第四話 ランキング
「二人とも、買い物の後なにしてたの?」
ショッピングの翌日、いつもの三人で昼食を取っていた。
「俺はずっと寝てたな……。ふむ、悪くない……。勇気、ハンバーグと鮭交換しないか?」
「僕はすごく大変な目にあったよ……。いいけど、この前みたいに鮭の皮だけ寄越したら許さないからね」
「了解だ、ほらよ(鮭の皮)」
「まったく……。 はい(枝豆の殻)」
「「てめぇ表に出ろや!!」」
「こーら、私のおかず分けてあげるから喧嘩しないの!」
好は、僕と冬至の弁当に自分の弁当から取った唐揚げを入れてくれた。
……まぁ、今回は好に免じて許してやろう。命拾いしたね。
「それで、大変な目って、具体的にはどんな目にあったのよ?」
うーん、可井君的には他の人には聞かれたくないだろうけど……。 だけど、好と冬至なら言いふらしたりしないだろう。
「実はかくがくしかじかで……」
昨日、公園で体験した出来事を説明した。すると、好は僕に疑いの目を向けてきた。
「その…… ちなみになんだけど、可井の胸を見ても何も思わなかったの?」
「相川、それはいらん心配だと思うぞ」
「ぺちゃぱいだったよ」
「お前も答えるな! 大丈夫だ相川、こいつは女と聞くと年齢性別種族関係なく求婚をするが、流石に男にはしない。安心しろ」
「ねぇ、今の話矛盾してない? あと僕の事なんだと思ってるの?」
種族関係なくってどういう意味だろう。……もしかして、チンパンジーやオラウータンにも恋愛感情を抱くと思っているのだろうか。
「……勇気はぺちゃぱいは嫌なの?」
もぞもぞしながら僕に問いかける。なんでそんなこと聞くんだろう?
「うーん、まぁ、どちらかといえば大きいほうがいいかな」
「ふーん、へー、そうなんだぁ、まぁ、私ぺちゃぱいじゃないし関係ないけどね」
「うん、好はペチャパイを超越した、無という地平線でごめんなさい! 右腕折られちゃうと鉛筆が持てなくなるので、左手にしてくれるとありがたいです!」
「今回だけよ」
左腕からゴキッ、と嫌な事がした。よかった、右腕が無事なら午後の授業は問題なく受けれる。
『おい、模擬戦のランキングが渡り廊下に張り出されてるらしいぞ! 見にいこうぜ』
『まじかよ! 俺、ぜってーお前より順位高いからな! 命かけてもいいぜ!』
教室からどんどん生徒が出ていく。そうか、今日が公表日だったのか。
「まぁ、話はさておき、俺たちも見にいくか」
「そうだね。もちろん、約束は忘れてないよね?」
「当たり前だ、順位が低い方が、好きな定食を奢る。忘れるわけがない。財布を空っぽにしてやる、覚悟しとけ」
「僕のセリフだよ、冬至」
「なんであんたたちそんなに自信満々なのよ、そもそも一度だって……、ってこら、廊下は走っちゃダメでしょうが!」