表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢にとりつかれました!  作者: 葉桜 笛
悪役令嬢いなくなりました!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

90/92

第79話 光の妖精、現る

「グラウンドがメチャクチャじゃないか!!」

「木は焼けげてるし、折れているものも多い」

「なんだ!? この〔毒の沼〕は!?」

「は!! バードック騎士団長が倒れている!!!!」

「あなたほどの剣豪が倒れるなんて、誰にやられたのですか!?」






 う、これはマズイ。

 やったのは、全て私!!


 グラウンドの木がほとんど焼けているのは、前に授業で〔火の呪文〕を全力で唱えたらビームのように炎が出たから。あ、木が折れているのは、魔人になったアイエ総司令官の衝撃派のせいだわ! でも、〔毒の沼〕は私のせい(紫だけどただの水よ)。ロザリーのお父さんが倒れているのも、私のせい。


 正直に話すべきなの?

 その場合、アイエ総司令官は罪に問われるのかしら? そしたら、王様になれなくなっちゃうかもしれない。アイエ総司令官は王様になるためにがんばってきた。


 マズイ。


 どうしようと思いながら頭をかかえたら、一瞬、視界に入った自分の手が透けているように見えた。



「大変なんだよ! ロザリンの体が透けてきた!!

 ロザリンが消えちゃう!!!!」



 そっか。

 ロザロザが心から〔復讐ふくしゅう〕をあきらめたから、私の役目が終わるのね。

 勇者の時みたいに、元の世界に帰るのだわ。



「消えちゃイヤだよ!

 ねぇ、やっぱりアイツ焼き殺そう?」


「乙女ゲームの案内役が、物騒ぶっそうなこと言わないの!

 別れがさびしいと思ってくれるのは嬉しいけど、人殺しはダメ。それに、殺したら、やはり役目が終わって〔元の世界〕に帰ることになるわ」



 どうせ帰ることになるなら——————。

 私は、ヘンリー王子に「ごめんね」と言ってから、宮廷魔法騎士団の人たちに言った。



「やったのは私よ!!」



 嘘ではない。

 けれど、なるべくイジワルに言ってみた。

 もうすぐ私の体が消えてしまう。人生最大の大芝居をしてみようと思った。できればダマされてほしい。




「もう少しで、アルムス王国を乗っ取れそうでしたのに、連合軍にバレルなんて!

 アイエ総司令官さえ気づかなければ上手うまくいったものを!!

 うぅ……、ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」




 体が消えていくのに合わせて、悪役っぽく苦しんでみた。

 さっきまで歓喜の涙を流していた生徒たちは、あごのあたりで手を組んで不安そうな顔をしている。




「ロザリー様、消えないで!!」

「ウソですよね!?」

「行かないでください!!」

「お嬢様!!」




 マリーとスピカ、そして、ティアとミュゼがってくれたのだけど、私の体は消えた。
















 ここは______。



 気が付くと、果てしない暗闇と、下から輝くオーロラの上に私は浮かんでいた。

 ここは、初めてロザリーと会った空間だわ。


 泣きじゃくる声が聞こえてくる。

 よく見ると、少し離れたところに妖精さんがいた。



「う、うぅ……。

 こんなはずじゃなかったのに、ごめんね……」



 両手で必死に涙をぬぐっている。涙が次から次に出てきているようだった。



「ただ、ちょっと……楽しい時間を一緒にごしたかっただけなのに……」


「そっか。

 あなたがロザロザに手をして、私をこの世界に呼んだのね」



 もしかして……と思って聞いてみた。

 悪役令嬢が殺されてうらみを持ったからといえ、人間をゲームの世界に引きずり込むのは大変そうだもの。

 妖精さんは、すぐにコックリとうなずいた。



「昔ね。

ずっと昔に、ロザリンとそっくりな子と仲良くなったんだよ」



 その子は、がんばり屋さんだけど要領ようりょうが悪かった。他人と自分をくらべて、失敗していたらしい。


 彼女は妖精を見ることが出来なかった。

 それでも、彼女は妖精に気づいた。


 妖精は、ちょっと物を隠してみたりして、人間を困らせて遊ぶことがあるそうだ。

 見えなくても、彼女はそれに気付いた。「あ、妖精さんの仕業ね!」のひとりごとが始まりで、妖精さんは反応を見て遊んでいたとのこと。「あれが無いと困るなぁ。妖精さん一緒に探して」とか言われると、物を探し出してコッソリ近くに置いてあげた。



 私を見て、妖精さんは楽しかった日々を思い出したらしい。“今度は楽しく会話をしてみたい”と思った。

 だから、ゲーム会社の人の夢に出て、当時の世界を再現した〔きらめき☆魔法学園〕を作るよううながした。


 ゲームとして販売するのが大前提だいぜんていなので、雰囲気が似ているだけの世界。

 しかも、急いで作らせたので、プログラムにバグがあった。

 そのせいで、ロザリーが焼き殺された。



「本当はヒロインとして招くはずだったんだよ……。

 でも、ゲームの世界に入ってもらえるなら、悪役令嬢でもいいかなって……あんまり変わらないかなって思ったのに……」


「それで、本当の案内役の〔光の妖精〕を〔ロザリーの魔法の杖〕に変えたのね?」


「もともと案内役は変わってもらう約束をしてたんだよ……って、あ!!」






「バレタ☆」






 どこからか、声が聞こえてきた。

 どこだろうと考えていると、手に持ってた杖が妖精に変わった。




 同じ姿の妖精さんが二人!!




