表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢にとりつかれました!  作者: 葉桜 笛
恋の罠

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/92

第33話 嘘でしょ!?(挿絵有り)

 ラーチ先輩に落とし物をわたしたし、さぁトイレに行こう。

 クルッと向きをかえて、のぼってきた階段をりようとしたとき、聞きれない声がした。




「み、見つけたぞ! 【暗黒令嬢】!!」




 り向くと、知らない男子生徒がへっぴり腰で私を指差ゆびさしている。そのななめ後ろにいた男子生徒を見ておどろいた。


 昨日のパーティーで出会った、宮廷魔法騎士志望のサフラン先輩! ヨド先生とアイザック先生のことを、めっちゃ尊敬そんけいしている人だ!




「昨日と髪型かみがたが違うが……ロザリー?

 うそだろう? まさか、君が【暗黒令嬢】だったのか……?」




 クラスの人にはそう言われるけど、私は〔暗黒な人〕ではありませんと説明しようとしたら、サフランさんのななめ前にいる人が、力説りきせつしだした。




「サフラン生徒会長! ヤツこそが、登校1日目にして学園の木という木を燃やしくし、2日目には校庭を〔毒の沼〕に変え、さらに一部の生徒に〔人体実験〕をした【暗黒令嬢】です!!」




 ひどい言われよう。

 あらためて自分のウワサを聞いてみると、「誰がそんな話を信じるの?」という、大袈裟おおげさな内容だと思った。




何度なんど聞いても信じられない。

 本当にロザリーが一人でそんなことを?」




 おどろくサフラン生徒会長。

 そうでしょ? おかしいと思うでしょ?

 普通、女の子が一人でそんなこと出来るわけないですよね?

 サフラン生徒会長は、もしかしたら変なウワサを消してくれる、よき理解者になってくれるかもしれない!

 期待きたいで胸が高まった……のに、あの男子生徒、さら力説りきせつした。




「間違いありません!

 ヤツの悪逆非道あくぎゃくひどうップリに、あの温厚おんこうなヨド先生が激怒し、みずから【暗黒令嬢】をほうむろうとしたのです!!」


「いや、だが、ロザリーがそんな事をするとは思えない……。

 でも、私が調べて回っても、皆、君と同じ事を言う……」


「そうでしょうとも! 真実なのですから!!

 ヨド先生に燃やされた【暗黒令嬢】は、復讐ふくしゅうのため、地獄の底から舞い戻って来たのです!

 しかも、この国の王子であるヘンリー様をまどわした恐ろしい女!! 次はいったい何をたくらんでいるのかわかりません!

 気を付けて下さい!!」




 言いたい放題ほうだい……。

 そんなの、真実なわけないじゃない。

 それに、事実がゆがめられている。

 これは一つずつ説明をするしかないわね。




「学園の木を燃やしくしたとおっしゃいましたけど、校庭以外の所は燃えてないじゃ……」







「「「暗黒令嬢ロザリー様に何の用ですか!」 」」







 誤解ごかいこうとした私の前に、クラスメイト数名が集まった。たぶん、たまたま通りかかったんだと思う。

 サフラン生徒会長はショックを受けていた。




「ロザリーが【暗黒令嬢】……。

 パーティーでの人柄ひとがらの良さにだまされる所だった」




 せっかく、あとちょっとで誤解ごかいけそうだったのに……!!




「だが、1人で学園の木を燃やしくしたり、校庭を〔毒の沼〕に変えるなど出来るはずがない」




 そうです! サフラン生徒会長!!

 出来るはずがありません!

 やはり、この人はわかってくれそう!!




大方おおかた、クラスメイトに手伝ってもらったのだろう。“地獄の底から舞い戻った”というのは狂言きょうげんだ。

 クラス一丸いちがんとなって【暗黒令嬢】という人物を作り出して盛り上がっているのだろうが、イタズラがぎる。

 もう、やめたまえ」




 その推理すいり間違えてる!!

 けど、それで良い!

 このさいそれで良いから、皆が私を【暗黒令嬢】と呼ぶのをめさせてください!!

