第72話 ミュゼ現る
ちょっと短めです
「とっ…………とつ、突然……ななななななな何を言い出すんだよ?」
明らかに動揺している妖精さん。
目をそらして、斜め上の方を見てる。
「〔光の精霊〕も、ロザロザについていった〔古の光の妖精〕も、私のこと“闇ノ属性ノ者”って言うのよね」
「……じゃ、じゃ…………じゃぁ、ロザリンが“闇の属性”なんじゃないの?」
「その可能性もある。
でもね? 〔光の精霊〕も〔古の光の精霊〕も、ちょっと機械的な話し方なのに、妖精さんはすごくノリノリの話し方なんだもの」
「き、きっと……ゲームの〔案内役〕だから、じゃないかな?」
その可能性も考えた。
ゲームの〔案内役〕って可愛くておしゃべりだよね。
「他にも気になることがあるの。
〔光の精霊〕も、〔古の光の妖精〕も「“チョーカー”ニハ、ナレナイ」って言ったんだよ。で、〔光の精霊〕は“ティアラ”に、〔古の光の妖精〕は“翼”になった。
普通、同じ属性なら出来るんじゃない?」
「と、得意、不得意ってあるよぉ……ねぇ?」
それぞれの個性かもしれないけど、まだ気になることがある。
「夢に〔古の光の妖精〕が出てこなかったんだよね」
「へ、へぇ? ……そうだったかな?」
「〔闇の魔法〕に“眠らせる魔法”があったよね?
〔闇の妖精〕なら、夢に出てくるのも簡単そうだわ」
一つや二つなら、(気のせいかも)って思う。
でも、四つも気になることがあると怪しい…………。
「うわぁ! 威力が増した!!」
「防御だけで精一杯だ!」
「なんか、俺たちの魔法が弱くなったような?」
「魔法が出にくいわ!!」
「どうしたらいいいんだ!!!!」
妖精さんとお話している間に、須吾威さんが〔キング〕になっていた。
頭上に輝く〔王冠〕は、きっと光の精霊さん。須吾威さんは、コンサートが朗読劇の最中に召喚されたんだと思う。着ている服に違和感が無い!! 王冠がとても似合っているし、この世界にとけこんでいる!
まさにキング!!!! さすがだわ!!
大ピンチなのも忘れて、目を奪われた。
同じグラウンドにいるのに、須吾威さんの方が高いところにいるような感覚。神々しい。
「大変なんだよ!
この辺りの精霊が、みんな勇者にメロメロになってる!!」
えぇ!?
精霊が須吾威さんにメロメロだから、魔法が出にくくなったってこと!?
これは、しょうがないとしか言い様がない。
ただでさえ絶望的な状況なのに、さらにこっちが不利になった。
どうしたら良いんだろう?
須吾威さんより秀でていることがないか考えた。
(無い!!
……この世界にいた時間と…………人数……かな?)
人数なら勝っている。
ダメ元でやってみるしかない!
「みんな!
庶民の魔法よ!!」
みんなでタイミングを合わせて、呪文を唱えることにした。
須吾威さんは「庶民?」と、何のことかわかないようす。今しか無い!!
「「「「「ファイア!!!!!!」」」」」
須吾威さんの前に、〔炎の壁〕ができた。
やった!
二メートルぐらいの炎!!
みんなすご~く喜んで、飛び跳ねた。
これで、少し時間がかせげる!
「スゴイよロザリン!!
でも、なんで?
魔法が出にくくなってるのに、人数が多いとはいえ、よく大きな炎出せたね」
「“〔火の魔法〕は大きな声で”って、授業で習ったでしょ?
だから、“短い大きな音がすれば、反射的に精霊が動いてくれるかも”って思ったの!」
「庶民の呪文をうまく使ったね☆」
「それより、次よ!
すぐ炎は消されるだろうから、どうするか考えないと!!
みんなで走って逃げる?」
須吾威さんとまともに戦っても勝てる気がまったくしないので、逃げることを考えたときロザリーの専属メイドの〔ミュゼ〕が、グラウンドの向こうから走ってきた。
「ロザリー様! お逃げくださいませ!!」
なんてタイミングの良さ!!
希望の光に見えた彼女は、必死に何か叫んでいた。
「ウワサがバレてしまいました!!
今すぐお逃げください!!!!」
ウワサ?
バレた?
誰に?
何のことだろうと、首をかしげたら、何かが空から降ってきた。
ザシュン!!
それは、大きな鉄の塊のようだった。
グラウンドの土が舞い、その姿がハッキリ見えない。
土煙が落ちつくと、顔がはっきり見えた。
ロザリーのお父さん!!
しかも、手には〔ドラゴンスレイヤー〕を持っている!!
「確か、あれって、男の人が数人で何とか持ち運べる物だったよね!?」
「ロザリーパパは、魔法を使わない騎士団の方の“団長”なんだよ。
かなりの実力者だね☆」
妖精さんの説明によると、騎士団は二つあるらしい。
剣も魔法も使える〔宮廷魔法騎士団〕と、魔法はあんまり使えないけど“剣”の技が一流な〔騎士団〕。
ロザリーのお父さんは、娘に危険な世界に入って欲しくないため、自分の職業は隠していたみたい。でも、ロザリーが魔法学園に入学することになった。自分と同じように、娘も魔法を得意としないため、無理を言ってアイザック先生に家庭教師をたのんだらしい。アイザック先生も、騎士団の団長のたのみごとはさすがに断れなかったとのこと。
だから、〔宮廷魔法騎士団〕のアイザック先生が家庭教師になってくれたのね!?
「すみません! ロザリー様!!
隠し通すことができませんでした!!」
「いや、もう他国までウワサが広がってるから、隠すのは正直いってムリだと思う。
むしろ、今までよく隠してくれたわ」
ロザリーのお父さんが、うなり声と共に思い一撃を撃ち出してくる。
〔ドラゴンスレイヤー〕が「ぶぅぅん!!」と鳴った。
「ぅうわあっ!
ちょっ…………ちょっと、まっ……!!」
でっかい〔ドラゴンスレイヤー〕が、迷わず最短距離で私に向かってくる。
この太刀筋、この軌道!
私を本気で殺す気だわ!!!!
転げるように、〔ドラゴンスレイヤー〕をかわす。
「……悪魔め……娘の体から出ていけ…………!!」