 後から現れた方のが、声が少し幼くて、体全体がさらに輝いている。



「セッカク、光ノ妖精二見エルヨウ、協力シタノニ〜。

 [ティア]ハ、光ノ妖精ガ見エルカラ、彼女ガイル時ハ、特二大変ダッタヨ☆

 モウ、バレタシ、[闇ノ空間]二イルノ疲レルカラ、帰ルネ」



 言いたい事だけいって、本当の案内人はこの空間から出て行った。



「やっぱり。あなた、本当は〔闇の妖精〕ね?」



 妖精さんは、しょぼんとうつむいて「ごめんね」といった。

 なので、私は「謝らなければならないのは私の方」と答えた。



「ロザロザと夢の中で〔魔法少女〕になったとき、一つ目のカラスが出てきて“怖い”って言ってしまったわ。

 あのカラスが、本当の妖精さんの姿なのでしょう?」



 妖精さんが〔闇の妖精〕かもしれないと思ってから、ずっと考えていた。

 なぜ〔光の妖精〕のフリをするのか。

 後に聖女となるヒロインの案内役が〔闇の妖精〕だと、少し変。だけど、ロザリーは〔悪役令嬢〕。〔闇の妖精〕が案内役でもおかしくない。


 なら、なぜ隠すのか。

 もしかしたら、自分の本当の姿を見られるのに抵抗があるのかもしれない。


 そう思うと、夢の中に一度だけ出てきた〔一つ目のカラス〕が妙に気になった。

 あのカラスは、本当の姿を受け入れてくれるかどうか様子を見るために出てきたんじゃないのかな。考えれば考えるほど、そう思えた。



「勇気を出してくれたんだろうに、むやみに怖がってごめんね」



 申し訳なくて、妖精さんをギュッと抱きしめる。

 すると、妖精さんはわんわん泣いた。

 そして、紫色の光が妖精さんを包み、妖精さんは一つ目のカラスの姿になった。



「感情がわかるようになったら〔精霊〕に進化するって、ゴリゴリモンスターと戦っていた時に言ってたじゃない?

 妖精さんなら、きっと、すぐ精霊に進化できるわ」


「そうかな?」


「うん。そうだよ。

 本当のことが言えなくて思い悩んだり、私がゲームの世界で楽しめなかったって悲しんでくれたり、人のことを気遣えるのだもの」



 どんな感情を食べてきたかで、進化した時の姿が変わるって前に聞いた。

 妖精さんなら、きっと人間の姿になれる。

 そうすれば、怖がられる心配もなくなる。


 精霊に進化すれば普通の人にも姿が見えるから、妖精さんがさびしくなくなるといいなと思った。



「ロザリン。お別れの前に、あたしに名前をつけてほしい」


「名前?」


「うん。

 ロザリンが元の世界に戻っても、妖精が見えなくても、名前を呼んでくれたら会いにいく。そのための名前。

 だから、もう会えなくなるようなこと言わないで」


「そうだね。

 私たち死ぬわけじゃないものね」



 どんな名前がいいのかなと考えた。

 ロザリーは、バラの花からついた名前。バラと相性のいい花の名前がいいと思う。



「“ブルー・デイジー”はどうかな?

 バラと相性のいい花だと、どこかで聞いたことがあるわ。青くて、かわいいな花よ」


「それいいね! ブルー・デイジー!!

 黄色や赤の花じゃないのは、あたしが〔闇の妖精〕であることを意識してくれたんでしょ?

 とても嬉しい☆

 今まで、名前なんかいらないって思ってたけど、いいものだね!」



 妖精さんが笑顔になってよかった。

 自分のことを思ってつけてくれたのが伝わって、嬉しいそうだ。


 今までは、人間に召喚される可能性が出てくるから、名前があると面倒めんどうだと思ってたんだって。


 召喚にはおうじなくてもいい。

 けど、知らない人から呼ばれるのはうるさく感じる。だから、本当の名前をかくしたりする必要があるみたい。



「元の世界に戻っても、名前を呼んでくれたら風を吹かせて会いに行くよ。

 だから、時々でいいから、あたしのこと思い出してね」


「うん! 呼ぶ!!

 時々と言わずに、しょっちゅう呼んじゃうんだから」



 私と妖精さん……ううん、ブルー・デイジーとは、泣きながら笑顔でお別れをした。

 そして、気がつくと、私は東京の自分の部屋にいた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