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僕の召喚獣はヒヨコ  作者: ミドリガメ
自然教室編
70/95

第七十話 勝利


『ピヨッ!』


 二つの翼を大きく広げ、神々しく我が召喚獣が現れた。……ヒヨコだけれども。


「……いまさらヒヨコが1匹現れたところで、戦況が変化するとは思えません、やはり私の勝利に変わりはない」


 笑みを浮かべる白君。


 ヒヨコを呼ぶことならすぐできた。

 ならなぜ、今の今まで戦いに参加させなかったのか、理由は単純明快だ。


「瞬間移動術は、召喚獣の魔力量に魔力消費量が依存している。つまり、魔力量の多いい召喚獣を瞬間移動させるには、莫大な魔力が必要になる。人間には不可能なほどのな」


 冬至が立ち上がりながらそう説明する。 


「……何が言いたいのです?」

「まぁ怖い顔せずに聞けよ。つまり、俺は自身の召喚獣をここまで移動させることはできない。どこかに飛んでいったからな」

「…………」

「どこにいるかも分からないからない召喚獣を探すことは困難だ。……魔力探知でもできない限りな」

「………⁉︎」

「だったら、話は単純だ」

「ノーム、シルフ! さがれ!」


 白君は顔色を変え、召喚獣に指示をする。

 ようやく状況を理解したようだ。


「魔力を探知できるやつに、連れてきてもらえばいい」


 もう、遅いけど。


 ヒヨコの背中に乗っている、桁違いの魔力量を有しているその召喚獣は、可愛らしい声をあげた。

『いくわよ! かいぜる!』

『ピヨッ!』


 飛び立ったヒヨコは紫色の閃光になり、そして標的に衝突する。

 

「がっ、はっ⁉︎」


 新生ヒヨコミサイルが、2体の召喚獣と1人の召喚士を貫いた。




「これが勝利ってやつだ、中坊」


 気絶している白君に向け、そう言葉をこぼす冬至。


「しっかし、よく思いついたね」


 さっきこいつが説明した通り、冬至はフェアリークイーンであるアリスに瞬間移動術を使うことできない。

 そこで、こう僕に指示した。


『ヒヨコの瞬間移動に、アリスはただのりできるはずだ、ヒヨコをアリスの元に向かわせてくれ』


 僕が魔力探知をし、ヒヨコがアリスと合流する。

その時間を僕と冬至で稼ぐ必要があったから、召喚獣なしで僕たちは戦闘をしていた。


「アリス、頼む』

『うん!』


 アリスの治癒魔法で、冬至の傷がみるみるうちに塞がっていく。 


「助かった」

『いいってことよ!』


 ぎゅっと冬至にしがみつくアリス。

 本当に冬至のことが好きなんだろう、可愛い子だなぁ。


「じゃぁ、悪いんだけど、僕にも治癒魔法をかけて……」


「いや、ちょっと待て」


 僕の言葉を遮るように話し出す冬至。


「え? どうして?」


 巨岩による攻撃を受けた僕の方が、冬至よりダメージが大きいはずなのに……。


「そのまえにやることがある」


 そう言いながら、僕の背後に回る。


「……なっ! まさか!」

「バカが、ようやく気づいたか」


 回避行動を取ろうとするが、長い腕で引き寄せられてしまう。

 こ、こいつ! まさかこの場面で!


「お前はここでリタイヤだ」


 裏切るなんて……!


「き、きさま! こんなことをして心は傷まないのか!」


 首を両腕でがっちりホールドされ、逃げることができない……!


「はっ、何を言ってやがる、俺は最初からお前の隙を伺っていたんだぜ?」


 く、くそう! この外道が!


「じゃあな勇気、俺が優勝だ」


 ホールドしている腕に力を込める冬至。くそぅ、ここまでなのか……⁉︎

 

「……そうですか、友達を裏切ってでも優勝したいのですね」


 冬至の顔面を、すらっとした美しい手が鷲掴みにした。


「………すまん、どうして顔を鷲掴みされているか分からないのかだが……」

「いえ、空いていたので」

「……それは理由になってない気がするんだか……」

「言い訳は後で聞きます。そんなにクッキーが食べたいなら、家に帰ってからたくさん食べさせてあげますわ。……文字通り死ぬほど」

「いや、俺は別にクッキーなんかどうでもぉぉぉ!! た、たすけろ勇気、俺たちは友達だろ! ぎゃぁぁぁ!! 頭が割れるように痛ぇ!」


 鷲掴みされている頭から、ミシミシと骨が軋む音が聞こえてくる。


「清々しいほどの手のひら返しだね。僕は嫌いじゃないよ」

「うるせぇ! お前の好き嫌いはどうでといい! やはく助けぐふぅ!」


 冬至は、恋人(不本意)の神崎さんに引きずられ、森の中に消えていった。


『最後の1人となりましたので、戦闘訓練を終了いたします。戦闘訓練参加者は第一グラウンドに……』


 戦闘訓練終了のアナウンスが鳴り響いた。


『ピヨッ!』


 ヒヨコは、グッと右手羽先を天高く掲げた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 裏切った罪はとても大きい。自業自得ですね。
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