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19.死体爆破

「お前は本当に便利な奴だ。よし、ルーナ、先導してみるといい。斥候に気を付けてな」


「はい、やってみます!」


 ルーナを先頭に十分程歩くと独特の匂いが漂ってきた。

 獣の匂いというよりゴブリン独特の不潔な匂いだ。


「近いな。初めの死体はどうする?現地調達か?」


「手持ちを使います。初手は確実に死体を作りたいのでオーバーキル出来る死体を使います」


 ロンドさんが鞄に手を入れた。


「準備は整いました。進んでください」


「はぐれが一匹います。もうすぐそこです」


「ルーナ様、そのはぐれは気付かれる前に処理して下さい。すぐに回収します」


「わかりました」


 少し進み相手を視認した瞬間ルーナはゴブリンの首を落としていた。

 ロンドさんは切り離された首と身体を回収して一言ルーナに注文をつけた。


「ルーナ様、出来るなら心臓をひと突きして仕留めて貰えますか?首を落とすとアンデッドとして使い勝手が悪くなります」


「わかりました。次からはそうします」


「首のない死体は視覚、聴覚、嗅覚を失う。首の有無はアンデッド化した時の能力に大きく影響する訳だ。死体を使う死霊魔導士にとっては、殺し方一つで次の一手が変わってくる。次に繋がる殺し方を少しづつ覚えていくんだ」


 ケインさんが解説してくれた。

 さらにしばらく進むと開けた場所がある。

 そこに集落があり、所狭しとゴブリンが闊歩していた。


「行きます。リアニメイト」


 鞄から出したホブゴブリンをアンデッド化して集落へ送り込んだ。

 僕たちは木陰でそれを見ていた。

 アンデッド化したホブゴブリンがゴブリン達に見つかったようで大騒ぎになっている。

 攻撃を受け始めたところでロンドさんが魔法を詠唱した。


「コープスブラスト」


 ゴブリンに囲まれたホブゴブリンが爆発して周囲のゴブリンが吹き飛んだ。


「コープスブラストコープスブラストコープスブラストコープスブラストコープスブラスト……」


 ロンドさんが次々と死体を爆破し、ゴブリン達は数秒で居なくなった……とんでもない魔法だ……。


 大量のゴブリンが横たわっている奥に一際大きなゴブリンがいた。

 眼前で怒っている出来事に余程腹を立てているのか、手に持っている大ナタのような物で地面をむちゃくちゃに叩いている。


「キングです。手強いですよ。まだまだ死体はありますのである程度はダメージを与えておく事は出来ますが、どうしますか?」


「レイ、残りの数は?あれで終わり?」


「あれで終わりです。もう残っていません」


「ならルーナさんの訓練にもなるからそのままでいいわ。ルーナさんとキングが対戦している間に無事な死体を回収しましょう」


 無事な死体っておかしくない?

 頭の中でそんなツッコミを入れながらルーナに続いて集落に入った。

 すごい匂いが充満している……そういやリンは以前ホブゴブリンを食べていたな。そう思ってリンに聞いてみた。


「リン、今なら食べ放題だけど。どうする?」


「ゴブリン臭くて美味しくない。いらない」


 やっぱりそうなんだ……さすがにこの数の魔石は回収出来ないしなぁ。


「無事な死体は回収するのでこちらに集めてもらえますか?」


 僕は無事そうな死体を集めた。

 中にはホブゴブリンやゴブリンメイジ、一際大きいゴブリンジェネラルも紛れていたようだ。


「ジェネラルの死体は拾い物です。誘導弾としては非常に優秀なので」


 誘導弾……確かにアンデッド化すれば敵陣へ自走してくれる。ジェネラルの肉体強度があれば目的地まで強行突破して爆破出来る。これはソロでも強い訳だ。


「死霊魔導士の強さの片鱗を見たわね。すごいでしょ?」


「怖いぐらいですね……」


 そうこうしている間にルーナとキングの決着がついたみたいだ。

 さすがに一撃必殺とはいかないけど、傷は心臓付近に集中していた。なるべく身体を壊さないように倒そうとしているのが見てとれた。


「ルーナの武器は鋼の剣か?ちょっと頼りないな。さっき持っていたオリハルコンで良い剣を作れ。鍛治を紹介してやる」


「そうしよう、ルーナ。僕たちいきなりこんな強敵と当たる想定をしてなかったんです」


「だろうな。じゃ次はお前の番だ。スポナーを残らず探し出して回収しよう」


 僕はスポナーをサーチしてリンに掘り出して貰った。


「しかしとんでもないスキルだ……スポナーがいとも簡単に回収出来てしまう。この辺りにオリハルコンはないか?オリハルコンの所在は常に確認しておいて近くに有れば回収しておくんだぞ。あれば必ず役に立つからな」


