第6話 モモカの思い
そんなある日、レオナが忽然と姿を消し、モモカとヨウキは、血眼になって、彼女を探す毎日は続いた。
今朝、モモカは、ヨウキを街に連れ出した。
ヨウキは、最初こそ表情は暗かったが、モモカが必死に場を盛り上げ、徐々に笑顔を取り戻していった。
彼の笑顔が見れて一安心して気が抜けたモモカは、先ほどまで忘れていた肌寒さを改めて感じ、手をこすり合わせた。
すると、ヨウキは、自身がつけていたマフラーをモモカの首に巻いた。
「あったかい、、、、」
モモカは呟く。
「そうだろ?レオナからもらった、あったかくて大事なマフラーなんだ。」
ヨウキは、笑いながら、どこか寂しそうな顔をしていた。。
また、ヨウキは、モモカの手を握り、こう伝えた。
「今日は、ありがとうモモカ。久しぶりに、すごく楽しかった。モモカがいたら、すごく元気をもらえるんだ!」
それを聞いた瞬間、モモカは、自分の隠し続けていた、見ないようにしていた、特別な感情が、じわじわと心の奥底から全身に広がっていくのを感じていた。
モモカは、気恥ずかしくなり、彼に、「小腹が空いたので、近くに行きつけのサンドイッチ屋さんがあるので、買いに行ってくる!」と伝え、その場を離れる。
モモカは、可愛いお店のロゴが描かれた包み紙に入ったサンドイッチ、同じくロゴが描かれた紙コップに入ったココアを購入した。
その後、ヨウキの元へ戻ろうとする。
しかし、サンドイッチ屋の裏通りの廃墟ビルに、モモカはある違和感を覚える。
その廃墟ビルの前には、「工事中、危険、立ち入り禁止」と書かれたボロボロの看板がたっている。
半年前、レオナを探そうと町中を探し回っているときにも、同じ看板がたっており、全く工事が進んでいないことに、違和感を覚えたのだ。
不審に思ったモモカは、廃墟ビルの地下に進む。
すると、奥には、分厚いドアがあった。
ドアには、鍵がかかっていない。
そのドアを開くと、8畳くらいの薄暗い地下室があり、その中央には、柱につながれた少女が倒れている。
「レ、レオナ!!!」
モモカは、叫ぶ。レオナを、ついに見つけたのだ。
やせ細っており、変わり果てた姿だったが、確かに彼女である。
近くに、彼女の父親らしき人物の死体があった。
どうやら、彼女の父親がここで監禁していたようだった。
彼女の父親には持病があると聞いていた。
外傷がないのを見ると、監禁の最中、病死したのだろう。
急いで、通報しようとすると、ヨウキからラインが来る。
【なあ、どこにいる?大丈夫か?お前までいなくなったら、俺、もう……。だから早くモモカに会いたい。】
その瞬間、通報しようとしていた指の動きが止まる。
そして、モモカは、眠っているであろうレオナに、懇願するように、呟く。
「もう少しだけ、もう少しだけ、彼と、デートしても、許してくれる?終わったら、助けに、行くから、すぐに、助けに行くから。もう少しだけ、私に夢を見させて……。」
モモカは、持っていたサンドイッチと、ココアをその場に置いた。
その後、彼と合流し、ほんの少しだけの、恋人関係を楽しんだ。
モモカへの後ろめたい気持ちを、地下室に閉じ込めながら。
帰宅後、急いで廃墟ビルへ行くと、すでに大勢のパトカーが集まっていた。
同時に、スマホへ警察から「レオナが見つかった。」と連絡が入る。
病院へ行くと、すでに彼の姿があった。
彼の嬉しそうな表情をみた瞬間、親友の2人を裏切った気持ちになり、心が、とても、とても痛み、泣きながらうずくまった。
モモカは、決意する。
「ヨウキと2人で、レオナへ会いに行こう。そして、2人に、全部話して、謝ろう。」