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抜け殻

作者: 小雨川蛙

「勇者様?」


 その事実に真っ先に気づいたのは勇者の妻となった王女だった。


「勇者様!?」


 どれだけ声をかけても反応がない。

 かと言って死んでいるわけでもないようだ。


 王女は慌てて宮廷魔術師や賢者、さらには勇者の相棒であった回復術師を呼んで原因の究明を始めた。


「どういうことだ……?」

「ええ。死んでいるわけではないようですが……」

「はい。かと言って反応があるわけでもありません。まるで時が止まっているようです」


 皆が頭を悩ませる中、王女は泣きながら勇者に縋りつく。

 あんなにも長い旅を終えてようやく魔王を倒したのに。


 どうして急にこんなことが……!?


 すると勇者の相棒であった回復術師は言った。


「ご安心ください。ゆっくりと待ちましょう。彼があなたを置いてどこかに行くはずないじゃないですか」


 その言葉が王女にとっての唯一の救いだった。


「ええ。皆で待ちましょう。勇者様の帰還を……」




「流石に飽きたな、このゲーム」


 登場人物の悲劇など知る由もなく、子供はそう言ってゲームを大切にしまった。

 あれほど両親にねだって買ってもらったのも二年も前になる。


 子供はこうやって大人になっていくのだ。


 故にこればかりは仕方ないと言う他ないだろう。

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