頬に当てた保冷剤と共に
で、今現在に至る。
アイツもいい加減呼び間違えないように頑張れよ。このままじゃ顔がどんどん右側だけ腫れ続けるんだけど。
「はぁ〜」
「ため息も10回目だよ」
「私の行動カウントしないではるちゃん」
はるちゃんも高校生の時に出会った。ほどほどに仲良くしていたが、大学に入ってからさらに仲良くなり、今ではいつもはるちゃんと一緒に行動している。彼女がいてくれて本当に良かった。彼女がいなかったら今頃私の居場所は何処にもなかっただろう。
入学して1ヶ月経つか経たないかぐらいの頃に初めて公衆の面前で殴られ、罵詈雑言を叩きつけられた私はヘリウムガスの入った風船ぐらい大学内で浮いた。そんな中はるちゃんは私と関わってくれて、私のイメージを払拭しようとしてくれた。おかげで沢山の人から受けた誤解は解けて、それなりに平和な大学生活を手に入れることができた。はるちゃんには感謝してもしきれない。
「大体あんたは優しすぎるんだよ。なんで毎度毎度律儀にビンタ食らっちゃってんの。避けるぐらいできるでしょ。」
「避けちゃったらビンタ以上のことされちゃうかもじゃん。」
またこの話だ。
「それ前も言ったけどわざわざビンタ食らわなくったってあんたなら話し合いだけで解決できるでしょって言ってんの。」
「一回殴ったからこそ冷静になれたりするもんでしょ。」
「そういうもんかなぁ」
「そういうもんだよ」
こうは言ってるが、なぜ私がビンタを甘んじて受け入れているのかは実際のところ自分でもよく分からない。避けたいとは思わないのだ。私は決して、決っしてMではないのでそういう特殊な理由もない。多分これからも避けることはないから、私の右頬は腫れ続けることだろう。しょうがない。それが私の出した答えだ。