表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢にとりつかれました!  作者: 葉桜 笛
ドラゴン現る

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

69/92

第60話 ゾンビごっこ(挿絵有り)


「俺たちを“肉のかべ”にするつもりですか!?」







 え……、何を言い出すの!?


 おどろく私を余所よそに、クラスの男子が「約束がちがう」とか「せめて遺書いしょを書く時間をください」とかさけんでる。


 あれ?

 私、〔聖女〕認定にんていされたんじゃなかったの?

 そんなひどいことするように見えるの?


『〔聖女〕じゃなくて、〔()()聖女〕ですわよ?』


 頭の中のロザリーに指摘してきされた。

 そうか。“暗黒”ってつくね。だからか。

 誤解ごかいをとかなきゃ。



「“肉の壁”になんてしないわ!!

 ドラゴンがいた火が、民家みんかうつったら消してほしいだけよ!

 戦いに行くわけじゃない。

 ドラゴンの子を返しに行くだけなんだからね!?」


「それだけならなんとか……」

「ある程度ていど離れた所がいいです」

「すぐに返して、すぐに帰りましょうね」



 皆しぶしぶ受け入れてくれた。

 ドラゴンだって、こどもが帰ってきたらすぐに帰ると思う。


 こうして、私とティアとクラスの男子が、ドラゴンのこどもを返しに行くことになった。水の妖精を呼べるマリーとスピカも「ついて行きたい」と言うので、安全なところから協力するという条件じょうけんでついて来てもらうことにした。



「せっかくのマスコットキャラクターなのに~」



 妖精さんは「もったいない。もったいない」と不満ふまんをもらしてる。

 そうなんだよね。

 レッドドラゴンのこどもって「きゅるきゅる」いてカワイイし、ティアにとってもよくなついてて、本当にとにかくカワイイ。はなれがたいのもわかる。けど、



「マスコットキャラは妖精さんだけで充分じゅうぶんでしょ?」


「え? あたし???」


「そうよ。

 だって私は、妖精さんがマスコットキャラだと思ってたもの」


「そうかぁ。えへへ~☆

 そうだよね。二人もマスコットキャラはいらないね!

 なら、しょうがないや」



 気分きぶんを良くした妖精さんは、全面的ぜんめんてき協力きょうりょくする気になったらしい。



「それぞれの馬車でぞろぞろ向かうより、歩いて森を直進ちょくしんした方が早くくよ☆

 サフラン生徒会長が〔ドラゴンスレイヤー〕を持ってくる前に、ドラゴンの子を返さなくっちゃね!

 いそげ急げ~!!」



 なんて現金げんきんな性格!

 まぁ、その方が助かるんだけどね。


 妖精さんいわく、急いで現場に向かう先生以外に〔宮廷魔法騎士団〕も出発しているらしい。村の近くになると、げていく人もいて道路は大混乱だいこんらん。だから、森からの方が歩いて行ったほうが早いんだって。なるほどね。混乱こんらんの中、馬車で進むのは大変そうだね。






 本日、二回目の学園の森。

 私達は一人一個バケツを持って入った。

 火を消す時にきっとやくに立つ。

 手で持って歩くと邪魔じゃまになるし、つかれそうなので、帽子ぼうしのようにかぶることにした。なんだか、わんぱくな少年達が森に探検に行くように見えて、ちょっと心がなごんだ。



「せっかくだから、ただ歩かずに魔法の効果こうかを上げられるよう、発声練習をねた歩き方で行ってみるわよ」


「……発声練習を兼ねた……歩き方…………ですか……?」



 クラスの男子が不思議そうにしている。

 “発声練習”なんて、普段聞かないもんね。


 サポートで来てもらうだけのつもりとはいえ、ドラゴンのいる村の中に入るのだから危険なことにちがいない。

 少しでも妖精さんに聞き取りやすい音で、みんなが話せるようになってほしいところなんだけど、どう言ったらイメージつきやすいかな?

 うぅぅん……



「〔ゾンビごっこ〕よ。

 とっても簡単かんたんそうでしょ?

 これなら…………」




「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」




 え?




「ゾンビにされる!!」

「いい人に見せかけても、結局けっきょくは悪は悪!」

「俺たちは人気ひとけい森でゾンビに変えられるんだ!!!!」

「どうして信じてしまったんだ!」

「自分たちのおろかさをのろうばかりだ!!」



「えぇぇぇぇぇぇ!?

 “ごっこ”よ? “ごっこ”!!」


 『ほほほほほほほほ! 良いですわね。

 骨のずいまで、あなたへの恐怖がえ付けられてますわ。

 しっかり教育できてて素晴すばらしいですわねぇ』


 ロザリー!

 何を優雅ゆうがに満足してるのよ!!






「ちょっと!!

 ぎゃぁぎゃぁ言ってないで、まず、人の話を最後まで聞いて!!!!」





 さけんだあと、私はみんなに〔ゾンビごっこ〕の説明をした。



・歩きながらやる発声練習ということ

・発声練習だけど、とにかく力をいてやること

・“声を出そう”なんて思わないこと



「足が地面じめんについたとき、〔あ〕って言うの。

 この時、脱力だつりょくして言うから、ゾンビの()()()声になるってだけ。本物ほんもののゾンビみたいに〔あ゛~っ〕て、声をのばしてはダメよ? “足が地面についた衝撃しょうげきで声が少しもれちゃった”ぐらいの小さな声で良いの。

 あくまで()()()だから、本物のゾンビにはならないでね?

