表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の召喚獣はヒヨコ  作者: ミドリガメ
自然教室編
38/95

第三十八話 苦悩


 自然教室当日の朝、学校のグラウンドで、自然教室に向かうため、観光バスをまっていた。


「……なぜこいつがいるんだ?」

「親切な方が誘ってくれました」

「(プイッ)」

「……おい、なぜ目を逸らすんだ、こっちを見ろ親切なバカ」


 すごい表情で睨みつけてくるので、目を逸らす僕。

 僕、冬至、好実の三人に加え、もう一人、神崎さんが上級生枠として参加することになった。

 僕としても、好実の件でお礼がしたかったし、人数が多いい方が楽しめると思って誘ったんだけど……。


「冬至、どうしても、私と自然教室は嫌ですか?」


 神崎さんは、上目遣いで、そして少し子供っぽい、わがまま味溢れる表情を冬至に向ける。

 ……なんというか、普段、清楚なお嬢様が、特定の相手にだけ見せる、この甘えた表情は、男心にグッサリと刺さる。これに響かない男はいないだろう。


「嫌だ」


 こいつ以外は。


「……いいですか、冬至、日本にはこんな諺がありますわ、『いやよいやよもすきのうち』」


 いったい、初めて出会った頃の、可憐で清楚な神崎さんはどこに行ってしまったのだろう。

 ……それにしても、神崎さんは冬至に対してつよい、興味ないものに関しては、とことん関わらない冬至が、神崎さんを相手にすると折れる。もしかしたら、冬至と神崎さんは、相性がいいのかもしれない。


「だめ! あなたはお兄ちゃんに近寄らないで!」

 突然現れた少女は、身長140センチ程、透き通った綺麗な黒髪を、腰あたりまでのばしていて、文学少女を思わせる装いをしていた。


 その少女は、小さい体を、密着していた冬至と神崎さんの間に、ぐいっ、とねじ込み、神崎さんの前に立った。


「日本にはね、こんなことわざがあるの、『冬至お兄ちゃん、妹と結婚しないと死んじゃうぞ』」


 こっちの諺は初めて聞いた。


「……佳奈、もうそろそろお兄ちゃん離れをしないと、大変な思いをしますよ?」

「いいの! お兄ちゃんは私と生涯を共にするんだから! っていうか、あたかもお姉ちゃん風な言葉遣いをしないで! 私は認めないんだから!」


 グググ、と冬至から遠ざけるように神崎さんを推す佳奈ちゃん。

 すると、今度は、ヒヨコに跨った、冬至の召喚獣、妖精女王のアリスが、ヒヨコの背から飛び、シュタっと着地した。


『ちがうわ、とうじはわたしのおむこさんになるのよ! ね、かいぜる』

『ピヨ!』


 慕ってくれている三人に囲まれる冬至、なんとも羨ましい限りだ。


「お兄ちゃんは、実の妹と結婚して、社会的に制裁してもらうの! そして、心の拠り所を私だけにするの!」

「残念ですが、今の彼の彼女は私ですわ、……大丈夫、冬至も幸せになるはずです。……最終的には」

『だめ! とうじは、わたしといっしょになって、しょうらいてきにはようせいにするの!』

 

 でも、なぜだろうか、誰を選んでも冬至は幸せにはなれない気がする。


「「『さぁ、えらんで!』」」


 三人が振り向いた先には、いるはずの人物は消えていた。


『おーい、君たち、早く乗ってくれ』


 バスの運転手さんが、こちらに手を振っている。

 すでに観光バスは到着しており、乗車していないのは、僕たちだけになっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