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作者: 物語のあるリボン / いろいと

物語のあるリボン作家『いろいと』です

私の作るリボンには、1つずつ名前と物語があります

手にとって下さった方が、楽しく笑顔で物語の続きを作っていってもらえるような、わくわくするリボンを作っています


関西を中心に、百貨店や各地マルシェイベントへ出店しております



小説は毎朝6時に投稿いたします

ぜひ、ご覧下さい♡



Instagramで、リボンの紹介や出店情報を載せておりますので、ご覧下さい

hhtps://www.instagram.com/iroit0

姿を隠して見えなくするのは気のせいか

そこにいるはずのキミは私を見てるのか分からない

『ねぇ、こっちに来て』

『どこ?』

『ほら、ここだよ』

声のする方を向くが、姿が見えない

こんなに濃い霧の中だと少し先へ行かれると、見失う

キミは私を見つめているのだろうが、私には見えないので少し不安になる



『もう、ここって言ってるのに、君は僕を見つけるのが下手だなぁ』

いい香りと共に、ふわっと柔らかな感触を感じたと思ったら、後ろからギュッと私を抱き締める

『だって、こんな霧の中じゃ、すぐに見失っちゃうよ』

『そう?僕は、いつだって君を抱き締めれるのに?』

くすっと笑う声と共に、キミは私の首の前で手を組み合わせ、私を軸にくるりと回り込む

そして、キミは私の目の前へと来るなり、微笑む

『大好きだよ』

首筋に置いた手が、スルスルと背中へと降りていき、もう一度ギュッと私を抱き締める

私の中にある不安だった気持ちが、嘘のように晴れていく



『もう不安じゃなくなったでしょ?』

『うん』

抱き寄せた体を少し離し、おでこが当たりそうなくらいの距離を取る

俯く私は、りんごのように紅く頬を染めた




·

手を繋ぎ森の中を歩き回る

今度は離れないように、大切に大事に

それなのに、ふと私が後ろを振り返った瞬間に手が離れてしまった

キミの姿を確かめようと、キミを見るも、姿はない

どこへ行ったのか、どこまで行ったのか



『ねぇ!どこ?!』

『え?ここにいるよ?』

『いないよ?見えない』

『ほら、ここだよ!僕は見えてるよ?』

『え?どこ?』

再び不安の海の中へ放り込まれた私は、必死で探す

ぐるりと辺りを見回し、左右確かめる

いない

どこにもいない

真っ白な霧は、見えているはずのキミを隠す

そんなに濃い霧のはずじゃないのに



『ねぇ、ここにいるよ?』

『なんで私には見えないの?』

『見えないの?僕はこんなに君をしっかり見ているのに。こんなに君を愛しているのに。君は見えないの?』

ぞくっと鳥肌が立つのを覚えた私は、どこか不安の他に何かを感じ取る

『ほら?ここにいるでしょ?』

耳元からキミの声を感じ、そのまま、また後ろから抱き締められる



『ねぇ?なんで僕を見つけてくれないの?』

今度は、背筋が凍るようなとても冷たい声で、私に問いかけられる

『大好きだよ。君は?』

『・・・大好き』

『そう。それは良かった、僕は、君が好きで好きでたまらない。ねぇ。どこにも行かないで?ねぇ。僕を探して?ほら?ねぇ?早く見つけてよ』

可愛い顔をしてケラケラと笑いながら、私の手を掴む

どんどん森の奥へと




·

ザクザクと草木を踏む音だけが鳴り響く

そして口を開く時には、移ろいゆく



『ねぇ?君は僕のこと好き?』

『うん。ダイスキ』

『本当?じゃあ、なんで霧の中で見つけられないの?』

『だって、本当に見えなくなるの』

『そうなんだ?僕は君をすぐに見つけられるのに』



濃い霧は、私を惑わせる

私は、ここに何しに来たんだっけ?

キミは誰だったっけ?

ワタシは・・・

『僕は君が大好き。誰よりも君を愛しているんだ。この霧があっても僕だけは君を見つけられる。そう・・・僕だけがね』

前を歩き私の手を引くキミは、チラリ私を見てニヤリと笑う

ねぇ?キミは、私をどこへ連れてくの?

·

最後まで読んで下さり、ありがとうございます


色々なお話を書いておりますので、どうぞごゆっくりとしていってもらえると嬉しいです


また明日、6時にお会いしましょう♪

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