3,イベントのお知らせ!
はい、前回投稿したのが8/20、そして本日が9/4
うーんこのドアホ!一旦投稿頻度を高めるために高評価とレビューとブックマークで助けて下s((殴
本当に申し訳ないです。はい。頑張って投稿頻度高めます。
前回は主人公のりん君がホーンラビットというウサギのモンスターをボコボコにするという話でした。今回はその現場を見たストーkゲフンゲフン目撃者が立てたスレから話が始まります!りん君男なのに美ロリ扱い、可哀想ですよねhahaha(他人事)
1:中級者の旅人
速報、美ロリちゃん強すぎる件について
2:風を突き抜けたバカ
>>1
さっきぶりどしたん美ロリちゃん初心者じゃないん?
3:中級者の旅人
>>2わからん、あの感じは教えられながらやっていると思うが、戦闘センスがおかしい
4:初心者旅人
>>3
俺も戦闘強くなりてぇ
5:その辺の旅人
>>3
なにがあったん内容kwsk
6:中級者の旅人
経緯を話すわ美ロリちゃんを門で見つけて、勇者と賢者についてってた話はしたよな?
そのあと気になってさりげなく俺もついてったんだ
最初は泉に向かおうとしてたと思うが、急に方向転換して平原に向かい始めた。こりゃまたなんでだと見てたら街の出口付近で美ロリちゃんがキレ始めためちゃかわよかった
7:ただの旅人
>>6
なんだただの犯罪者か
8:その辺の旅人
>>6
はよ写メうpしな
9:中級者の旅人
まぁとりあえずなんでキレてたのかは知らないが、ホーンラビットと戦おうとしてた
ほんで勇者と賢者が手伝おうとしないからネットに晒そうとして動画を撮り始めたんだよ
10:初心者旅人
>>9
有能すぎ
11:風を突き抜けたバカ
>>9
天才だろはようp
12:中級者の旅人
http://************
13:美ロリ信者
>>12
美ロリちゃそえへへ///ペロペロしたい
とか思って動画開いたらとんでもないなホンラビ可哀想
14:旅する冒険者
>>13
やばいやついて草
15:ただのバカ
>>12
なぜ美ロリちゃんは武器を買わずに平原に行った?
あと拳のダメージって確か最低の1じゃなかったか?どーゆーことぉ
16:中級者の旅人
>>15
おそらくパーティクルからして身体強化を使ったんだと思うが、使い方がおかしい。発動時間が短すぎる
あと多分武闘家だからだと思う
17:上級冒険者
>>16
僕も見た、確かに発動はしてたが攻撃の瞬間のみのクリティカルヒットだった。おいそれとできる芸当じゃないぞ普通に考えて初心者じゃないのではないか?
18:中級者の旅人
>>17
それも思ったが、初心者じゃないならなぜ駆け出しシリーズなんだ?
防御力0の見た目だけの装備だぞ、それにアイテムをわざわざ拾ってからインベントリに入れたんだ、普通なら自分が倒したモンスの素材はインベントリに直接入れるだろう?
19:冒険中の四天王
>>18
俺もみたぞ、あれは初心者特有の動きだ
それにおそらく勇者マサトのそぶりからして教えながらの行動をとっている
ただ戦闘センスが抜群ゆえ俺も一度手合わせ願いたい
20:南無阿弥な旅人
美ロリちゃそかわよすぎて死ぬ
21:初心者旅人
>>20
それなあの白と金のグラデーションすこすこ
22:旅する冒険者
>>20 >>21
わかる一生見守りたい
23:中級者の旅人
>>21
マジそれな
まぁ一旦美ロリちゃんは初心者だと「思われる」ってことで処理しようか。美ロリちゃんはログアウトしたっぽいけど、ベンダムには滞在するだろうからお前ら接触はするなよ?あくまでも見守るだけだ
24:旅する冒険者
見守るという名のストーk((殴
25:冒険中の旅人
>>24
お前は知りすぎた
26:冒険中の四天王
なんだ、一戦交えるのもダメのか?
27:美ロリ信者
>>26
戦闘狂め!美ロリちゃそが怖がったらどうするのだ
ゲーム自体から去ってしまうかもしれないのだぞ!?
