第五十七話 VS風の精霊 その①
「自己紹介をさせてもらおう。 僕の名前は、武 白 中等部生徒会の副会長を担当している」
白いを髪を靡かせているその姿は、おとぎ話に出てくる王子様を連想させる。
佐野くんと同じ、生徒会か……。
もし彼と同等かそれ以上の強さだった場合、大変厳しい戦いになる。
さっき佐野くんに勝てた要因は、不意打ちが成功した事だ。その動きも見られているとなると、不意打ちの成功率はガクンと下がることになる。
そうなると、僕たちには決定打に欠ける。今の僕たちにはまともな攻撃手段がない。
「さぁ、力を貸してくれないかい、シルフ」
白君がそう言うと、風を纏ったそれは現れた。
思わずうずくまりたくなるようなもふもふの白い体毛。
どこか能天気で、何を考えているのかわからない表情。
僕はこの動物を見た事がある。
『メエェェーー』
「どうしたんだシルフ、僕の袖を引っ張って、お腹がすいたのかい?」
『メエェェーー』
「あぁ、そうだね、この戦いが終わったらご飯にしよう。ちょうどこの辺りは栄養価の高い草が沢山生えているからね」
『メエェェーー』
「あはは、こんなに風を巻き起こして、そんなに嬉しかったのかい? ……あ、いや、その、私も吹き飛ばされそうなんだけど……」
『メエェェーー!!』
「あ、ちょ、まっ、助けて! 吹き飛ばされる!」
僕たちはまだ何もしていないのに、すでに風に飛ばされてどこかに行ってしまいそうになる白君。
「なるほど、バカな召喚士には、バカな召喚獣が付くんだな」
「……ねぇ、どうして僕の事をみるの?」
白君は、ズボンについた砂をパンパンとはらいながらゆっくりと立ち上がった。
「お見苦しい所をお見せしましたね。我が召喚獣は、普段は冷静沈着なのですが、興奮するとどうにも我慢できなくなるようで。ですよね、シルフ」
『(ムチャムチャムチャ)』
……めっちゃ草食っとる。
大丈夫なのかな、さっきから全く命令を聞いていないんだけど……。
『ピヨ!(羊毛にダイブ)』
……それは僕の召喚獣も同じか。
「……思い出した」
苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる冬至。
「思い出したって、なにが?」
「……あいつ、皇家や神崎家と肩を並べる、名家の御曹司だ」
あ、あの子が、名家の御曹司⁉︎
み、見えない、白君には悪いけど、ただの面白い子にしか見えない!




