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悪役令嬢にとりつかれました!  作者: 葉桜 笛
悪役令嬢いなくなりました!

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第71話 勇者現る

「…………と、いうわけで、わたくしがサフラン生徒会長への借りを返しておきましたわ」



 夜、夢の中でロザロザに再会した。

 どうやら旅立ったその日に〔クロコ王国〕へ行き、〔悪い大臣〕をつかまえたらしい。先導せんどうして、町の人と立ち上がるなんてスゴいわ! さすがロザロザね。


 それにしても、三人の〔いにしえの光の精霊〕が“右の翼”“左の翼”、そして“魔法の杖”に変身かぁ。ドラゴンに姿を変えたゼアと一緒とか、めちゃくちゃファンタジーじゃないの。

 ロザロザを見た人は、「天使が舞いりてきた!」ってビックリしただろうね。




 ん?

 “天使”?




「〔ドラゴン殺しの屍生産機“幻光げんこう堕天使だてんしロザリー”〕って、ロザロザのことね!?」


「あら、わたくし異名いみょうは、もう学園まで届いておりますの?

 早いですわねぇ」


「“屍生産機”や“堕天使”って…………すごいわね。

 “幻光”とか、あんまり聞かない言葉も入ってるし」


「あなたと同じで、みんなの勘違いですわ。

 ちょっと、敵味方関係なく気絶させただけで、“屍生産機”といわれたのですわ。

 “一目見て天使だと思ったけど、それはまぼろしのように一瞬だった”“すぐに天使じゃないとわかった”“きびしすぎて、もはや堕天使”とかひどい言われようですわよね?」



 あ、あぁ…………。

 光景が目に浮かぶようだわ。

 ロザロザのことだと思うと、とてもしっくりくる。

 なるほどね。



「でも、〔クロコ王国〕の市民は、わたくしにとても感謝しておりましたの。

 困ったときに力になってくれると、言ってくれましたわ」



 得意げに「ふふふん」と自慢するロザロザ。

 “屍生産機”といわれたぐらいだから、そう約束した市民の皆さんはおびえていたんじゃないかなと思う。まぁ、ロザロザは、きびしいようで優しい子だから大丈夫か。深く考えないようにしよう。



「ロザロザは、旅立った初日から大冒険だね☆」



 妖精さんが楽しそうにあいづちを打つ。

 そういえば、妖精さんって魔法学園ではあんまり近くにいないんだよね。きっと、学園ではいろんな所に恋があって、花を撒き散らすのに忙しいんだろうけど。



 それにしても、ロザロザの天使姿、見たかった。



 たった二日しかたってないのに、お互いに報告することがいっぱいで楽しい夢だった。











 昨日は、〔放課後トレーニング〕でストレッチを少しやった。

 もう、あの“うんこスタイル騒ぎ”にはなりたくない。そんな思いからだったけど、以外となごやかな時間となったので良かった。

 ヘンリー王子に見本になってもらって、要所ようしょ要所とめて、どこに気をつけてほしいか説明した。「あはははは、まるでロザリーのあやつり人形みたいで楽しいね」とヘンリー王子が言うものだから「今から尻にかれてますね」とか「仲がよろしいですね」とか、ちょっと皆にからかわれた。



 今日は、思い切って〔ラーチ先輩〕に男子をお願いした。

 ラーチ先輩の国は、国の式典で王族が歌をうたったりする。立派な舞台もあって、結界を張るとき大変お世話になった。ちょっと変わった先輩だけど、会話までミュージカル口調だから歌は上手い。


 それに、男性と女性は体の作りが違うからね。

 男性は“胸を響かせる”って、何回か聞いたことがある。胸に筋肉があるから、そのせいで音が響きにくいらしいんだけど、上手く使うと低い音がよく響くみたい。

 発声方法だって、声を出すときにお腹がふくらむやり方があったり、私の知らないことってまだまだあるから、男性は男性に習うのもいいよね。



「では、お腹に“キュッ”と力を入れて…………」



 そう言って、ラーチ先輩は両手を前にのばして、少し下がり気味の所で、手を横にしてにぎった。そして、少し反動をつけてから、声に合わせて両手を上下に開いていく。






「マァァァァァァァアアアアア~~~~~~~~~~~~」






 音圧がスゴイ!

 ビシビシと音が体にぶつかってきて、痛いほどだった。



「とてつもない響きだ!!」

「つられて俺もいつになく声が出た!」

「なんだ!? 体が開いていくような感覚だった!!」

「変な人だと思ってたけど、天才だから変わってただけだったのか!」

「俺たちもこんな声が出せたとは!!!!」



 うんうん。

 やっぱ、その道の達人に教わる方がいいよね。






「“邪神ロザリー”がこの学園にいると聞いたのだけど、この中にいるかな?」






 トレーニングの途中、ゆっくりこちらに歩いて来る人が声をかけてきた。

 また、グラウンドに不審者が現れたのかも。

 この学園、もうちょっと警備をしっかり…………って、え!?



