第六十七話 ノーム
「なっ、どうして君が生きているんだ! さっきグリフォンにグロテスクな感じにされたはずなのに……!」
目の前では、召喚獣(羊)を引き連れた白髪のイケメンは、髪を靡かせていた。
「シルフは治癒魔法も使用できます。私のパートナーなのですから当然です」
『メェエエ』
治癒魔法が使えるのならちまちま攻撃したところで意味がない、一度に大きいダメージ与えなければ未を倒すことができない……!
白君は羊にまたがり、警棒を取り出した。
「これで、最後です!」
『メェエエエ』
とてつもないスピードの突進を仕掛けてくる羊。
全力で横っ飛びすれば突進は避けられる。だけど、白君の警棒による攻撃までは避けることができない……!
「くっ、どうすれば……!」
「勇気! これを使え!」
冬至が僕に向けて、何かを投げて来た。
「サンキュー冬至!」
すかさず右手でキャッチする僕。
普段は全く役に立たないどころか邪魔ばかりしてくる悪友だけど、本当にピンチの時は助けてくれる頼もしい奴……。
←どんぐり
……これでどうしろというんだ。
「あとは任せた!」
「まって、ゴミだけ渡して逃げようとしないで!」
なぜ、どんぐりを渡しただけで『これでもう大丈夫だな?』って表情ができるんだ……⁉︎
「ふん、お前は本当にバカだな、それがただのどんぐりに見えるのか?」
「そ、そうだよね、このタイミングで渡すんだからただのどんぐりなわけが……」
「帽子がついているじゃないか」
←帽子付きどんぐり
……だからなんだっていうんだ。
「よし、いけるな」
「いけるわけないだろ! くそう!」
こいつに頼ってちゃ、命が何個あっても足りない!
足元に落ちていた木の枝を拾い、羊に向かって構える僕。
「はあぁあ!」
突進を全力の横っ飛びで、なんとか避ける。
そして、木の枝を両手で横に持ち、振り下ろしてきた警棒を防御する。
突進のスピードが乗った警棒の一撃は思ったよりも重く、両手はじんじんと痛み木の枝は真っ二つに折れてしまった。
「……やはり、ただの召喚士ではありませんね、身体強化魔法なしでその運動能力……。あきらかにおかしい、何かを隠してはいませんか?」
「お褒めにあずかり光栄だけど、隠していることなんて何もないよ」
「……そうですか、分かりました。では、私たちも本気であなたを倒します」
白君は目を瞑り、体内の魔力を操作し始めた。
この魔力操作はずいぶんと見覚えがある。
瞬間移動術。だけど彼の召喚獣である羊は、実際に今彼自身が乗っている。移動させる必要なんてないはずだけど……。
……いや、違う。好実と同じなんだ、彼は!
「来てください、ノーム!」
彼の、二体目の召喚獣が現れた。




