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第七十七話 令嬢


「うまくいったね」

「どこがだ⁉︎ 登校早々に『斎藤君ってド級のシスコンだったの?』 って言われた俺の気持ちがわかるか⁉︎ くそ、こいつを信用した俺がバカだった」

「バーカ」

「てめぇ、生きて帰れると思うなよ……!」


 放課後、教室で、僕と冬至は取っ組み合っていた。


「まぁいいじゃない。 今日はラブレターもらってないんでしょ?」

『ピヨ』


 僕の召喚獣であるヒヨコのお腹をこちょこちょしながら、呟く好見。

 毎日ラブレターをもらってらしいけど、今日はもらっていないらしい。


「いや、『ド級のロリコン』って思われるぐらいなら、ラブレターもらってた方がまだマシだったんだが……」


 次から次に文句を言う冬至、なんて自分勝手な奴なんだ。


「そういえば、斎藤良かったの?」

「全然良くない」

「そうじゃなくて、斎藤って誰かと付き合ってたような気がするのよね……」


 そういえば皇家の一件の後、冬至と付き合い始めたって誰かが言っていたような……。


「いや、俺は誰とも付き合ってない。そんな面倒臭いこと俺がやるわけがない」

「ははっ、冬至らしいね。……?」


 あれ、何か大事なことを忘れているような……。


「まぁ、最低限の条件はクリアしたんだ。飯にでもいくか」

「え、奢ってくれるの? ありがとう斎藤」

「世話になったんだ。これぐらいなんてことないさ」


 やらやれ、ご飯一回じゃ足りないくらいの労力だったけど、今回は手を打ってあげよう。


「それじゃ遠慮なく奢ってもらうよ」

「ああ、ほらよ」


 冬至は何を手で握り、僕に差し出してきた。


 →帽子付きドングリ


「遠慮なく食べてくれ」

「冬至、やっぱり全然感謝してないよね⁉︎ せめて帽子は取ってよ、食感が悪くなるじゃないか!」

「勇気、問題はそこじゃないと思うわよ」




 最寄りの駅の中にあるジャンクフード店にやってきた。

 冬至は席を取るため別行動をしている。この時間帯になると部活帰りの生徒たちで賑わうから、席がすくなくなっちゃうんだよね。

 あらかじめお金はもらっている(1人分)ため、素早く商品を受け取り、冬至の元へ移動する。


「冬至……?」


 冬至の向かい側の席に、女生徒が座っていた。


「……なんのことだ」

「……本当に、忘れているのですね」


 悲しく、そして怒っているような口調で俯く女生徒。

 金髪の長髪に透き通った肌。身長も僕と同じぐらいで、スタイルも抜群に良い。


 どこかで見たことがあるような……。


「……って、神崎さん⁉︎」


 驚いた表情で女生徒に駆け寄る好実。

 神崎? 聞き覚えがあるような…… 。


「生徒会長の神崎碧さん?」


 どこかで見たことがあると思ったら、つい先日学年集会で見たばっかりじゃないか。

 でも、どうして彼女が冬至と話しているのだろう。


「あ、あなたたちも……⁉︎ 本当に、何もかも……」

 僕と好実の顔を見ながら、ボソボソと呟く神崎さん。


 また、あの感覚が襲ってきた。

 何かを忘れているような、そんな感覚が。


「……好実さんは、こんな状況にも耐えて……。わたしくも負けてられない……!」


 神崎さんはスッと立ち上がり、座りながらポテトを食べている冬至を視界に収めた。


「冬至は、自分は既に付き合っている、という噂を流したいのですね」

「え、あ、あぁ、そうだ」


 いきなり下の名前で呼ばれたためか戸惑う冬至。こんな綺麗な人からファーストネームで呼ばれると、誰だって焦ってしまうだろう。


「分かりました。ではその彼女役、私が引き受けます」


「「「………え?」」」


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