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12.妹

 翌朝、早く目が覚めてしまった。

 食堂へ降りてみるとまだ営業しておらず、ルーナもまだ部屋で寝ているみたいだ。

 ギルドの業務もまだ始まっていない。


 二度寝する訳にもいかないから僕とリンは食堂の席に座って鞄からボリューム満点のステーキを取り出して食べ始めた。

 ヤバい量だ……朝から食べるもんじゃなかったな。

 リンはすごく美味しそうに食べていた。


「リン、美味しい?」


「――美味しい――」


「良かった。リンは肉料理が好き?」


「ーーお肉好き。野菜嫌いーー」


「そう思ってリンには肉料理を沢山買ってあるからね」


 僕はリンの頭を撫でながらルーナが降りてくるのを待った。

 僕は待つ間に通りかかった冒険者をブラウズしてみた。

 やっぱり昨日見たソフィアさんやケインさんのステータスは強烈だと言う事がわかる。

 普通の冒険者から比べるとブレンのステータスも十分強い。

 僕自身のステータスも見てみたが悲しくなるようなステータスだった。考えないようにしよう……。


 そんな事を考えているとルーナが動いた。起きたみたいだ。ルーナの動きをモニタリングしながらふと考えた。これも覗きになるんだろうか?私生活はあまり見ないようにしよう……。


「おはよう、レイ君早いね。何か食べた?」


「おはよう、ルーナの分もあるよ」


 僕は同じ物を出した。


「朝からすごいの食べてるね……」


「他のがいい?これとかどう?」


 僕はスープとサラダとパンのセットを出した。


「こっちもらうよ。美味しそう!」


 リンがステーキを食べたそうに見ていたのでリンの前に置いてあげた。


「リンには少なかったね。これも食べていいよ」


 リンは嬉しそうに食べ始めた。

 美味しそうに食べるリンを見てルーナが声を掛けた。


「リン、色々迷惑かけるかも知れないけどよろしくね」


「ーールーナも守るーー」


「えっ!?」


 ルーナが驚いた表情をしている。

 そういえば昨日リンの事説明し損ねてた。


「ルーナ、リンは意思疎通が出来るんだ。大きな声ではいえないけど、リンはフェンリルなんだ。レントで現れて避難したあのフェンリル。全部僕を守るために現れてたんだよ」


「そうだったんだ……ウルフにしては綺麗な色だから変異個体?リンって名前がついてるからネームド扱い?とか色々考えてたんだけど……フェンリルだったんだ……リンは大きさを変えられるの?」


「そうだよ。ね、リン」


「ーーもっと小さくもなれるーー」


「リンはすごいね。誰もいない所で本当の姿も見せてね」


「ーー人の姿にもなれるーー」


「えっ?」

「えっ?」


 声がハモった……。


「リン……人の姿になれるの?」


 ルーナが改めて尋ねた。


「ーーなれるーー」


「リン、今はなっちゃダメだよ。誰もいない所で試してみよう!」


 慌てて僕はリンに念押しした。


「僕の部屋に行こう!」


 ルーナとリンが食べ終わるのを待ち、食堂を出て僕の部屋に入り鍵を閉めた。

 これでとりあえず安心だ。


「いいよ、リン。人の姿になってみて」


 リンはほわーんと光り、人のシルエットに変わっていった。

 光が収まると15、6歳ぐらいの女の子になっていた。

 そして裸だった!

 

「わっ!レイ君向こうむいて!」


「ごめん!」


「鞄からリンが着れそうな物をさがしてみて!」


 僕はルーナに声をかけた。

 ルーナが僕の鞄をゴソゴソして着れそうな物を探してくれた。


 僕が買った服の中にリンが着れそうな服もあったようでどうにか人前に出られる状態になった。


「リン、その状態でも戦える?」


「ある程度なら」


 リンは手を出して爪をジャキーンと伸ばして見せた。

 

「人の姿なら声が出せるの?」


 ルーナが問いかけた。

 そういえばそうだ。

 たどたどしいけど今ちゃんと喋ってた。


「人の姿なら人の言葉発音出来る」


「リンはやっぱりすごいな!人の姿でいると魔力とか沢山消費したりする?」


「変化する時少し消費する」


「じゃぁ街にいる時はこの姿でいてもらおうよ。ね、レイ君」


 ルーナがリンにべたべた触れている。

 

「妹が出来たみたい!すごく嬉しい!」


 ルーナがリンを抱きしめたり頬ずりしたり好き放題やっている……リンもまんざらじゃない顔をしているから大丈夫かな。


「そろそろ北門に行かないと。ソフィアさんを待たせてしまうよ」


「ほんとだ!はしゃぎ過ぎてた!」


 三人は北門へと急いだ。



 北門ではソフィアさんが馬車の御者さんと話をしていた。

 こちらに気づき、すぐにリンにも気付いた。

 じっとみているので鑑定中なのかも知れない。


「リンちゃん……レイのパーティはなんでもありね……さぁ馬車に乗って。出発するわ」


 僕たちは馬車に乗り込んだ。


「出発します。少し揺れるのでお気をつけ下さい」


 御者さんがそう言い、馬車は走り出した。


「さて、リンちゃんがこうなっている理由を聞かせて貰えないかしら?」


 ソフィアさんが御者さんに聞こえないように小声で言った。


「リンが人の姿になれると言うのでなってみて貰ったんです。思ったよりしっくりきていたのでフィールド以外ではこの姿でいてもらうのも良いかと思っています」


 隣でルーナがリンの頭を撫でている。

 えらく嬉しいようだ……。


「なるほど……リンちゃんにとってウルフになるのも人になるのも同じ変身って訳ね」


「この姿なら人の言葉も発音出来るんです」


「そうなの?リンちゃん?」


「人の言葉発音出来る」


「すご過ぎるわ……ここまで出来るなんて……。魔物の中で人と会話が出来て、人化が使えるのは竜だけだと思ってた。フェンリルは伝説級の幻獣……沢山いる竜より高位なのかもね」



