21.鏡写し
「何だと!なんてスキルだ?」
「今なの!!どんなスキル?」
「ちょ、今はそれどころじゃ……」
「気になります!スキル名を聞かせて下さい」
みんな案外余裕あるみたいだ……。
「ミラーリングというスキルです!」
「ミラーリング……鏡……後で検証してみよう!」
後で検証するというケインさんの言葉を僕は受け入れられなかった。使ってみたいという衝動に駆られ居ても立ってもいられなくなってしまった。
横にいるリンを見ると、リンもこちらを見ていた。
「いい、やってみて。何があってもリンが守る」
僕はリンの目を見て頷き、ミラーリングを使った。
僕のステータスのスキル以外の数値がリンの数値で上書きされていく!
「これが僕のステータス……」
「おい!使ったのか?どうなった?」
「僕の能力値がリンと同じ値になりました!!」
「なんだと!馬鹿げてる!!」
「結界の外で活動出来る?」
リンが心配そうに聞いてきた。
「試してみないとわからない。リン、少しだけ結界を解いてみて」
「苦しくなったらすぐに言って」
リンは結界を解いた。
大丈夫だ!息も出来る!
肉体強度も段違いに上がってるみたいだ。
「行ける!僕も戦えそうだ!」
瞬間ケインさんから叱責の声が上がった。
「お前は武器を持ってないだろう!お前はそこにいて魔王を前へ出せ!ルーナが少し辛そうだ!ルーナにはまだレベル40は荷が勝ち過ぎていたようだ!」
ケインさんやソフィアさんロンドさんはまだ余裕がありそうだけど、アタッカーのルーナが辛そうだ。
「リン、僕は大丈夫だからルーナを手伝ってあげて!」
「わかった!」
リンが一気に前線へ踊り出し爪を伸ばし一閃した。
リンの爪は動きを押さえているファイアゴーレムごとドラゴンを一刀両断してしまった。
あのレッドドラゴンを一撃で……。
「おおぅ……やはり次元が違うな……魔王は前線に出すべきではないか……」
「リン……助かった。ありがとう!」
ルーナがリンに抱きついていた。
「それよりレイ、あなたのスキルどうなってるの?ミラーリングって?リンちゃんと同じ能力値になった?」
「なんてスキルだ……もう俺では鑑定出来ん……一気に魔王と同じ能力値になってしまったのか……」
「そんなデタラメなスキルが存在するとは……驚きです……」
「このミラーリングはちゃんと解除出来るみたいです。元に戻せました」
「お前の素の能力値はすでに関係無くなってしまったという事か……」
「いや、そうとも言い切れないわ。ミラーリングで能力値は変えられてもスキルはそのままなんでしょ?ミラーリングでスキルは習得出来ない。やっぱり素の能力も鍛えてスキルも取っていかないと」
「魔王と同じ能力値でスキルは必要なのか……?」
「それはわからないけど……」
「レイ君のスキル……強すぎ……もう追いつける気がしないよ……」
「リン殿をミラーリングすればリン殿と同じ能力値に。ケイン殿ならケイン殿と同じ。ソフィア様ならソフィア様と同じに。それはブラウズからも可能なのでしょうか?」
「やってみます。リン、ブラウズしていい?」
「いい、やってみて」
僕はリンをブラウズしてミラーリングしてみた。
さっきと同じ状態になった。ブラウズからもミラーリング可能だ。
「ブラウズからでもミラーリング出来ました。すごいスキルだ、これ」
「いかなる相手であっても能力値は対等に渡り合える訳だ。そうなるとやはりスキルは必要という事になるな」
「そうね。スキルで負けてしまう。レイには戦闘系のスキルがないものね」
「普通の相手なら魔王のステータスで圧倒出来るだろうがな」
その後レッドドラゴンを収納し、レッドドラゴンスポナーを回収した。
「レッドドラゴンのスポナーか……素材の価値は非常に高いだけにまずまずの値がつくだろう」
クエストを片付けたので予定通り希少アイテム収集に取りかかった。
「オリハルコンは?」
「遠いです。遠いですが、方角はこちらです。行けない事もない距離です」
「向こうか……ファルスの森まで飛んでみるか……」
僕たちは森の入り口まで飛んできた。
「あっ、通り過ぎているようです。近いですね」
「そうか、この森はまだ未踏地域が多くある。入らずに済んで良かった」
僕はオリハルコンに向かって歩いた。
小高い丘の麓にある雑木林の中にあるようだ。
「この下です。ちょっと深そうだけど、掘れるかな?」
「任せて」
リンはフェンリルの姿になって穴を掘り始めた。
人の姿の時と段違いに掘れている!
