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第九十四話 神崎家 その2


「冬至、本当にこの道であってるの⁉︎」

 はぁはぁと息を切らしながら、隣を走っている勇気が声を投げかける。

「さっきアリスに屋敷内の魔力を探知させた。今は探知した魔力源にむけて一直線に進んでるから、そのうち出会うはずだ!」

「いや、それはわかっているんだけど、こんな一本道なのっておかしくないかな、だって脇道一つもないんだよ、あんなに大きかったお屋敷なのに!」


 ………。

 言われて、気付いた。

 注意深く周りを確認していたはずなのに、違和感すら感じていなかった。考えてみれば一本道なんてありえない。

 普段の自分ならば確実に気づくはずだ。気づかないなんてありえない、それほどの異変を見逃している……。

 つまり、俺たちはすでに催眠を……⁉︎


「勇気、俺の頭を殴れ!」

「日頃の恨みも込めていい⁉︎」

「構わん、やれ!」


 瞬間、後頭部に強い衝撃を受け、膝から崩れ、手を地面につける。

 こいつ、本気で殴りやがったな、あとで覚えてろよ……!

 そして顔を上げると、目の前には何本にも枝分かれした廊下が姿を現した。


 くそっ! いつ催眠をかけられた⁉︎


「なんか、よく目を凝らしてみたら、たくさん道があるよ通な気がするする。あと本気で殴ってごめん」

勇気が目を細めながら、そんなことを呟いた。


 ……こいつ、自力で催眠を解除したのか?

一本道が怪しいとも気付いていた。無意識のうちに魔法に抵抗したということだろう。

 魔法への抵抗は、本来プロの召喚士から数年の教育を受け、初めて使用可能となる魔力操作の上級スキルだ。

 小さい頃から、召喚士としてトップクラスの実力を誇るババァから指導を受けている俺は、まだ弱い魔法しか抵抗できない。

 瞬間移動術もそうだが、こいつは魔力操作において、とてつもない才能を持っているのだろう。



 それに比べ、俺は小さい頃から全く成長していない。

 召喚獣がすごいだけ、親族が優秀なだけ。

 才能なんてものはない。



「………うじ、とうじ!」

「……!」

 勇気に呼びかけられ、思考を中断する。

 

 ……今はそんなことを考えている暇はない!

「すまん、余計なことを考えていた。アリス!」

『はーい』

 姿を現した小さな妖精は、俺の肩にちょこんと座った。


 「今から魔力源に向かって文字通り一直線に突き進む、壁があってもぶち壊して進む。いいな!」


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