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31.星剣と黒龍団

 レイ達はケインの魔法でギルド前へ移動してきた。

 確かに騒ぎになっているようだ。

 ギルドから駆け足で出ていく冒険者や、駆け込んでいく冒険者の姿が目についた。

 

「今回の件はギルドマスターに直接話を通した方が良いと思うの」


「そうだな。受付で話せば立ち聞きされる。聞き齧った内容を他所で喋られるのは好ましくない。ギルドを通せば体裁を整えた情報として公表してくれる。ルーナの勇名にとってもその方が良いだろう」


 ソフィアさんの提案にケインさんも同意した。

 そうしてソフィアさんは受付へ声を掛けた。

 受付嬢はギョッとしてソフィアに待つように伝えると2階へと駆け上がっていった。

 すぐに受付嬢は駆け降りてきてソフィアさんに何かを伝えている。

 

「アポが取れたわ。すぐに会えるそうよ。行きましょう」


 僕らは受付嬢に先導されて2階へと続く階段を上がっていった。



 その様子を階下で見ていた三人の冒険者が勘ぐり談義を始めていた。


「あいつら……聖女と賢者のパーティだろ??まさかあいつらがヨルムンガンドを……?」


「バカ言うな。あんな奴らもう引退したようなもんだろ?ロートルにそこまでの力はねーよ。この騒ぎに乗っかって担いでる勇者候補の勇名を稼ごうとしてんじゃねーのか?」


「けどよ、あいつら実際タロス討伐に成功してるらしいぜ。ワンチャンあんじゃねーか?」


「おう、シトリーも退けたって聞いたぜ。俺も無くはねーんじゃねーかと思うぜ」


 そこへ顔立ち、装備の整った一人の男が近づいて声を掛けた。


「君たち……その話、詳しく聞かせてもらえないか?」


「お、おう、あんた星剣の……?」


「急に話しかけて悪いね。実は今遠征から戻ったばかりでここ数日の出来事に疎いんだ。さっき話していた内容を聞かせてもらえないか?」


「おう、良いぜ!実はよ…………」


 初めに話していた冒険者達は身なりのいい冒険者にここ数日の出来事を説明していた。


「なるほど……賢者ケインと聖女ソフィアがね……。とてもいい話が聞けた。これで美味い酒でも飲んでくれ」


 そう言って冒険者達に金貨を握らせると、身なりのいい冒険者は二階へと上がっていった。


「おい……あいつも二階へ上がっていったぞ。正直確信なく話してたが……あいつ星剣の赤魔道士セインだよな?遠征と言っていたし……ひょっとしてヨルムンガンドをやったのは星剣じゃねーのか?」


「そりゃおおいにあり得るな。なんせ討伐不可能とまで言われたヨルムンガンドだ。星剣ならワンチャンあんじゃねーか?」


「ワンチャンワンチャンってお前そればっかじゃねーか……」


 冒険者達の勘ぐり談義はギルドに併設された酒場に場所を移動して、酒を入れながら第二ステージへと進んでいった。


「星剣って今レベルいくつだ?」


「星剣は今70だろ?こないだ難攻不落の霧の門を攻略して一気に勇名を稼いだのは記憶に新しいな」


「中でもリーダーであり勇者候補のロイはめちゃくちゃ強えぇらしーぞ」


「それは俺も聞いた。竜人バロンと斬り合って互角に渡り合ったらしい」


「ホントかよそれ……バロンとは格が違うだろ?あっちは攻略組トップだぜ?70と75……数字は近いが雲泥の差があると言われてんだ。さすがにバロンと分けたってのは眉唾もんだろ?」


「それがそうでもねーんだわ。マジらしいぜ」


「まぁ俺は実際見てねーから何も言えんわ。そういやバロンがヨルムンガンドの鱗の盾を持ってんのは有名だよな?あれってどうやって手に入れたんだ?」


「今の黒龍団を結成する前に一回挑んだ事があるらしいぜ。バロン以外は全滅っていう散々な結果らしいがな。その時にどうにか鱗を二枚持ち帰ったらしい。一枚は売って一枚は盾にしたって聞いたな」


「自力で取ってきたのかよ……ハンパねーな」


「バロンは現状最強だと思うぜ。あの黒龍団の団長だしな。バケモンだバケモン」


「お前ら、暇してそうだな。ギルドは騒がしいがなんかあったか?」

 

 いい調子で話していた冒険者の後ろから声がかかった。


「ギースか。今よ、賢者と聖女のパーティが受付嬢の案内で二階に上がっていきやがったんだ。ワンチャンあいつらがヨルムンガンドをやったんじゃねぇかって話をしてたんだよ」


 ギースはカウンターから酒とつまみを受け取ると三人の輪に入り席についた。


「ヨルムンガンド?それでギルドが騒がしいのか」


「そしたら星剣のセインが俺達に話し掛けてきてよ、遠征帰りだから最近の出来事に疎いっていうじゃねーか。だから賢者と聖女のパーティの事を教えてやったんだ。そのあとセインも二階に上がっていったからよ。こっちもワンチャンあんじゃねーかって話してたんだよ」


「俺はレイのパーティに一票だな」


「レイ?誰だそりゃ?」


「お前ら賢者と聖女のパーティのリーダーが誰かしらねぇのか?」


 ギースが問いかけたが三人とも知らない様子だ。


「あのパーティのリーダーはレイ。ゴッドアイと呼ばれてるぜ」


「ゴッドアイ?何だそりゃ?」


「あと、謎の少女に勇者候補のルーナ、死霊魔導士のロンド。賢者聖女と合わせて六人パーティだ」


「お前偉く詳しいじゃねぇか。交流でもあんのか?」


「ハーバル村でちょっと一緒になってな。ソフィアの姉さんに世話になったんだよ」


「詳しく聞かせろよ。ゴッドアイって何だ?」


「神の目だ。この世の全てを見通せるらしいぜ。付き従ってる謎の少女も桁違いの強さを持ってるって話だ。ヨルムンガンドを討伐したって聞いても俺は驚かねぇな」


「マジかよ……ロートルのパーティじゃなかったのか」


「全然違うな。レイは凄まじいぜ」


「ギース、オメェの見解を聞かせろよ。レイとバロン、どっちが上だ?」


「レイだね。ありゃ新時代のリーダーになる器だ」


「即答かよ……オメェも竜人バロンを知らねぇ訳じゃねぇだろ?レイってのはそこまでか?」


「すぐに答えは出るだろうよ。ヨルムンガンドに関する情報が公開されりゃ嫌でも目にする事になるぜ」


「ゴッドアイ……」


 三人の冒険者が目を合わせて声をハモらせた。


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