「わかりました。オリハルコンは近くにないですね。残念です」


 そして全てのスポナーと無事な死体を回収し終わった。


「よし、離れろ。残った物は全て焼いておく」


 ケインさんが大規模な範囲魔法を展開し、集落は全てが灰となった。


「集まってくれ。戻るぞ。テレポート」


 僕たちは瞬時にギルド前に移動した。

 クエストを受けてから二時間ぐらいで終わってしまった……。


 クエスト完了の報告を行い、300万ギルの報酬を受け取った。

 そこから一人45万ギルずつ取り、残り30万は積み立てる事にした。

 まだスポナーなどの売却も残っているので、稼ぎはまだまだ増える。

 たった二時間ほどで凄い稼ぎだ。


「余裕過ぎたな。俺もソフィアも魔王も遊んでいた。レベル30程度では慣らしにもならんようだ」


 そうは言っても今のクエストだけで僕の冒険者レベルは5から10に上がっていた。


「一気に5レベル上がりました。ルーナは?」


「私も5上がってるよ。リンも5になってる」


「この分じゃすぐに30レベルに到達しそうね」


「ぶっ壊れパーティだ。完璧な情報に勇者と魔王。そして聖女、賢者、死霊魔導士。隙がない。強すぎるぞ、このパーティは」


 その時、少し離れた所からこちらを見ている騎士がいた。

 ルーナもブレン達も着ていた服だから良く覚えている。

 その男はゆっくり近づいてきてルーナに声をかけた。

「やあ、ルーナじゃないか!僕を覚えてる?」


「アルフレッド……だったよね?覚えてるよ」


 士官学校の知り合いだろうか。


「君も騎士団に所属したんじゃなかったの?冒険者をやっているように見えるけど」


「騎士団は辞めたの。今は冒険者だよ」


「あちゃー、勇者レースからドロップアウトかー。君は有望株だと思ってたんだけどなぁ。ま、冒険者で騎士団所属以上の勇名を稼ぐのは難しいし、僕の友人リストからは消しておくよ。じゃぁね」


 その男は去っていった。


「こっちから願い下げよ……」


「心配するな。お前の勇名はすぐに轟く。すぐに擦り寄ってくるだろう。その時にお前の知人リストから消してやれ」


「はい、そうします!」


「ルーナの剣を作りに鍛治屋さんに行く時間はあるでしょうか?」


「まだ時間はある。早い方がいい。今から向かうか。テレポートするぞ」


 僕たちは職人街のような通りに来た。


「ここはギルドから15分程歩いた場所にある鍛治通りだ。鍛治屋が何軒も並んでいる。俺のおすすめの鍛治屋に入るぞ」


 そう言ってケインさんが一軒の鍛治屋に入っていった。


「ガラム、いるか?」


「ケインじゃねぇか。ソフィアも。どうした?」


「ここにいるのは勇者候補のルーナだ。持ってる武器が頼りなくてな。一振り打ってもらいたくて来たんだ。レイ、あれを出してくれ」


 僕は鞄からオリハルコンのは鉱石を取り出した。


「おぉ……いいモン持ってんじゃねぇか……」


 ガラムさんは鉱石を持ち、じっくり見ていた。

 鑑定しているのかも知れない。


「掘り出したのよ。ねぇ、これは使い道ある?レイ、瓦礫もいくつか出してみて」


 僕はオリハルコン周りから一緒に掘り出した瓦礫を出した。


「こりゃ濃度が濃いな。どんなに慎重に精錬しても魔力ロスが出るもんだが、こいつを炉に一緒に放り込めば魔力が逃げるのを防げる。良い剣が出来るだろうよ。あるだけ置いていってくれ」


 僕は瓦礫を全て出した。


「お前らついてたな。オリハルコンを採掘するなんざ普通は経験出来ねぇ」


「このオリハルコンを使って最高の剣を作って下さい。全部使っていただいても構いません」


 ケインさんとソフィアさんがこちらを見た。


「相変わらずレイは思い切りが良いわね……ガラム、最高の剣をご希望よ。打てる?」


「俺を誰だと思っている。このオリハルコン全部使えば純度100%のオリハルコンの剣が出来るだろう。後悔するなよ。怖いぐれぇ斬れる剣になるぜ」


「オリハルコン100%の剣……ロベルトの持つ剣でも70%だったろう?それでも当時は新聞に載るほど話題になった。今回の件も新聞に載るかもな」


「新聞に載るかもじゃなく載せるのよ。ガラム、職人仲間にもオリハルコン100%で剣を打っていると情報を流しておいて。積極的にルーナさんを盛り上げていくわよ」


 その後ルーナとガラムさんは打ち合わせに入った。


「打ち合わせは時間がかかる。妥協なく剣を打つ為には必要な工程だ。俺達はお前らが泊まっている宿で飯を食いながら今後の事を話そう。ルーナ、終わったら宿まで戻れるか?」


「はい、道はわかるので大丈夫です!」


「よし、先に宿へ戻るぞ」


 僕たちはテレポートで宿へ戻った。


「テレポート便利過ぎますね……」


「移動に時間をかけない生活はいいぞ。お前も取れ」


「取りたいと思っても僕には無理ですよ……」


「何も努力せずに言うな。まず瞑想から始めるんだ。じきに魔力が伸びて、それに比例してマナが伸びてくる。そうすると魔法系のスキルが取れるようになる」


「そんな簡単にいきますかね……」


「努力を忘れるな。常に努力。お前のスキルも常に発動させて熟練度を上げていけば新しいスキルが降りてくるかも知れん。お前の次のスキルが楽しみで仕方ない」


「それが楽しみでこのパーティにいるようなもんよね」


「あぁ、全くだ……」


 僕たちは食堂で食事を注文して今後の事を話し合った。


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