番外編 生徒会執行部 その1
私は今、人生で一番胸が高鳴っている。
まだ半世紀以上余生を残しているけど、間違いなく今が人生絶頂の時だと感じている。いや、確信している。
厳しい数々のテストを乗り越え、ついにたどり着いた。
「我々生徒会は、西野さんを歓迎します」
憧れだった生徒会に!
召喚士育成学校中等部に入学してから、はや六ヶ月。
私こと西野薺には、とてつもなく大きい野望があった。
それは、生徒会に入ること。生徒会は生徒みんなの憧れであり、目標でもある。
メンバーは全員選りすぐりのメンバー選出されており、その能力の高さから教師以上の権限を持っていると噂されている。
私は決して優秀ではない。この学校に入学できたのもただ召喚士の素質があったから。
座学は得意じゃないし、人見知りだってする。
入学した当初は、ただ卒業できればいいと思っていた。卒業さえしてしまえば家は安泰だから。
この考えに変化が訪れたのは、入学してから一ヶ月ほど経過した頃。
『大丈夫ですか? 怪我はありませんが…… 念の為、一緒に保健室にいきましょうか』
清掃直後、濡れていた廊下に足を取られ転んでしまった時、その人は優しく私に声をかけてくれた。
『は…… はい! 大丈夫れふ!』
あの出来事から何ヶ月も経っているというのに、噛んでしまいおかしな言動をしてしまった自分を思い出しては布団に頭を埋めている。
薄桃色の髪、透き通った肌、そして心を包むような暖かい声色。
生徒会の新妻桃さん。その人に出会ってから、私の思考は大きく変化した。。
ただ保健室に連れて行ってくれただけだと馬鹿にされることもあった。だけど、その優しさと温もりは私の心を掴んで離さない。
私も会長みたいな人になりたい。その思いは日に日に強くなっていった。
いや、新妻会長だけじゃない、頭脳明晰、容姿端麗、名家の御曹司の武白副会長。人情に熱い佐野炎児会計。生徒会のメンバー全員に憧れを抱いている。
「し、失礼します!」
努力に努力をかさね、私は書記として生徒会に入ることになった。
ここから、私の中学校ライフは始まるんだ。薔薇色に染められた青春が。目も眩むようなドキドキが……!
『メェエエエ』
『わんわん!』
私はそっと扉を閉じた。
「どうされました?」
きょとんと顔を傾けて、会長が私の方を向く。
「ごめんなさい、場所を間違えました」
……ドジは治ってないようね。生徒会と動物園を間違えるだなんて。
「いえ、場所は合っていますよ?」
「いや、だって羊と犬がいましたよ? 生徒会に羊と犬がいるわけないじゃないですか」
「……羊と犬? あ、なるほど」
会長は私が閉めたドアを再びあけ、中に入っていく。
「武さん、いらしたのですね」
「武さん? ……え、武副会長⁉︎」
再び部屋の中に目を向ける。
「会長おはようございます。 という事はその方が新しく生徒会に入る西野様ですね」
その人は羊に跨り、チワワに繋がってあるリードを握っていた。
「ようこそ、生徒会へ」
妙に様になっている所に、少し苛立ちを覚えた。