28:冒険中の四天王
>>27
それは困るぞ、俺はあの猛者とやり合いたいのだ
ゲームからいなくなってしまうなどダメだ
29:中級者の旅人
>>28
イベント大会まで待っとけ、あの戦闘センスならおそらく出場するだろう
30:冒険中の旅人
>>29
貴様天才か?
31:ただの旅人
とりあえず美ロリちゃそは遠くから見守ることにしようはい話おわり四天王は大人しくイベント情報探しとけ
一方その頃の陽夏は…
「...お兄ちゃから連絡が来ない......なんで?監視してるのがバレた?いやでもそれならカメラを取り外しているはず、ならどうして?そういえば今日カメラに女が映ってた、アイツか?アイツが私のお兄ちゃを?許せない...許せない許せない許せない許せない許せない許せ
「ひなっちゃーん?ご飯できてるわよ〜降りてきて〜!」
陽夏は留学先のホストファミリーの声掛けで我に帰った、そしてはーいと返事をして食卓へ向かって行った。
一方その頃のりんは、何もなかったかのように爆睡していたのだった (ドアホ)
〜次の日〜
「はぁぁぁぁ学校だりぃぃぃぃ...」
俺は毎朝6時から弁当を作り家を出る、別にこれが面倒なわけではないが「学校」という単語が嫌なのだ。しかも夏休み明けだぞ憂鬱すぎる...
「昨日のやりとりのせいで聖人と永峰のやつに会うのなぁんか気まずいな...」
昨日、ゲームで一緒にプレイしてたが元々は会話すらしたことないただのクラスメイトだったのだ。そりゃあ気まずいに決まってる。そう思ってたのだが....
「おっはよりんちゃぁん!」
「ぅぅぉおっうぅ....」
「なにその反応めっちゃ傷つく」
いやごめん。と言いながら俺は考える
普通気まずくね????
と。どうやら彼女には強いメンタルが備わっているようだこりゃ勝てる気しない聖人助けて。
「朝からつるむとか仲良いねぇアイツら」
「あーゆー関係だっけ?そもそもりんクンまさっち意外とあんま喋らないじゃん?」
「たしかにー!」
おうギャルども俺がぼっちみてぇな言い方しやがってぶちのめすぞ。
「おーぅりん、なんかこっちの方が違和感あるなお前手術してあの姿なってこい」
と少し失礼な言い方をするこの金髪高身長野郎は聖人。なんかいつもよりテンション高いな?あんま人のことおちょくる奴じゃなかったはずだが。あと永峰、お前それなーとか便乗してんじゃねぇぞ泣くぞ?
「まぁ俺の姿はどうでも良いとして、なんかやけにご機嫌じゃん、なんかあった?」
「さすが我が友僕の機嫌がわかるか!実はな?WSOの次のイベントが決まったんだよ!」
「マジかよ初耳」
「だと思ったよ今日の朝からトレンド入りしてるのに気づかないのはお前だけだろうな」
スマホを開いてトレンドを見てみると、確かにWSO新イベントと載っていた。教室のみんなもその話題で持ちきりのようだった。
「んでまぁイベント内容は...」
と俺がサイトを開いて確認しようとすると聖人が自慢げに話し出した。
「次のイベントはなんとイベントに参加する全プレイヤーでバトルロイヤル!!今までのイベント対戦は全て1v1か2v2、もしくは2つのパーティで競うものだったが今回は無差別!!公式からはパーティやペアを組んでも良いとのことだからソロのプレイヤーはキツいだろうな。初期スポーン位置は完全ランダム、人が減るごとにマップも狭くなっていく形式だ。マップは公開されたけど把握しきれんくらい広大で思わず笑ってしまった!上位の1000位以上はその順位に応じた報酬と称号がもらえるらしい。僕はもちろんチャンピオンしか取りに行かないけどね!プレイヤーのレベル統一はしないから初心者はだいぶキツいイベントだ。でもりん!お前は出るだろう!?さぁさぁ早くレベル上げて強くなってくれ!」
ご機嫌すぎるだろめっちゃマシンガントークだったぞあんま頭入ってないがとりあえずバトルロワイヤルってのだけはわかった。
「まぁ早くレベル上げたいのは山々だが、レベルが上がる条件がわからん、未だに1だぞ」
「りんちゃんそこは私が説明しよう!」
なんか急に出てきたけど、説明してくれ。と言ったらめっちゃくちゃご機嫌そうに話し始めた。
永峰の話は丁寧でわかりやすかった。内容をまとめるとこうだ、ステータスには表示されてないが、モンスターを倒したり、何か作ったり、依頼を達成するとXPなるものが手に入るらしい。それが一定数たまるとレベルが上がるそうだ。
「めっちゃわかりやすかったサンキュ」
「まぁ私はどっかの誰かさんと違ってちゃんと説明できるもの。わかりやすくて当たり前ね」
聖人はなぜか嫌味を言われてることに気づいていない。バカなのかな?
