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僕の召喚獣はヒヨコ  作者: ミドリガメ
召喚士編
31/95

第三十一話 本当の名前


「……まだよ」


 ぐったりと倒れているグリフォンを見つめながら、そう呟いた。


「私は、みんなの記憶を書き換えた、もう取り返しがつかないの、もう引き返すことはできない、勇気を倒すしか、道はないの……!」

「もう、無理をしなくていいよ」

「無理なんてしてない、これは私の」


「もう大丈夫だよ。このみ


 僕はそう優しく言った。


「………」


 好は、ポロポロと涙を溢した。

 可井日向(可井日向)の正体は、幼馴染の相川好あいかわこのみ


「ごめんね、いままで気づけなくて、好はずっとヒントを出していたのに」


 ここ最近、学校は欠席続き、模擬戦もほとんど出場していない。

 そして、好の記憶を僕以外の人間から消した理由。それは、僕に気づいて欲しかった、ただそれだけだったんだ。


「………」


 可井日向の、すべての変装が解ける。

 身長は縮み、髪はポニーテールに。

 服装は、男性用制服から、女性用制服に。

 幻影の魔法だ。見た目を女子から男子にかえ、見る者を錯覚させる。

 こんな芸当ができる召喚獣の心当たりは、一つしかない。


「君が、記憶を操作していたんだね」


 好の蛇の召喚獣、ベロニカが、彼女の首に巻きついていた。

 近づき、頭をツン、と突くと、細長い舌で指を舐めてくれた。


「私、ずっと嘘をついてた、最初から、ずっと、なにもかも……、私の心配をしてくれていた勇気や冬至にも……!」

「うん」

「だから、私は許されちゃいけないの、わたしは……!」


 大粒の涙をポロポロと落としながら、彼女はそう伝えてくる。

 自暴自棄になっている、けど、好を責めることなんて誰にもできない。しちゃいけないんだ、好自身も。

 だって……。


「好は、お母さんの思いを叶えたかっただけなんだ、僕だって同じ状況だったら、同じことをしていたと思う。だから、気にしなくていいんだ」


 そう言うと、彼女は顔をあげ、訴えかけるように話しだす。


「そんなこと出来ない! 私は、私は……⁉︎」


 僕は、両手を好の頬を覆うようにふれ、涙を拭った。 


「さぁ、僕が勝ったんだ、約束通り、名前を教えてほしいな」


 僕は笑顔で、そう聞いた。

 好は、少し沈黙したあと、ゴシゴシと右手で顔を拭い、涙を流しながら、笑顔を見せながら、ゆっくりと話し出す。


「私の、名前は……」



 

 




相川好の召喚獣、ベロニカは、第1話のみに登場しています。知らなかった人はぜひ1話をご覧ください。

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