すぐに10mぐらい掘り進んだ。
「もう少しだよ。慎重にいって」
「ーーわかったーー」
久しぶりの頭に響く声だ。
「ーー出てきたーー」
「本物のオリハルコン……前のを掘り出したと言うのも嘘だとは思ってなかったが、実際に見ると恐怖すら感じるな……」
僕たちはオリハルコンを回収して地上に戻った。
「オリハルコンはパーティの武器や防具作成に使おう。売るには惜しい。売れる物を探そう」
ケインさんがアイテム名を言い、近そうなら回収する。このパターンでいくつか回収した所で夕方に差し掛かってきた。
「今日はもう戻ろう。一日の成果としては素晴らしい物がある。ルーナの剣も近づいたな」
「私何もしてないので気が引けます……」
「パーティ内で出来る事出来ない事があるのは当然だ。補い合って難局を切り抜ける。誰が仕事をした。お前は働いてない。そんなパーティはすぐに破綻する。ルーナはパーティのアタッカーだ。レイはアイテム回収。役割があるだけで成果物に関して遠慮する必要はない」
「そうだよ、ルーナ。僕なんて戦闘じゃなんの役にも立たないんだから。こうやってパーティに貢献出来て嬉しいんだよ」
「ありがとう。私ももっと戦えるようになるよ!」
ルーナの方が僕よりずっと活躍してるのに……僕と同じように役に立ってないと感じてるんだろうか?
僕たちはケインさんのテレポートでギルドまで戻ってきた。
クエスト報酬だけで一人頭百万ギル近い稼ぎになった。クエストレベル40まで来ると稼ぎが違ってくる。
「アイテムも売ってしまおう。買い取りも金額が金額だ。信用できる所でないと叩かれる可能性がある。俺たちが利用していた所へ行こう」
僕達はテレポートで別の街にやってきていた。
「ここは商業都市パースだ。単純な物量に関しては王都の方が多いが、こちらは未踏攻略の最前線、冒険者向けのアイテムの需要が高い。ここで売り払った方が稼げるのは間違いない」
そう言ってケインさんは一軒のお店に入っていった。
「ルーク、やってるか?」
「ケインじゃないか、ソフィアも一緒か。しばらくだな」
「しばらく王都に引っ込んでたがこの度また現役復帰してな。買い取って欲しいもんがある。レイ、今日取ったもん出してくれ」
僕は取った物を順に出していった。
ついでに今までとったスポナーも出してみた。
「ほうほう……これで全部か?」
「あぁ、一度にいけるか?」
「問題ない。査定に少し時間をくれ」
「あぁ、頼む。ギルドでも覗いてまた戻ってくる」
「そうしてくれ」
ケインさんは店を出てギルドの前へテレポートした。
「パースのギルドには現状最高難度のクエストが存在する。未踏攻略の最前線に一番近い街だからな。一度見ておくのも良いだろう」
僕たちはギルドに入った。
冒険者の数は王都ほどではないが、見るからに強そうな人が多い。
クエストを見てみると確かにレベルが高い。
最高レベルの掲示板には70以上と書かれていて、十枚程張り出されていた。
「事実上70レベル以上のクエストが最高難度となっている。中でも今一番上になっているのはこれか……魔王ヨルムンガンド討伐……ヨルムンガンドといえば非常に有名な大蛇の魔物だ。昔から同じ場所に住んでいて何度となく討伐戦が行われたが現在まで誰も討伐出来ていない。レベルは90まで引き上げられている。ほぼ不可能クラスのクエストだな……」
「他にもちらほら魔王討伐のクエストは存在しているんですね」
「魔王は沢山いるからな。俺たちもいくつかの魔王討伐クエストをクリアしている。一定以上の戦力を持つ魔物が魔王の称号を得るそうだ。詳しくはそこの魔王に聞いてみるといい」
「無理、詳しく知らない」
リンは詳しく知らないそうだ。
「でもヨルムンガンドなら知ってる。弟だった」
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