「レベルっていったら、2人はどのくらいなんだ?」
「僕は23だ!」
「私は19ね。平均は確か12くらいじゃなかったかしら」
「えお前ら高すぎね?あと平均低くね?」
「まぁ僕たちはトッププレイヤーだし、WSOも割と最近からリリースされたばっかのゲームだからね。でもお陰でインフレとかは無いし良いんじゃないかな!」
まぁそうだよな、PvPのゲームでレベル差の暴力とか嫌だよなぁ。
「はい皆さん席についてくださぁい!予鈴なったでしょ!」
そう言いながらセカセカと教室へ入ってくる。教室にいる人はそれぞれ、あー予鈴鳴ってたのか。話盛り上がっててわかんなかったや。授業だりぃ。また後ではなそ!など言いながらそれぞれ席についた。
「今から放送があります、良く聞いてて下さいね」
先生がそう言い、少しすると放送が始まった
『えー全校生徒のみなさん、突然ですが大事なお知らせがあります』
神妙な声色で話し出す先生にみんなは息を飲んで耳を澄ませる。
『なんと』
なんと?とみんなで復唱する。
『校長先生が!』
校長が?とまた復唱する。
てか呼び捨てで良いんか?
『WSOのイベントに向けて全校生徒&教師帰宅してPvP鍛えてこいとのお達しだ全員喜べぇぇええ!!!!』
うぉおおおおおおおおおおおおおぉおおお!!!!!!!
と学校中の教室から雄叫びが上がった。めちゃくちゃうるさいと思いつつもすぐ帰れることに喜びを隠しきれず、俺も思いっきりガッツポーズをした。
「はいそれではみなさん帰りのHRは無しです即帰宅!!!」
先生のその言葉が火蓋を切り、第一回全校生徒帰宅猛ダッシュ大会が開催されたのだった…
〜20分後〜
とりあえず帰宅はした、風呂に入ろうかと思ったけど汗はかいてないので着替えてからWSOにログインすることにした。
「ふぃー。今日は何しようかなぁ?あっ、レベルがまだ1だからなぁ、平原に行ってうさぎちゃん狩りでもしようかね」
そうしてログインすると、今日は平日なのにいつもよりログインしている人が多いような気がした、やはりみんなイベントに向けてなのだろうか?
「とりあえずなんか早朝にアップデートがあったらしいから情報を見ましょうかね、【メニュー】!」
俺がそう言うと目の前に半透明のボードが出てきた。パネルを操作してお知らせのところを開くと、レベル1からでもステータスに称号が付けられるようになった事、装備の合計防御力が見れるようになったこと、他にも色々追加されてたが、案の定イベントの開催日と内容が乗ってあった。
イベント開催日は今月20日〜23日の3日間らしいあと2日しかねぇじゃねぇかふっざけんなぶちのめすぞ。
「ねぇねぇお嬢ちゃん」
まぁ開催までの期間意外に不審な点はないし、楽しそうなイベントだなぁ
「お嬢ちゃんってば〜」
いやぁでも俺初心者だし、装備も揃ってないし、レベル差キツいしなぁ
「お〜い!無視しないで〜!」
「さっきから近くでやけに大声でナンパしてるやついるな...こんな朝っぱらから女遊びとかイベントやらない人なのかな...」
と呟きながらふりかえると、そこには高身長で赤い髪、黄色の瞳をした青年がこっちを見ていた。うぉおっ!?と俺は咄嗟に後ろへ下がった。
「やっとこっち向いてくれたぁ!ねぇねぇお嬢ちゃん、君ソロ?もし良ければ一緒に遊ばない?」
「俺に話しかけてたのか...中々慣れないなこの世界...」
「ん?なんか言った?ごめんね聞き取れなかったや」
と申し訳なさそうに言うこの男、装備からして初心者ではなさそうだし、マジでナンパしてるだけなんかな
「あーごめんなさい、お...私、今友達を待ってて...」
とりあえずそれっぽい嘘ついてみたけど、こんなのよく思いつく言い訳だしバレそう...人が多いし走っては逃げられない...次の手段を考えねばこのナンパ野郎から離れられねぇ...
