第九十三話 神崎家 その1
「……おい、いいのか、貴様の召喚獣ボコボコにされているのだが」
翔介さんが横目にヒヨコに群がる人たちを見てつぶやく。
「大丈夫だ、いてもいなくても戦力になんら問題はないからな」
「強みだよね」
「いや、問題はこそではないような気がするし、強いでもなんでもない気もするのだが……」
「大丈夫よ兄貴、ひどいこと言っているけど、ちゃんと助ける手立ても考えているから」
「好美! 兄貴じゃなくてお兄ちゃんだ! もしくはお兄たま」
「グリフォン、1番後ろに跨ってる人落としていいわよ」
『クワァ』
「ぎゃぁああ!」
ブンブンと翔介さんを振り落とそうとするグリフォン。
実際この高さから落ちたらひとたまりもないだろう。
ヒヨコが注意を引いているうちに、空から屋敷内に侵入する。
そして、僕と冬至が屋敷内に侵入し、好美と翔介さんがその出入り口を塞ぐ。話せば一言で終わってしまうような作戦だが、翔介さんの召喚獣は防御力の一点においてほぼ無敵の能力を持っているし、好美の召喚獣も機動力と魔法は学園随一だ。屋敷内へ援軍は2人で阻止できるだろう。
問題は僕と冬至で神崎家の当主を倒せるかどうかだ。僕と冬至はまんまと催眠にかけられた。いつ、どこで、どうやってがけたのか見当もついていない。
冬至の召喚獣がいる以上、実力では負けることはないだろうけど、絡め手で敗北することは充分に考えられる。それこそまた催眠なんてものにかけられたら即敗北だ。
「ここら辺だよ、好美、お兄たま」
「誰がお兄たまだ! ぶっ殺すぞ貴様!」
「わかったわ、グリフォン」
ゆっくりと降下し、砂煙を立てながら着地した。
そして、その周囲には召喚獣と召喚士が臨戦体制で構えていた。
「いってくるがいい。一度はこの私に勝ったんだ、どこぞの馬の骨に負けるなどありえないからな」
「2人とも、碧ちゃんを助けてあげてね」
「「おうよ」」