 と、私は心の中で願った。

 その時、





「「ロザリー様は狂言きょうげんなどおっしゃいません!」」





 今度は下の階からマリーとスピカがあらわれた。

 優しさからくる言葉なんだろうけど、今じゃない。今はやめておいて。

 っていうか、一人()りなくない?




「あれ? ティアは?」


「ティア様とヘンリー様は、お手洗いを出た所で『近々(ちかぢか)おこなわれる野外やがい実習について、確認しておきたい事がある』と先生に呼び出されました。

 お二人の護衛の方々(かたがた)もついて行きました」




 あ、マリーとスピカの中では、ゼアはティアの護衛という認識のままなのね。

 それより、ヘンリー王子にも会ったのか。男性はお手洗い早いものね。




「お二人と別れた後に、上の階からロザリー様の話し声が聞こえたので、急いでまいりました」

「この人達、ロザリー様をウソつき呼ばわりするなんて、許せません!!」




 この二人、絶対、話を全て聞いてない!

 信じてくれるのはありがたいけど、そうじゃない。

 今までの話の流れで、私が“ウソつき”ではないとするならば、私は〔学園の木〕を燃やしくし、校庭を〔毒の沼〕に変え、一回死んだのに〔地獄〕の底から舞い戻ってきたってことになる!!




「マリー、スピカ、ちょっと待っ……」


「ならば、ロザリーのちから、見せてもらおう!

 でよゴーレム!!」




 サフラン生徒会長がさけんだ。

 え?

 この学園って二年制なんだけど、二年になると〔ゴーレム〕出せるの?

 私のクラスは、まだ〔水の魔法〕使えない人が多いわよ? 〔火の魔法〕だって、使えても小さい炎の人ばかりよ? まだその程度ていどなのよ? 1年たったら、めちゃくちゃ成長するの!?


 ヨド先生! どんだけ魔法(おし)えるのウマいのよ! そりゃ、サフラン生徒会長も尊敬そんけいするわよ!!


『この魔法学園に、他国からも生徒が来る理由の一つがそれですわ。びない人は伸びないけれど、びる人はとことん伸びますの』


 ロザリー、ご説明ありがとね!


 校舎の外で「ボコボコ」と土がり上がる音が聞こえてるんだけど、出るの? 出るの!?

 ゴーレム出るの!?!?


 かすかな地響きと、「ボコボコ」いう音に嫌な予感がした。すると、窓の外に三階建さんがいだて校舎こうしゃと同じぐらいのゴーレムがあらわれたので驚いた。




「そっちがそうくるなら! 私達も呼ぶわよ!!

 スピカ!」


「えぇ! マリー!」




 マリーとスピカは目配せをすると、〔水の精霊〕

 を呼んだ。






「「出でよ! 水の精霊」」






 すると、校舎の外のゴーレムの近くに、またまた同じぐらいの大きさの精霊があらわれた。

 水でできた体をもつ、女性の姿の精霊。

 私がヨド先生に焼かれた時、マリーとスピカがんだ〔水の精霊〕……。

 本当にデカいわね。



挿絵(By みてみん)



 校舎ぐらいのゴーレムと水の精霊が向かい合っている。校舎こうしゃの中から見てるから安心してながめていられるけど、激しい戦いになりそう。

 コの字型がたの校舎の外側に二体。内側だったら他の生徒も気付いて大騒ぎね。




「サフラン生徒会長!

 私は会長の出したゴーレムとともに【暗黒令嬢】の手下てしたの相手をしますから、会長は()で【暗黒令嬢】をたおしてください!」


「わかった。

 暗黒令嬢ロザリー、勝負だ!」




 私が〔ラスボス〕みたいな空気やめてよね。

 しかも、私は状況じょうきょうがよくのみこめないでいるのに、マリーとスピカは「キリリ」とした顔をしている。




「ロザリー様! おまかせください!!

