表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢にとりつかれました!  作者: 葉桜 笛
ドラゴン現る

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

76/92

第67話 洞窟へ

 次の日。

 学園がお休みの日だったので、私は馬車で“いにしえの妖精”の所へ行くことにした。

 妖精さんが言うには、アルムス王国の南の方。隣国の、山の中の洞窟どうくつにいるんだって。空に魔法陣を書く時おじゃましたラーチ先輩の国より、まだまだ南の方の隣国みたい。馬車の中で、妖精さんが得意とくいげに語ってくれた。



「今より、ずっと、ず~~~~~~っと昔ね?

 三人の〔光の妖精〕に、ものすごく愛されたエルフがいたんだよ☆ 彼女の死後も三人の妖精が遺体いたいをずっと見守ってるの」


「そんなに昔なら、遺体はミイラになってるんじゃない?」


「〔光の妖精〕を甘く見てはいけないんだよ」



 チッチッチと言いながら、妖精さんが人差ひとさし指をたてて、右、左、右と指を左右に動かした。



「〔回復魔法〕が得意とくいな妖精が三人もいるんだよ?

 腐敗ふはいどころか、生きていた頃より少し若返るほどにキレイな状態だよ」



 移動中の馬車の中で妖精さんと話していると、なんだか外の様子ようすがザワザワしてきた。どうやら、貴族の別荘地の森をけ、小さな商店街にさしかかったみたい。




「聖女様の馬車だ!!」

「聖女様の魔法陣のおかげで、夜道も安心して歩けるようになりました!」

「私なんて、悪夢でさえ見なくなったわ!」

「このたびは、ドラゴンを追い払ってくれて、感謝の言葉しかない!」

えず空から花びらがそそぐ、平和な世界をありがとう!!」




 馬車を見た人々が、「聖女様、聖女様」と声を投げかけてくる。

 すごいすご~い!

 私、“聖女様”って呼ばれてる!!


『あなた、結界を張ったとき“聖女様”って呼ばれてましたわよ?』


 そっか、忘れてた。

 私、この辺りの人からは「聖女様」って言われるんだった。

 プリンセス馬車に乗るのは久しぶりだからビックリした。魔法学園に通うときは、ヘンリー王子かティアの馬車に乗るから、馬車に向かって声をかれられることがなかったもの。


 それにしても……“聖女様”って呼ばれるのいいね。


『心がおどってますわね?』


 だって、仕方ないでしょ?

 学園では“暗黒令嬢”だの“暗黒聖女”だの、“ドラゴン殺し”に“死霊使い”と、暗いイメージの呼び名しかないんだもの。“聖女様”って呼ばれると、ステキな女性になれた気になる。


 頭の中のロザリーこと、ロザロザと会話している間も、たくさんの応援や感謝の声が聞こえてくる。



「普通の聖女様より、力強くてたのもしい!!」



 ふ、普通の聖女?

 聖女って、そんなゴロゴロいないよね?


『きっとティアのことですわ。

 貴重きちょうな存在なのに、あなたのせいで影が薄くなってかわいそうですわね。

 みんな感覚がおかしくなってますわ』


 そうだよね?

 ティアは貴重な存在だよね!




「我らの聖女様は、力が強すぎて〔暗黒聖女〕だと、貴族の間でウワサになってるらしい」

「“死霊使い”とのウワサもある」

「ドラゴンを追い払った時、ゾンビをしたがえてたらしいな」

「俺、その日、森の中でゾンビのうめき声を聞いた……!」

「頼もしすぎる! 〔暗黒聖女〕!!」



「「「「「暗黒聖女様、ばんざい!!!!」」」」」





 ぐぅはっっ!!

 

 どういうことなの!?

 “聖女様”と呼ばれて喜んでいたのに、あっという間に「暗黒聖女」に呼び方が変わったわ。そして、それは「暗黒聖女」コールが始まってしまった。

 どうせ呼ばれるなら、「聖女様」のほうが良かった……。



「大丈夫です。お嬢様。

 町の者にお嬢様の身元はバレておりません」



 頭をかかえる私に、御者ぎょしゃの人が小窓ごしに声をかけてくれた。「お嬢様の秘密は、私めがお守りいたします」と御者用の小窓から顔をのぞかせたのは御者の人ではなく、専属メイドのミュゼ!