 

「え?

 それだけですか?」


「それだけよ」



 戸惑とまどいの表情ひょうじょうで、「それなら簡単かんたんだけど……」と言いながら、「わなかも」と、まだうたがっている男子。そこに、マリーとスピカが出てきた。



「まだ、わかりませんの?

 ロザリー様は、私達にひどいことをするかたではありません」

「皆さんもよく思い出してみてください!!」


「肉と骨を引きがされたやつが何言ってんだ!!」


「まぁ! なんて言い方なの!?」

「引き剥がされたんじゃなくて、引き剥がしたのですわ!」


「どぉぉちがうんだ!?」

「どっちだろうと一緒いっしょだろ!?!?」




「「これを見なさい!」」




 マリーとスピカが、両手りょうて人差ひとさし指で〔鼻の付け根〕をさえ、〔ラ〕の音の高さで「ン~~~~」と、ハミングして見せた。




「これが“肉と骨を引き剥がす”ですわ!!」




「「「「「え?」」」」」



 ここで、声を前にひびかせるのに、骨に肉がかからないよう意識するといいことをみんなに説明した。鉄のぼうたたいて音をひびかせても、手でにぎると音が響かない。という説明ね。



「それだけで、〔水の魔法〕を使えるようになったのか……」

「ウソみたいな話だ」

「言い方がまぎらわしいが、たしかにその通りのようだ……」

「……人体実験は勘違かんちがいだった」

「じゃあ、それを練習すれば、俺たちも〔水の魔法〕が使えるように?」


「すぐには無理よ。

 これを習得しゅうとくするには、普通は半年から一年かかるわ。

 マリーとスピカの場合は、スピカがピアノを習ってて音を取るのが上手じょうずだったから出来たの。マリーは、私の見本みほんほかに、スピカの変化を間近で見れたのがとてもいい参考さんこうになったのよ。

 普通、れないうちは鼻声と間違えたり、大変なんだから」



 今回は人数が多いから、同じようなおしえ方はできない。きっとすごく時間がかかちゃう。しかも歩きながらこれを教えられない。


 で。

 私が思いついたのは、筋肉を上げるんじゃなくて、頭の位置いち結果的けっかてきにちょびっと下げるやりかた。

 足が地面につく瞬間しゅんかん衝撃しょうげきで少しだけ頭がれる。

 そのときに声を出せば筋肉が少し上がってて、いい声が出ると思うのよ。

 題して「頭で空気をむかえに行く作戦!!」


『あら、変なこと思いつきましたのね』


 何も対策たいさくとらずに向かうより、ダメもとでもやってみた方が良いでしょ?

 下から上に持ち上げるより、上から下に下がる方が、きっとらくよ。


 家で練習するなら、足を肩幅かたはばよりひらいた状態じょうたいで立って、上半身じょうはんしんを前にだらぁんとたおす。それで声を出す。っていうやり方もあるわ。いい声出るわよ。


『頭がさかさなら、わざわざ指で筋肉を持ち上げる必要もないですわね』


 他にも、マイク前で演技をするにあったって、良い効果こうかのぞめる素晴らしい練習方法があったりするわ。

 発声練習は一つじゃないから、自分にあったやりかたを選ぶといいかも。今回は〔ゾンビごっこ〕ね。


 みんな〔ゾンビごっこ〕に納得なっとくしてくれたので、ちょっと不気味ぶきみな声を出しつつ森の中を進むことになった。



「〔あ〕を四回言ったら四泊よんぱく休んで、次は〔い〕ね。

 さぁ! やるわよ!! あ"、あ"、あ"……」



 私達は「あ゛、あ゛、あ゛、あ゛、・・・・い゛、い゛、い゛、い゛」とうめくように、五十音ごじゅうおんの発声練習をしつつ、おやドラゴンのもとへと向かった。

 マリーとスピカは私のそばで、全力でゾンビになりきってくれてる。ヘンリー王子とティアは列の後ろの方でニコニコ楽しそうにしてて、ゼアはその近くで胡散臭うさんくさいと思いつつ発声練習に付き合ってくれてるようだった。

 クラスの男子は、やる気がなさそうに歩いてる。脱力するのがポイントだから、ま、それで良いわ。私がちょっと切ないだけ。はぁ。


挿絵(By みてみん)


 それにしても、森の中で良かった。

 道路でやったら人目ひとめについて、また変なウワサが流れる所だったわ。




 森を出て気付いた。

 見たことある景色けしきだわ。

 貴族の別荘地べっそうちの近くだから、知っててもおかしくないけど、なつかしい気が……。


『そうですわね。わたくしも懐かしく思います。

 あまり良い想い出ではなかった気もしますわね………………』






 あ゛ぁぁぁっっ!!

 ロザリー!

 ここ、あれだ!!


 前に、体が入れわった〔エナ〕の家がある村だ!!!! 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