第八十三話 食事
釣り堀での一件の後、俺たち4人は休憩がてら、飲食店に入ることした。
一見普通のレストランだが、ホールの仕事を着ぐるみがしており、注文の品を届ける際、握手やハグを客と交わしている。
「なるほど、着ぐるみの姿で愛想を振りまくことによって高い飯を注文してさせているのか」
「冬至、それは着ぐるみを着ているおじさん達に失礼だよ」
「……一様言っておくけど、あんた達2人とも失礼だからね」
「「なんだって⁉︎」」
「どうして疑問系なのよ!」
着ぐるみの中身にどこの誰が入っていることを言及するのはは失礼だが、俺はただその着ぐるみの活用方法を観察していただけだ。こいつと一緒にしてほしくない。
「冬至、もうすぐパレードが始まるそうですわ!」
神崎が浮き足だった声で袖を引っ張ってくる。
そうか、パレードか……。 騒がしく、長時間立つ必要がある、あのパレードか……。
「一緒に見に行きましょう!」
「だ、そうだぞ、勇気」
「ごめん神崎さん。僕おじさんパレードには興味が無いんだ」
「史上最低な文字面ね……。なんだが見る気が薄れてくるわ」
好実が怪訝な顔でツッコミをいれる。まったく、こいつはデリカシーのデの字も知らないのか……。
「……冬至、私と一緒にパレードに参加している姿を写真に収めることができれば、確実に目的は達せられますよ?」
「ふーむ……」
たしかに、こいつの言うとおり女性と一緒にパレードを見ている写真を見れば、誰もが『この2人は付き合っているんじゃ無いか?』と思い、卑しい気持ちを抱いている女生徒たちは俺から狙いをはずすだろう。
だが……。
「べつにそこまでしなくても、今までで俺と神崎のツーショットはいくらでも取れただろう。わざわざパレートに参加して写真を取る必要はないだろ、な、好実」
「え、あ、うん、そうね」
「おい、なぜ目を逸らす」
「……外の景色が見たくなっちゃって」
「お前が今向いている方向には厨房しかないぞ。……そのカメラ見せてみろ」
テーブルの傍に置いていたカメラを取りフォルダーの中を確認すると…… 俺と神崎の写真は一枚も入ってなく、勇気の写真ばかり入っていた。
「……おい」
「ごめんなさい! 次はちゃんと撮るから!」
「……まぁいい、お前が勇気の写真ばかり撮るのは仕方のないことだからな」
「ちょっと、斉藤!」
俺の仕返しの言葉に赤面した好実は、ギュンと勇気の方向に振り向いた。
「違うからね! その…… 珍しい動物とか見ると撮りたくなっちゃうじゃない? それと同じよ!」
「……僕って、パンダとかと同じ分類の見た目してるのかな」
「たしかに、面白い顔はしているが……」
「冬至、それものすごく僕の事バカにしてない?」
「ははっ、してないぞ?」
「ぶっ◯してやる! このやろう!」
こうして、不本意ながらパレードに参列することになった。




