第六十話 地平線
「たしかに、会長は魅力的な方です。誰に対しても平等に接し、笑顔を絶やすこと知らない。人と比べる事は好きではありませんが、学校内で会長以上の女性はいらっしゃらないと確信をしています。ですが、それは学校内での話です。私は小さい頃から父に連れられ、いろいろな場所に行き、色々な女性達と触れました。会長と同等か、それ以上の美しさを持つ女性は多く存在します」
だけど、白君の先程の言動からは、生徒会長である新妻さんのことを想っている節が見えた。
どういうことだろう。本当は新妻さんのことが好きだけど、まだそのことを認識できてないだけとか?
「……ですが、ある一部分に関しては、興味があると言わざるおえません」
「一部分?」
「ええ、一部分です。そこに関しては、世界で一番美しいと確信しています」
せ、世界で一番美しい?
明るいとか、元気がいいとか、内面的な所だろうか。
「そ、その一部分って?」
「それは…… 胸です」
「………は?」
彼はいったい何を言っているんだ?
「初めて会長に会った時、雷に打たれたような衝撃を受けました。……なんだこの胸は、どうしてこんなにも平らなんだ? ……てね?」
ニコッとはにかむ白君。
いや、笑顔向けられても困るんだけど……。
「高橋さん、どうして、私が衝撃を受けたか分かりますか?」
「ご、ごめん、分からないかな」
「ふふ、まぁそうでしょうね。初めは私は憤りました。 なんだこの胸は、私のことを馬鹿にしているのかってね。だけど、見ているうちにだんだんと考えがかわってゆきました。 どうして紙に書かれた絵が美しいのか、どうしてタレースは地球平面説を唱えたのか、どうして、地平線はあんなにも輝いて見えるのか、それは…… 平らだからなのです」
た、平ら? 彼は一体何を言っているんだ……⁉︎
「そして、私は真なる平らを目にしました。それは会長の慎ましい胸です。初めてでした、あんな平らなものを見たのは、その時、手元にあった紙と見比べて見ましたが、その恐ろしい程の平らさゆえ、紙も泣き出してしまったのです」
………あっ
「そして、私は思ったんです。この会長の胸という地平線の先には何が見えるのか、その先を知りたい…… ってね。だから、私は生徒会に入り、副会長という任を承りました。……だって見てください、こんなにも平らなのですよ?。私は、これ以上に平らなものを見た事がありません!」
「…………」
「この地平線を超えた先にはいったい何が見えるのか……… あれ? どうしてここに地平線が?」
白君の真後ろに、ゴミを見る目をしている新妻さんがいる。
さっきの熱弁中、普通に現れた。
「あ、地平線会長、お勤めご苦労でプペラッ!」
白君は新妻さんのビンタを受け、3メートルほど吹き飛び木に激突した。