「ロザリー?」

「どうしたのですか?」



 固まってしまった私を、ヘンリー王子とティアが心配してくれる。

 マリーとスピカは気をつかって「また不審者ですね」「攻撃をしかけますか?」と心配してくれた。気をつかってくれるのは、ありがたいんだけど、ちょっと待って欲しい。だって目の前に現れたのは、尊敬する声優さんだったから。



須吾威すごいさん!!」


「え? ロザリー様。お知り合いのかたですか!?」


「……尊敬そんけいするスゴい声優さんよ」


「せいゆう?」


「声のスペシャリストよ」




「「「「「ロザリー様が尊敬するお方!!!!」」」」」




 まさか有名な声優さんが目の前に現れると思ってなかったので、とても驚いた。驚いていたら、さらに驚くことを言われた。



「大人しく〔悪役令嬢〕をやってれいばよかったのに、〔神〕になろうとしているんだって? 僕は君を倒すために勇者として召喚されてしまったよ」






 い゛や゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

 尊敬するお方に消される!!!!






「ゲームを待ってるレディたちのためにも、僕は戦わなくてはならない」



 とんでもないことになってしまった!!

 須吾威さんは〔アイザック〕の声を担当している。

 この世界のことを知っているから、なおヤバイ。魔法の仕組みが、ゲーム内でどこまで説明されているかが問題だわ。



(ゲームのストーリーに、魔法の仕組みの解説とか出ていませんように!!)



 祈るしかできなかった。

 〔自主トレーニング〕に集まっていた生徒はただならぬ雰囲気を感じ取り、みんなで呪文を唱えて〔炎の壁〕を作って警戒した。



「《炎よ消え去れ》」



 須吾威さんが呟くと、みんなが作った〔炎の壁〕が「シュウゥゥゥン」と消え去った。

 アイザック先生が使える魔法は、須吾威さんも使えると思った方がいい。

 強力な人材を〔勇者〕としてんだものだわ。



「これが“洗脳の力”か。

 この学園の生徒が、こんなに威力を持った魔法を使えるはずなかったのに、〔悪役令嬢〕がバグって暴走すると怖いな」


「〔洗脳〕なんてしてないですし、私はバグってません!」



「「「「「ロザリー様! 下がってください!!」」」」」



 〔炎の壁〕を簡単に壊され、脅えた皆が大量の水で須吾威さんを学園の外に追い出そうとする。みんなでグラウンドいっぱいの水を出したのは、素晴らしい成長を感じられて嬉しい。 でも、みんな忘れている。



「結界があるから、魔法で追い出すのは無理よ!!」



 魔法が飛び出て、近隣の住民に迷惑をかけないように、学園には結界が張られている。グラウンドの端から直接外に、水で人を追い出すなんてできない。それを指摘したら、みんなすぐに水の魔法を使うのをやめた。


 そう、すぐに止めた。のに!



「〔炎の壁〕を作ったときはあんなに怒りをあらわにしてたのに、〔水の魔法〕を使うときは“怒り”を一切感じなかった。むしろ、“楽しんでいるのかな?”と思うほど……。

 もしかして、魔法を使うとき“コツ”があるのかな?」



 須吾威さんはすぐに気がついた。

 魔法の属性によって、呪文の唱え方を変えていることに!!






「おぉぉぉぉぉぉ!

 《燃え上がれ! 炎よ!!》」






 赤い大きな炎が、須吾威さんの前にビルのように燃え上がった。

 生徒にあたらない距離だけど、もしものために、私も炎を出して少し押し返す。



「なるほどねぇ。〔火の魔法〕は“怒りの感情”を使うのか。

 でも、僕の炎は紫にならない。

 何が違うんだろうね?」



 そこからが、大変だった。



「〔水の魔法〕は、可愛かわいく。〔風の魔法〕は……“ヒソヒソ話”かな?

 〔土の魔法〕は何だろう?」



 魔法を分析しはじめた須吾威さんが、次々と試し打ちをしてくる。

 第一線で活躍する声優が放つ魔法の重いこと重いこと!


 ヘンリー王子がサポートしてくれているので何とか対応できてるけど、いつまでもつかわからない。護衛のジェイクとフォスターは、ヘンリー王子に飛んでくる魔法の防御でいっぱいいっぱいだし、生徒のみんなも、自分たちの方に飛び散ってくる魔法を避けるのでいっぱいいっぱい。

 そもそも、魔法が飛び散るって何? 初期の魔法でも密度が濃すぎよ!!



「妖精さん、妖精さん!!」



 チョーカーになってもらって、とりあえず体を軽くしてもらおうと思ったのに、妖精さんが近くにいない!!

 仕方が無いから、光の精霊をんだ。

 光の精霊だけど、紫色の姿で地面から大きな体が出てくる。



「僕にも喚べるかな?」



 私のマネをして、光の精霊を呼び出そうとする須吾威さん。

 すると、私が喚んだ精霊さんの様子がおかしくなった。



「スマナイ。闇ノ属性ノ者。

 私ハ、アノ声ニ逆ラエナイ」



 そう言うと、光の精霊さんの体の色が本来の金色に変わって、須吾威さんの方に行ってしまった。



 と、取られた!?



「ロザリン、ロザリン!!

 大変だよ! この辺りの精霊が、もの凄く浮かれてる!!

 何かが起きているよ……って、えぇ!?」



 妖精さんが騒ぎながら帰ってきて、須吾威さんを一目見て驚いた。



「あの人、何者なの!?

 あの人の周りに、いろんな属性の精霊が“きゃぁきゃぁ”言いながら集まってる!!」



 人気声優は精霊までも、その声でメロメロにするのね。

 なんて恐ろしいチカラ!!



 と、ここで何か違和感を感じた。



「どうしたの? ロザリン?」



 自分でも何が気になるのか、よくわからない。

 とりあえず、妖精さんを見て考えた。






「ねぇ……。

 もしかして、妖精さんって……本当は〔闇の属性〕?」


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