第五十一話 共同戦線
「しかたがない、どうせだったら賞品ぶんどるか」
「そうだね、別に要らないわけではないしね」
上垣先生の手のひらで踊らされている気もするけど…… どうせだったら賞品をもらいたいしね。
「ねぇ、あんた達、大事なことわすれてない?
」
後ろにいた好実が、ちょいちょい、と裾を引っ張ってきた。
「大事なこと?」
「手紙よ、忘れたの?」
………あ。
「もう、なに、やってもうた、って顔してるのよ……」
「ご、ごめん好実、完全に忘れてたよ」
やれやれ、って顔をする好実、ここ二日間が濃すぎて、当初の目的が頭の中から消えちゃってた。
僕たちは、好実に送られた手紙の差し出し人を探すために自然教室に参加したんだった。
「もう、勇気ったら。 でも大丈夫よ。 ……だいたい見当はついたから」
見当がついた、ってことは、あの手紙の書き主が分かったってこと⁉︎
それはつまり、僕のことを想ってくれている可能性がある人物が分かったってことだ。
「ち、ちなみにその人物って…… ってあれ? 好実は?」
「ぶつぶつ独り言をこぼしながら森の中に入っていったぞ」
周りを見ると、召喚獣を連れた中学生達が、だんだんと戦闘実習場所となる森の中に移動していた。
「よし、俺たちもいくか」
開始を告げるスターターピストルの音が響きわたった。
今回の戦闘実習は、僕たち高校生も含めて全30人。
「よし、まずは動き回ろうか」
頭の上に乗っているヒヨコが『ピヨ』っと元気よく鳴いた。
優勝、とまではいかなくても、上位に入賞しないと、奉仕活動を増やされてしまう。
だから、順位を伸ばすために、まず動き回ることにした。
僕たち高校生には、ハンデとして発信機が付けられていて、五分に一度、場所が中学生達に伝わるらしい。
その対策として、一定の位置に居座るのではなく、動き回ることで中学生達に合わないようにする。
僕の召喚獣はヒヨコだ。まじのただのヒヨコなため、まともに勝負しても勝てるわけがない。
つまり、僕はそもそも逃げることしかできないんだ。奉仕活動を回避するために、優勝賞品を手に入れるため、僕は絶対に逃げ切ってみせる……!
「魔力探知ができる召喚獣がいた場合はどうするんだ?」
「うーん、そうだなぁ ……死んだふりをする」
「驚くほど奇抜な回答だな」
あ、これが通用するのはクマだけだっけ…… は?
「貴様、冬至か!」
僕のすぐ後ろには、肩に妖精を乗せた冬至がバカを見る目で僕を見つめていた。
「勇気、一時休戦だ。俺たちは奉仕活動を回避するために、共同戦線を張るのがベストだとはおもわないか?」
「本音は?」
「もしものための囮がほしい。」
「おーけー、貴様が僕のことをどう思っているのかよく理解できたよ」
やはり、こいつは敵だ。隙を見せないようにしなくては。
『おーい、いるんだろう、高橋勇気! 俺と戦え!』
突如、近くの茂みから、僕を呼ぶ声が聞こえてきた。




