第十四話 もう1人
僕は、公園で惚けていた。
夜景がとてもきれいだ、今の僕の位置からはコンクリートの外壁しか見えないけど、おそらく、綺麗だと思う。
いったい僕は何をいっているのだろう。
……冷静になって考えると、今回の件、色々と疑問点が残る。
可井君との試合をなかった事にしたのは、僕を一番にしたくなかったからだろう。
でも、好の存在を、みんなの記憶から消したこと、僕だけが記憶を改竄されていないこと、この二つに関しては目的が分からない。
それに、重大な問題もある。
今の僕には、相談できる相手がいない。
『あー、記憶改竄? そうだな、たしかにされたかもな、そんなことより上カルビ定食の話はどうなったんだ? それも記憶改竄って言いきるつもりか?』
冬至はまともに取り合ってくれないし、担任の先生も含めた教師達も、冬至と同じ反応を見せた。
……考えを変えてみたらどうだろう。
記憶を改竄されられたのは僕で、僕以外の人たちの記憶が正しい可能性。
昨日、冬至は『記憶の改竄』には、とてつもない魔力が必要だと言っていた。
だとしたら、この可能性の方が現実味がある、そうだ、おかしくなったのは、きっと僕の方なん……。
……いや、だめだ。
それは、好の存在を否定することになる、それだけはダメだ。
でも、どうしたらいいんだ。これ以上、僕にできることはないもないっていうのに。
「……もうこんな時間か」
高い位置に掲げられている公園の時計を確認すると、短針が九の方向を指していた。
……今日は帰って、また明日考えよう。
通学バックを取ろうと立ち上がった時、ビクビクっと胸ポケットが振動した。
「ぴよ! ぴよ!」
「うわっ…… びっくりした」
ヒヨコが勢いよくポケットから脱出し、僕の頭の上に着地した。
「ぴよ!」
頭をつんつんと突かれた。
……励ましてくれているのだろう。
そういう感情が、伝わってくる。
「ありがとう、元気がでたよ、ヒヨコ」
抜け毛を嘴で挟み、愉快に足踏みしているヒヨコ。
「ピヨっ!」
「帰ろうか、リード、リードっと」
ピロン
今度は、ブランコの端に置いていた、通学バックから音がした。
ん、今の音はLINEかな。
スマホを取り出し、画面を確認する。
「………⁉︎」
そして、予想外の文面に、思わず絶句してしまった。
『学校全体が、記憶阻害、または記憶改竄の魔力を影響を受けています。高橋勇気、力を貸しなさい 神崎奏』
バカ三人組で怒らせた。お嬢様からだった。