 ゴーレムと生徒会の手下てしたの男は、私とスピカとクラスの皆で相手します!」


「え? マリー……?」


「ロザリー様は、ボス同士の戦いに集中してください!」


「ス……スピカ!?」




 何故なぜ生徒会と戦わないといけないのか、よくわからない。なのに、クラスの皆も「さ、早く!!」と言ってせかす。確かに急がないなとお昼休み終わっちゃうけども……。


 サフラン生徒会長に「校庭でゴーレムと精霊が戦うだろうから」と、校門から校舎までの広い道で戦おうと提案ていあんされたので、校門の方に移動した。

 すると、遠くにロザリーの白い馬車が見えた。

 曲線を多く取り入れた、まるでお伽噺とぎばなしのヒロインが乗るようなプリンセス馬車。

 今日はヘンリー王子の馬車で来たけど、ねんためむかえに来てくれたみたい。そのまま、馬車の待機場たいきじょうに向かってる。


 あ、このさいどさくさにまぎれて早退そうたいするのもアリだね。この戦い意味がないもの。




「お前の相手は私だ!

 暗黒令嬢ロザリー!!」




 サフラン生徒会長が剣をきながら、私を呼び止めた。




「話に聞いた所、剣は使えないそうだな。

 せっかく、あのアイザック様から宮廷魔法騎士にすすめられたのに、剣が使えないから断るような根性なしに私は負けない!」


「誰から聞いたの!? その情報!!

 その話をしていたとき、私達以外は他に誰もいなかったのに!

 しかも、相手の苦手な分野ぶんや勝負しょうぶしようだなんて、男として最低ですよ!」


「生徒会には優秀な者がいるのだ。

 それに君は、クラスメイトを使う詐欺師さぎしじゃないか!

 卑劣ひれつな手を使う者に、正々堂々《せいせいどうどう》と向かうわけがないだろう!!」




 丸腰まるごし相手あいてに剣をくなんて、最悪だ。

 サフラン生徒会長と話をしても無駄むだ

 さっき、校門の所にロザリーの白い馬車が来てたのを見つけたし、すべ無視むしして帰ってはどうかしら? とチラッと馬車の方を見たら、風がやいばのようになって飛んできて、私をすりけていった。




「どこへ行くんだ! ロザリー!!」




 サフラン生徒会長が〔風の魔法〕を使ったみたい。あてる気はなかったみたいだけど、危ないわね!


『そうでもないみたいよ?』


 ?

 ロザリー。何を言ってるの?

 私、あたってないよ?


 ロザリーが何を言っているのかよくわからないけど、ロザリーって私の頭の中にいるのに、やたら目がきくのよね。

 同じ視界しかい共有きょうゆうしてても、ロザリーの方がよく見てる気がする。私は〔風の魔法〕の行方を探した。

 すると、〔白いぼう〕が飛んできた。



 少しカーブがかかってるこの棒に、見覚みおぼえがあるような……。


 

〔白い棒〕が飛んできた方向に、ロザリーの白い馬車がある。

 少し遠いので、目をこらして見る。

 白い馬車の屋根からとびらの下までザックリと亀裂きれつが入っていた。

 どうやら飛んできた〔白いぼう〕は、馬車の一部らしい。御者ぎょしゃが「うわぁ!」と言いながら飛びりている。






 いゃぁぁぁぁぁぁぁ!

 プリンセス馬車――――――――!!!!






 私は頭をかかえてなげいた。

 



「人にあたらないように、ちゃんとけた」




 と、サフラン生徒会長は、問題ないと言っている。それどころか「逃げずに戦え!」と正義の味方みかた気分でさけんでる。




「……人んちの馬車、こわしといて……何を言っているのですか」




 サフラン生徒会長の相手あいてをせずに(帰ろうかな)と、一瞬いっしゅん考えたけど、私はまだ逃げてないのに! ちょっと馬車を見ただけなのに!!


『……そうは言っても、あなた、帰る気満々(まんまん)でしたわよ?』


 そうだけど、まだどうするかは決めてなかった!


 【暗黒令嬢】と言われる日々の中で、私の数少ない楽しみがプリンセス馬車での“プリンセスごっこ”だったのに――――!!


『あぁ……。馬車の窓は閉まっているのに、道行く人に“ごきげんよう”って、お姫様のように声をかけるアレね……。

 でもあなた、この世界に来てまだ一週間もたってないのに、その言い方だと何ヶ月もいるようよ?』


 うぅ……。

 ロザリーうるさい!!



 サフラン先輩と戦う理由、今できたわ!







「プリンセス馬車の敵討かたきうちのため、私はサフラン生徒会長と戦います!!」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