第8話 レオナの追憶
レオナは、モモカの服装の意味を、考えた。
――――モモカ、お洒落な格好してた……まるで、誰かとデートしてるみたい。
――――モモカがつけていたマフラー、私がヨウキにプレゼントしたものだった、なんで、モモカがつけてるの?
レオナが、ある一つの、結論にいきつくことは、当然のことだった。
レオナは、思う。
―――――そうだよね、私、何日もいなかったんだもの。
―――――そうだよね、私は、ずっとずっと、2人に会いたかったけど、2人は、もう私がいなくても、大丈夫なんだね。
―――――そうだよね、私が今更戻っても、居場所は、どこにも、どこにも、ないよね。
レオナは、食料と水分をとれたおかげで、声も出せるようになり、助けを呼ぼうとしたところで、ある考えがよぎる。
モモカが地下室に来たことがバレたら、警察に怪しまれないだろうか、通報しなかったとなれば、もしかしたら、捕まってしまうかもしれない。
そうなれば、きっと、ヨウキは悲しむだろう。
レオナは、サンドイッチの包み紙と、ココアが入っていた紙コップをぐしゃぐしゃにして、地面と激しく擦り付けた。
モモカの指紋、そして、ヨウキへの思いと、3人の思い出を、まとめて消し去るように。
レオナは、警察に保護された後、病院で治療を受けた。
警察から、ヨウキと、モモカが病院へ向かっていることを聞く。
2人へメモを書く。
「ふたりと、あいたくない。」
涙が、メモに落ち、文字が少しだけ滲んだ。