第四十一話 ワイバーン
『中等部生徒会長、新妻桃と申します。これより開始しますレクリエーションは、これから召喚士として道を歩むことになる私たちの召喚士への第一歩となります。重要な機会ですので、皆さん、真剣に取り組みましょう』
話している立ち姿、そして内容共に中学生とは思えないほどしっかりしている。
『それでは、開始してください、と言いたいところですが……』
彼女は、僕たち上級生の方向に振り向いた。
『先輩方、私と一戦お願いお願いできませんか? 実際に召喚獣同士のバトルを見せた方が、召喚獣がどのような存在か、きちんと理解できると思うのです』
筋は通っているし、断る理由はない、けど……。
「だれが試合をする?」
僕はそう、横並びしてた三人に聞いた。
「正直、ピヨちゃん以外なら、誰でもいいんじゃないかしら」
「危険な召喚獣である妖精女王に触れられれば、召喚獣がどんな存在か伝わると思います」
ふむふむ、意見は冬至よりか……。
「……勇気、お前は試合をしたくないのか?」
「うん、まぁ、ヒヨコが戦っても恥をかくだけだしね」
「……分かった、じゃあ、平等にジャンケンで決めよう」
こいつ、このままじゃ自分が戦うことになると察知して、ジャンケンに決める方法を変更したな……!
でも、確率は四分の一、僕が試合をする確率は低い。
「おーけー、ジャンケンだね、みんなもそれでいい?」
こくり、と頷く女性陣。
拳を前に突き出す。
「それじゃ、ジャンケー……」
「ちょっとまて、勇気」
ジャンケンが途中で止められてしまう。
「お前に一つ、良いことを教えてやる」
「良いこと?」
「あぁ、いいか、これはアメリカの有名大学が論文を発表していんだが……、ジャンケンでは、無意識的にグーを出す人間が多いいらしい」
なるほど、アメリカの有名大学が出しているなら、確かな情報だろう。
つまり、僕が最初に出せばいいのは……。
僕はニコリと笑った。
(僕は、パーを出せば勝てる!)
『まさか本当にパーを出すとわな』
冬至の言葉が僕の背中に突き刺さる。
『……普通、嘘だって気づくでしょ』
『ですが、それが勇気さんの美徳かもしれませんよ?』
うぅ、くそう、あの場面で騙してくるなんて、なんて性格の悪い不細工なんだ……!
「先輩が、私と戦ってくれるのでしょうか?」
「う、うん、よろしくね」
「よろしくお願い致します」
ぺこり、と綺麗な45度の礼をする新妻さん。
なんというか、所作から言葉遣いまで、その一つ一つに気品を感じられる。
「では、さっさく始めましょう」
新妻さんがそう言うと、召喚獣は現れた。
綺麗な銀色の鱗、鞭を思わせるほどの長いしっぽ。キラキラと輝く翼。
小さいが、確実に、その召喚獣の名前は分かった。
「……ワイバーン」
ドラゴンの一種、飛龍とも呼ばれている。




