。最終的に選ばれるのはわたくしですわ」

クリスティアが優雅に笑いながら現れる。


「「「黙ってろ!」」」

リサ・セレナ・ミリアが同時に怒鳴った。


庭園に響き渡る叫び。

悠真はその中心で、ただ頭を抱えるしかなかった。


---


夜も更けた頃。


悠真は一人、窓辺に座っていた。

(……このままじゃダメだ。俺は脇役でいたい。でも、みんなが期待してる以上、逃げ続けるわけにもいかない)


胃を押さえながらも、彼は小さく呟く。

「……やるしかない、のか……」


その影を見つめるもう一つの影があった。

屋根の上に佇む黒いフードの男。


「ふふ……焦りが見えてきたな。女どもが縛りつけ、試練が追い詰める……。いずれ、お前は我らの道具となる」


不気味な囁きが、風に溶けて消えた。


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