第三十九話 観光バス
「勇気、お菓子たべる?」
「うん、もらってもいい?」
「ん、 ……ピヨちゃんもたべる?」
『ピヨ!』
勢いよく、パクっとポテトチップスにかぶりつくひよこ。
今回、自然教室に参加する中学部の生徒は、総員400名程、これだけの人数になると、移動が大変らしく、学校側は観光バスを十台も用意した。
僕たちは、人数が少ない特待生クラスと一緒の観光バスに乗っている。
そのせいか、中学生ならではの騒がしいバス移動が、とても静かだ。
「ぐぁー、ぐ」
静かなおかげか、冬至のいびきがバス内に響き渡っている。
「…………」
冬至は、隣に座っている神崎さんの肩に頭を乗せている。そして、時折、胸付近まで、うとうとと頭を落とすことがあるが、神崎さんの胸が支えになり、それ以上頭を落とすことはない。
……羨ましい。
もし今,僕が冬至と同じ状況になったとしても、好実の胸じゃ、そのまますとんと、地面まで一直線だろう。
「ねぇ、今失礼なこと考えてなかった?」
「考えてないです」
スッ、と目を逸らす僕。
「……勇気、一つ質問していい?」
「うん」
「その、あの手紙を書いた人に会ったら、なんて答えるの?」
……今回の僕たちの目的は、自然教室で行われる戦闘訓練で、僕へ想いを寄せているであろう人に、会うこと。
だけど、実際に会った時、僕はいったいどんな言葉をかければいいんだろう。
「分からない。けど、真剣に、僕の気持ちを伝えるよ」
僕には、その人のために、こんなことしかできない。
すると、好実は、クスっと笑った。
「そうね、勇気はそうでなくっちゃ」
めっちゃ短いです、すいません