 その後僕たちは馬車に揺られながら色んな事を話した。

 僕はハーバル村へはまだ行った事がない。

 レイザールより北には行った事がなかったんだ。

 ソフィアさんが言うにはハーバル村にはそこでしか採取出来ないハーバル草というのがあるそうだ。

 薬草と見分けるのが難しく、採取が難しいそうだ。

 僕は俄然やる気が出た。一瞬で採取してみせる!

 今からハーバル草の所在地を視界に収めておいた。


 それ以外にも知ってる限り高級な素材をサーチしていったが、進行方向付近には存在していなかった。


「ソフィアさん、せっかくフィールドにいるので街道から離れ過ぎない範囲で採取出来たらと思うんですけど、何か希少なアイテムを教えて貰えませんか?」


「希少なアイテム?そうね……オリハルコンとかどう?」


「オリハルコン!物語でしか聞いたことないですが、実在するんですか?」


「モチロンよ。実在するわ。私のモーニングスターメイスにも僅かながら入ってるの。ほんの僅かでも配合出来たら飛躍的に強度が上がるのよ。レイのスキルならオリハルコンを探せるの?」


「探せますよ。やってみます!」


 僕がオリハルコンをサーチした。

 視界にはいくつも捉える事が出来ているが、どれも遠い。


「残念ながら近くにはないみたいです。一番近くても徒歩で二時間ぐらいかかりそうです……」


「ちょっと待って!嘘でしょ?オリハルコンが徒歩二時間で手に入るの??どっち?寄り道して取っていくわよ!」


 僕はオリハルコンがある方を指さした。


「御者!向こうへ向かって。少し寄り道したいの」


「お任せください。路面が悪いので少し揺れが大きくなりますがご了承下さい」


「構わないわ。どんどん行っちゃって」


 徒歩で二時間と言ったが、馬車なら半分ぐらいの時間で近くまで来た。


「そろそろです。馬車を止めてもらえますか?」


 僕は馬車を降りた。

 何もない草原だが、前方50m程進んだ所に確かに存在する。

 近くにかなり大きな魔物も鎮座していた。


ーーグラスドレイクーー


 あの近くにオリハルコンがあるのは間違いない。


「なるほど……そういう事ね……あいつの後ろに巣穴がある。そこにあるって訳ね」


「大きいですね。私たちで倒せますか?」


 ルーナがソフィアさんに問いかけた。


「十分行けるわ。グラスドレイクはそんなに強くない。あいつはちょっと大きいけど、リンちゃんとルーナさんの初陣としては丁度いい相手だわ。やりましょう。武装して!」


「レイ君はそこにいて。リンはそのまま戦えそう?」


「このままで大丈夫」


「大丈夫なんだ……心強いね」


 そういう感じね。

 僕の立ち位置が少し見えた。


「御者!もう少し離れていて」


「モチロンそうさせていただきますよ!」


 馬車は50m程後退した。

 

 戦闘が始まってすぐリンが威圧を放ったみたいだ。

 グラスドレイクはビクリとして動きを止めた。

 そこにルーナが切り込んだ。

 グラスドレイクの正面から後方まで瞬時に通り抜け、グラスドレイクは前方に倒れ込んだ。

 両足が一度に切断されていた。あの一瞬で……。


「縮地一閃……ロベルトから教わったのね。リンちゃん、首を落としてみて。グラスドレイクはなるべく頭部をキレイに残したいの」


 リンが無造作に腕を振り上げると、手元から光る爪が飛び出し、ドレイクの首を一刀両断した。

 

「凄いわね……魔法?」


「爪を飛ばしただけ」


 爪を飛ばしただけって……。


 頭部を失ったグラスドレイクはうつ伏せに地面に突っ伏した。その状態でも僕の身長の倍はあった。

 こんなの平然と倒すこの人たちすご過ぎない?


「レイ君、収納して。王都で解体しましょう」


「え!こ、これ収納するんですか?こんなの入るのかな……」


 僕は鞄を近づけてみた。

 するとしゅるんと入っていった……平然とあの巨体を収納しちゃうこの鞄も恐ろしい!


 ソフィアさんが周りを見ながら呟いた。


「この場所は覚えがある。現役の頃に一度ここでグラスドレイクを討伐してるわ。確かここのグラスドレイクはリスポーンするの。この巣穴に何か秘密があるんじゃないかと言われていたけど、結局誰も何も見つける事が出来なかった」


「そこで僕の出番ですね!」


 僕は胸を張った。


「この穴の中には敵対生物はいません。入っていきますね」


 張り切って入ろうとする僕をソフィアさんが制止した。


「念の為にルーナさんが先導して」


「わかりました!」


 僕たちはルーナを先頭に洞窟へ入った。



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