第三十四話 自然教室
僕たちは、世界規模で放たれた記憶改竄の魔法を解くために、数々の試練を乗り越えてきた。
皇家にドアを破壊して侵入し、最強の召喚士と召喚獣を乗り越え、そして、幼馴染の好実を取り戻すことができた。
その結果、結果だけが残った。
僕たちが、皇家で暴れ回ったという結果が。
「「こいつがすべてやりました」」
僕と冬至は、お互いに指を刺しながら、責任を押し付け合っていた。
現在は生徒指導室で、皇家襲撃の尋問をされている。
担当は生徒指導室の教員、岡崎先生だ。僕と可井日向(好実)の模擬戦の審判もやってくれていた人だ。
「……お前たちは、本当に問題ばかり起こすな」
「……俺たちが犯人だって、どうやって判別したんだ?」
「皇家に侵入し、暴れ回っている本校の生徒がいると、皇家のご近所様から連絡をいただいた」
ふむふむ。
「だからお前たちを呼んだ」
ふむふ…… え?
「すみません先生、今話飛びませんでしたか?」
「飛んでいない」
「いや、だって…….僕たちが犯人だっていう根拠的なものはないんですか?」
「ない、がお前たち以外あり得ないと確信している」
「………」
これはまた、とんでもない信頼の受け方をされているようだ。
「岡崎先生! それはあんまりだと思います。僕がいままで問題を起こした事がありましたか?」
「今月入ってから、すでに生徒指導室を18回利用しているだろ」
「すごいな勇気、1日3回ペースで利用しているなんて、羨ましいぞ」
まったくの無表情でそう言ってくる冬至。
あれ? もうそんなに使っていたっけ、最近は数えてないから覚えてなかった。
「で、実際、お前たちがしたんだろ?」
「「………」」
「……やっぱりか」
岡崎先生は、困った表情で頭をぽりぽりとかく。
「……ちなみになんだが、もし俺たちが犯人だとしたら、どんな罰があたえられるんだ?」
冬至がそう聞くと、岡崎先生は、ホッチキスで止められた紙の束を、机の上に置いた。
「奉仕活動として、中等部の自然教室に、上級生として参加してもらう」
中等部、召喚士育成学校には中等部がある。一学年百人と少しぐらいの生徒がいる。
僕と冬至も、その中等部を卒業して、高等部に入学した。
そして、まだ召喚の儀式はしていないが。召喚する事が約束されている。
そうか、自然教室に参加されられるのか……。
あの、長くて辛い、自然教室に…。
「「すべてこいつの責任です」」
やはり、こいつになすりつけるしかない。
「早く白状しろ冬至、そして僕の生贄になれ……!」
「だまれ犯人、やはく出頭しろ……!」
取っ組み合いをする僕と冬至。
ぐぬぬ、このアホが……!
「……お前たち、責任を押し付け合うのではなく、違う観点から攻めてみたりしてみたらどうだ……」
「違う観点?」
「そうだ、例えばな……」
岡崎先生は、『自然教室のしおり』と書かれた冊子を、パラパラとめくりだした。
「ほら、見てみろ、海はすごく綺麗だし、みんなで食べるカレーはうまいぞ?」
なるほど、『違う観点』っていうのはこういうことか。
なら、言われた通り、違う観点から攻めてみよう。
「犯人探しはやめませんか?」
「久しぶりに度肝抜かれたな」
「……高橋、それは犯人が言っていい言葉じゃない」
あれ? いい攻め所だと思ったんだけど……。
僕たちの年と同じように、アレ、があるなら、気が滅入ってしまう。
「先生、やっぱり僕たち行きたくない……」
「ちなみにだが、成績の面から、高橋はすでに自然教室に行く事が確定している」
「冬至、綺麗な海を眺めながら、自然の中でカレーを作りにいかないかい?」
作戦変更、一人でも多く道連れにしよう。
「勇気、死ぬなら一人で死にやがれ」
だけど、ここまで言われるとは思ってなかった。
二章第一話です。二章から読んでも問題ないような小説を書くよう努めますので、よかったらこれからもご覧になられてください。