「そっか!じゃあしょうがないね!ごめんね急に知らない人が話しかけちゃったりして。君見た感じ初心者だから、少しキャリーしてあげようかなって思っただけさ」
あっさり諦めた、なんだただのナンパ野郎じゃなくて良い人か...
赤い髪の男はすたこらさっさと離れていった。本当にただ心配してただけのようだ。
「あーアイツのせいで忘れてた、今のステータス確認しなきゃだった」
そうして開きっぱなしだったメニュー画面からステータスのボタンをタップする、すると画面が切り替わりステータスが表示された。
名前:メル 性別:女 所持金:500G
種族:下位魔族(特定の行動で進化が可能です。現在は進化できません)
職業:魔闘家
Lv.1 HP:20/20 MP:15/15 状態:良好
攻撃:12 防御:5 素早さ:10
【装備】
武器:未装備
・駆け出しの髪飾り ・駆け出しの服 ・駆け出しのズボン ・駆け出しのブーツ
合計防御力:0
【スキル】
・身体強化 ・ド根性 ・追い風 ・ ・
(スキルスロットは残り2枠です)
【称号】
・(スロットに称号がセットされていません)
モンスター討伐数:1 死亡回数:1
ってまてまてまてまてまてまて、俺の種族今初めて知ったけど下位魔族!?俺人間じゃねぇのかよ!?そしてこの称号って項目は確かアプデのやつか一つしか付けれないんだな。マサトたちはもう20レベくらいだし付けてるのかな?
「あこれ色々タップできる...」
そう呟きながら俺がまず最初にタップしたのは種族の項目だ。当たり前だろうが知らないうちに人間卒業してんだもん。
【種族:下位魔族】
魔族の中の下位種族。下位だからと舐めてはいけない。魔力量が多く近接戦闘を嫌う傾向があるが、個体によっては多少の接近戦もできるようだ。
また魔族種は同族または他の種族を倒しても獲得できる経験値〈XP〉が少ない。そのため多くの命を刈り取ろうとするのでとても獰猛性が高い。
聖属性が弱点であり、回復ポーションでもダメージを喰らうほどである。
・進化経緯
無し
進化経緯無しってのはつまり俺はあの美人さん(謎のお城で出会った運命?の人)に魔族にされたわけではないのか...そしてレベル上げにくいってこれマジ??まぁ正直しょうがないではあるけど...
「うわこれマサトにも相談しずれえええぇ...とりあえず次の項目見るか...」
そう言いながら俺は称号の項目をタップした。
【称号】
・(スロットに称号がセットされていません)
《女帝に選ばれし者》《人ならざる者》《名付け親》《うさぎ狩り》《男?女だろ》
Hint!
各称号にはそれぞれ称号スキルが付いています。スロットに称号をセットすると、その間常時発動します。
ほーん称号にもスキル付いてるのか、あと俺のこと馬鹿にしてるよなこの称号!?なんだよ女だろって!!しかも称号スキルは【女子力】!!何このスキルどこで活躍すんだよ!?
