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脇役な主人公補正者 ~影から世界を操る男~  作者: 源 玄武(みなもとのげんぶ)


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第25話 俺、脇役。婚約も英雄も勘弁!

翌日。

 王都の使者たちは領主館に滞在し、儀礼的な式典を行った。


 長い演説、乾杯の声、そして面倒な拍手。

 俺は壇上で「英雄」として紹介され、皆の前で挨拶までさせられた。


「え、ええと……俺は別に何も……ただ、転んで……じゃなくて……」


 必死に否定しても、場内は「謙虚なお方だ!」「本物の勇者だ!」と拍手喝采。

 ダメだ。完全に逆効果だ。


 式典のあと、王都の使者がひっそりと領主に近づいた。

 俺はたまたまその場に居合わせてしまい、会話を小耳に挟む。


「殿下もこの件にご注目されておられます。『英雄の存在』は、国にとって大きな意味を持つと」


「……なるほど。やはり利用価値があるか」


 低く呟いたのは領主ガルド卿。

 その目には、政治家としての冷徹な光が宿っていた。


 俺の背筋に冷たいものが走る。

 ――やっぱりな。絶対ろくなことにならない。


 一方その頃、四人娘は別室で集まっていた。


「婚約候補なんて……どういうことよ!」(セレナ)

「わ、私だって……悠真さんは……」(リサ)

「……はぁ、予想はしてたけど。ほんとトラブルメーカーね」(ミリア)

「ふふ……でも運命だとしたら、私、嬉しいですわ」(クリスティア)


 ……地獄の女子会が繰り広げられていた。

 俺がその場にいなくてよかった。いたら胃が破裂していた。


 夜。


 俺は一人、窓辺で月を見上げながらぶつぶつ呟いていた。


「……脇役でいたい。俺はただ、静かに影から眺めていたいだけなんだ……」


 それなのに、周囲は勝手に盛り上がり、誤解は積み重なり、婚約話まで飛び出す始末。

 これ以上放っておけば、本当に逃げ場がなくなる。


「……明日こそ、きっぱり断ろう」


 そう心に決める俺。

 だが――。


 その頃。


 王都の使者は館の一室で密かに誰かと会話していた。

 影に隠れた黒幕の声が、低く囁く。


「英雄を……利用するのだ。やつは自覚なきままに、運命を動かす歯車……」


「……御意」


 淡々と頷く使者。

 その瞳には暗い企みの光が宿っていた。


 翌朝。


 俺は布団を蹴り飛ばし、決意に満ちた顔で叫ぶ。


「よし! 今日こそ断る! 俺は脇役だ! 絶対に婚約も英雄もゴメンだ!」


 ――その直後、侍女が部屋に飛び込んでくる。


「悠真様! 王都の使者殿が、皆の前で改めて『英雄認定』の式を行うそうです!」


「やめろぉぉぉぉ!」


 俺の叫びが、領主館の天井に虚しく響いた。



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