第九十二話 二度目の潜入
「でっかいね」
「…でっかいな」
夕暮れ時、僕、冬至、好美、翔介さんの4人は神崎家の前に集まっていた。
「そう? 私の実家とそう変わらないと思うけど」
「警備員や家政婦が住み込みで働いているし、門下生達も住み込みで鍛錬で励んでいるからね、名家の家はどうしても大きくなってしまうんだ。この大きい建物の中で、皆頑張って生活しているのさ」
「いや、その頑張っている人たちの家に今から襲撃をかけるんだけど……」
頑張って生活している。なんて聞くと襲撃をかけずらいな……。
「召喚獣同士で訓練を行っているんだ、当然怪我をするから、救護班が常に在中しているし、そもそも狙わない限り怪我は発生しないはずだ。だから、思っきり暴れても問題はない」
翔介さんが気を遣ってか、そんな事を言ってくれる。
あくまで目的は当主だ。翔介さんの言う通り故意に一般人を狙わない限り怪我をする確率は低いだろう。
「わかりました。思いっきり活躍してやります」
「活躍した場合、好実が惚れる可能性があるから八つ裂きにするけどな」
一体彼は僕にどうなって欲しいのだろう。
「……始めるか、勇気」
「オーケー、冬至。これで僕たちは完全に悪党だね」
「何言ってやがる。前回襲撃かけた時から俺たちはずっと悪党だろ」
「それもそうだね」
僕はそう返しながら、肩に乗っていたヒヨコを野球ボールと同じ要領で掴む。
『ピヨ?』
そして、掴んだヒヨコを僕は
「おりゃぁぁぁ!!」
屋敷の中に向け、思いっきりぶん投げた。
『ピョォォォ!』
ヒヨコは断末魔のような叫びを上げながら放物線を描きながら屋敷内に侵入した。
『なんだ、何か投げ込まれたぞ? イタズラか?』
『これは……ヒヨコか?』
だんだんとヒヨコに人が集まってくる。
……よし。
「光れ! 彗星のように!」
『このヒヨコ、どこかで見たことが……』
『なんだ、こいつ光ってないか?』
『だんだんと光が強くなっているよな…… なっ!』
やがて、目も開けられないほどの光量になる。
注目がヒヨコに集まり、そしてヒヨコから発せられる光により視界が塞がる。
「よし、今のうちだよ」
ヒヨコに注目があつめ、そして目を潰した。
これで安心して外壁を乗り越え、屋敷内に侵入することができる。




