炎の槍の破片
「破片」です。
こういう前振り好き。
昏闇が厚く覆う
太古の天空をつらぬいた大槍の
力強くも あたたかい橙と
まぶしくも やわらかい黄色の
太陽のような二層の炎を燃やした穂
昏闇を散らすとひきかえに
大槍はその穂をも 破片へと砕き
地表へと 火の粉を雨のように舞い降らせた
舞い降った火の粉は
もはや天空をつらぬくするどさをもたぬ
破片にすぎなかったが
それでも 新たな炎をうむ火種となり
舞い降った その地で 大地に孕まれて
ふたたび その穂を育む
見よ!
こうしてかたちを成した 小さき穂を!
橙と黄色の二層に尖り
大地を穿つような 色鮮やかな円錐を!
このあらましを知るものならば
白き円盤にのせられた それを
ありがたがりこそすれ
粗末にするなどいないだろう
さぁさぁ!
このあらましを知ったらからには
目のまえの人参を
つべこべ言わずに 食べるがいい
人参、美味しいです。