あとあの美人さんやっぱ偉い人だったんだな女帝って書いてあるもんねうん。称号スキルは...【自動回復】【武闘の心得】か、えめっちゃ良くね?内容は自動回復は30秒にHPが1増加、武闘の心得が攻撃力に+2かえめちゃんこ良いじゃん早速セット〜♪
【称号スロットに《女帝に選ばれし者》がセットされました。称号スキルの『自動回復』『武闘の心得』が発動します。スキルスロットは使用しません。】
【ステータスに変化がありました。攻撃:12→14】
「なんか強くなった感あるぅ!でも今からレベルあげようとしてもイベントまであと2日しかないんだよなぁ...」
そうして腕を組みながらその場で悩んでいると、ピロンッと音が鳴った。なんだろう?とメニュー画面を見てみると、マサトからチャットが送られて来ていた。
:Chat
|new!|
マサト:りん、一緒にイベント出ないかい?
メル:いやいや俺足引っ張るからパスで
マサト:そっかぁ残念、でもイベント終わったらまた一緒にプレイしよう!
メル:おうりょい
「なんだ、俺が足を引っ張らないとでも思ってんのか?こちとらレベル1ぞ?」
そう言いながら俺はチャットを閉じてその場を立つ。そして平原の方角へ歩き出した。別にレベル上げをするわけじゃなくてただただ散策したいだけだ。
「そういえば前平原に行ったとき、確か奥に森があったよなー。敵強そうだけど回復ポーションでも買って行くか!マサトの情報では森の中にあるダンジョンなる建物?場所?にはレアな素材があるらしいし〜」
少し駆け足で回復ポーションを買いに行き、1本購入したが全財産である500Gは0Gになってしまった。非常にバカである。
〜数分後 平原の奥・森の入り口〜
「ここが森の入り口かぁ、中々木がデカくてファンタジー感あるなぁ!」
目の前に広がる森は一つ一つの木がとても大きく、木の実もデカい。サイズ感が違いすぎてすこし戸惑うが中々綺麗な景色だ。
...昔の事を思い出す。
「さてと、一応ここにくるまでにホーンラビットを7体ほど狩ったけどまだレベル1かぁ。多分貰えるXPが減らされてるのが理由なんだよなぁ」
多分育てたら強い種族なのかねぇ。などとぶつぶつ独り言を言いつつも森の中へ入る。
ちなみに倒したホーンラビットの中から魔石はドロップしなかった。これ物欲センサービンビンだわやっぱ初見で楽しむに限るな。
そうしてどんどん森の中へ中へと歩き進み、平原が見えなくなった。そうして久々に思い出す、我が家の教え。
「......森は自然である、ならば森へ立ち入れば己も自然へ還るのが世界への礼儀...」
そう呟くと大きく息を吸い込み、誰に向かって言うわけでもなく何もない空間を睨みつけながら叫び出す。
「言葉はいらぬ!仲間など知らぬ!同族で固まるのは弱き生き物!!我が族するは猫鎌家!!誇りなど知らぬ!!強くあれ!!負けは認めぬ!!その名は飾りか!?鎌のように命を刈り取れ!!!!」
そうして叫び終わると周りは異常なほどに静まり返る。鳥は怯え飛び去り、犬は群れへ知らせに帰り、虫は動かなくなり、風だけがこの場で自由に動く。
この空間にいることが、猫鎌りんにとって最も幸福な時だ。叫ぶことで脳がスッキリし、周りが静まり返ることで愉悦感が得られ、非日常性にただただ酔いしれることができるからである。
【ここで猫鎌家の家訓について説明します。
代々猫鎌家は長男が生まれると幼い頃に森で訓練をします。その教えは幼い頃だけでなく一生続くものとされています。
森や海などの自然には敬意を払うのが礼儀であり人の言葉を発してはならない。狩りは素早く静かに音を立てるな。野生動物との殺し合いは当たり前。生き延びたければ殺してでも喰う。水が飲みたければ縄張りを奪う。縄張り意識は常にしろ。獲物に情はいらぬ。
これが猫鎌家の家訓なのです。】
ゲームにまで家訓を持ち出すのは俺もどうかと思うが、仕方ないだろう。そういう血が流れてるのだから。
ここからは一切言葉を話さない。森を出るまで気配は消す。水飲み場は最優先で確保する。獲物は逃がさない。これだけを考える。
そうして俺は先ほどの叫びはなんだったのかと思うほど音をたてずに静かにその場から消えるのだった…