 み、身元はバレてないって言っても、魔法学園ではみんな知ってるから、時間の問題よ?


『ふふふ。ミュゼは過保護かほごなので、やりげそうですわ』


 そんな、まさか。

 ……でも、確かにやり遂げそう。




 それから馬車はずっと走り続けた。

 馬車の中で昼食のサンドウィッチのお弁当を食べて少しすると、目的地に近い国境こっきょう付近ふきんに着いた。人気のない山の中。よく馬車でここまでこれたなと思う。


「ここからは、変身して行くよ☆」


「え!? 馬車は!?」


「置いてく☆」



 妖精さんが言うには、国境をえるので検問とか気にしてたら日数がかかるから、山の中を進むとのこと。結界張るときも同じようなこと言ってた。妖精さんってけ道にくわしいね。


『時間短縮で、効率こうりつ重視。

 チャラチャラしているようで、しっかりした計画を立てれるところが素晴らしいですわ』


 ロザリー大絶賛。

 妖精さんとロザロザにすすめられ、私は馬車から降りて森を進むことになった。

 ノリノリで妖精さんがチョーカーになり、私の首に巻き付く。私の髪は、妖精さんの影響えいきょうで金色に輝き、体が軽くなった。


 ミュゼにここで待っててとお願いして、私は大地を蹴る。

 軽くなった体は、木のてっぺんまで飛び上がり、枝から枝へ私は飛びうつった。妖精さんの案内にしたがって進んでいくと、ゴツゴツした岩が目立つ洞窟に辿たどり着いた。と、同時に妖精さんが私の首から離れたので、驚いた。



「え?

 もう変身といちゃうの?」


「ここから先は、あたしは入れないんだよ……」



 残念そうな妖精さん。

 妖精さんが入れないと言うので、一人で洞窟の中に入ってみる。

 すると、少し歩いただけで、すぐ〔岩のとびら〕に辿たどり着いた。

 〔岩の扉〕には、〔妖精文字〕が書いてある。指でなぞりながら、それを読んでみた。



「あ…………まい、も、の、を…………持たぬものには、い、か、ず……ち…………いかずちを!?」



 “甘いものを持たぬものには、雷を!?”



 え!?

 私、手ぶらだよ!!



 動揺どうようして力が入り、手がすべった。

 そのいきおいで前にたおれ込むと、〔岩の扉〕が「スー」っと左に動いて、私は洞窟の奥にたおれこんだ。



「うわ”ぁぁぁぁぁぁ!

 なんで突然とつぜん自動ドアみたいに扉が開くの!?

 私、おかしなんて持ってないのに!!」



 心の準備どころかよ!!

 お土産みやげの準備がいるなら、前もって教えてほしい。

 雷で打たれると思い、私はおもいっきりなげいた。






______押せば良いのか、引けば良いのか、恋はよく分からない♬






 その時、頭の中に歌が響いた。

 それは、私の頭の中にいるロザロザの歌声。

 乙女ゲーム〔きらめき☆魔法学園〕のテーマソングだ。

 私はピタリと嘆くのを止めた。


 ……そうだった。

 妖精にとって“恋”や“愛”はデザートなんだよね。

 だから、それを持たない妖精さんは中に入れなかったのか。






――――――女の子らしさなんて、いったいどうしたらいいの?♪






 私はロザロザと一緒に歌った。

 歌い終わると、次の扉が開いた。


 中に入ると、洞窟の中なのに明るくてびっくり。

 壁際かべぎわなど、所々にある天然石がほのかに光って、幻想的な空間になっている。

 部屋の中央には大きなクリスタルがあり、その中に若い女性の体が入っていた。長い金髪。とがった耳。きっと彼女が〔三人の古の妖精〕に愛されたエルフ。き通るような白い肌は、血色が良く、今にも動きだしそうだった。




「久シブリノ来訪者!」

大気中タイキチュウノ精霊ガサワイデル」

「闇ノ属性ノ者。闇ノ属性ノ者」




 大きなクリスタルの方から、手のひらにおさまるぐらいの〔三つの光〕がこちらに飛んできた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