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悪役令嬢にとりつかれました!  作者: 葉桜 笛
恋の罠

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35/92

第31話 条件(挿絵有り)








「「「一緒にお昼を食べませんか?」」」






 お昼休憩(きゅうけい)になり、ヘンリー王子とティアとゼアから同時どうじに声をかけられた。

 私はマリーとスピカと一緒に、そとでお弁当を食べようと立ち上がった所だった。




「いいけど……外でお弁当でも良い……?」




 貴族向けの学園だから、ほとんどの学生は食堂を使う。上流階級の学生は特に。

 ヘンリー王子はこの国の王子様だし、ゼアはアルムス王国からかなり遠い国の王子様。ティアはゼアの従兄妹いとこだから身分は公爵令嬢こうしゃくれいじょう……つまり上流貴族!

 外で、しかも校庭にりるための階段に座ってお弁当なんて、無理なんじゃ……。上流階級の生徒は皆、食堂で高そうな料理食べてるもの。「やっぱりやめます」と言われるだろうなと思ったら、3人が前のめりに







「「「今日は、お弁当を持ってきました!!」」」







 とお弁当のつつみかかげて見せてくれた。




「今日は3人ともお弁当を持ってきたの?

 校庭にりるための階段に座って食べるのだけど、それでもよければ……」




 外のベンチじゃないからな〜。来ないんじゃないのかな〜。と思ったのに、そんな事はなくて、6人で(ヘンリー王子の護衛のジェイクとフォスター入れたら8人で)お昼ごはんを食べることになった。


 先週は3人で食べてたのに、今日は8人。お弁当を食べながら、(にぎやかだな)と思った。









「お昼ごはんを食べ終わったらお手洗いをませて、マリーとスピカと発声練習をするつもりなの」




 お弁当を食べ終わって、皆にこのあとのあまった休憩時間の予定を伝えた。

 ヘンリー王子とティアとゼアは発声練習なんて必要なさそうだし、教室に帰りたいかなと思って確認のために聞いてみたら、3人とも発声練習を見たいって。

 エリート教育を受けているだろうに……何故なぜ興味きょうみを持つのかしら?




「肉と骨を引きがす方法を、私も知りたいです!」




 ティアが両手をにぎりしめ、ちからいっぱい主張しゅちょうしてきた。


 なるほど。

 それか……。


 マリーとスピカにおしえた、ボイストレーニングが気になるのね。トレーニングの後に、二人が精霊を出したからそりゃ気になるよね。

 私は水の精霊をよべないし、二人の才能だと思うけど……。



 

「わかったわティア。

 でも、実際じっさいに肉と骨を引きがさないからね?

 音の響きを伝えやすくするために、筋肉を持ち上げるだけだからね?」


「き、筋肉を()()()()()のですか!?」




 そういって、あおざめるティア。

 すぐにロザリーが何かに気付いたみたい。


『ちょっと!

 誤解ごかいが生まれそうですわよ?』


 言われて気がついた!!

 ティアは重量挙じゅうりょうあげのように、両手で自分の筋肉を持ち上げると思っているみたい! 私はあわてて説明した。




「二本の指で鼻のあたりの筋肉を、ちょっとさえるだけよ?

 発声練習に夢中になってしまうと、お手洗いに行く時間がなくなるわ。先にすませて練習にしましょう」


「はい! わかりました!! ロザリー様!!」




 興奮こうふんしながらも少しの恐怖のまじったティアの返事に、嫌な予感がした。


『あの子。これからおこわれる練習が、“恐怖でらしてしまうほどのきびしい特訓”と思っているに違いないですわね』


 ロザリーもそう思う?

 私もそんな予感がするわ……。

 “時間がすぐにたつ”と、後で丁寧ていねいに説明しなくちゃね。

 ティアには誤解ごかいされてしまったみたいだけど、とりあえずみんなでワイワイと先にお手洗いをすませる事になった。

 歩きながらマリーとスピカが、ティアの誤解ごかいこうと説明を始めてくれたのがありがたかった。




「ティア様。

 両手の人差ひとさゆび中指なかゆびで鼻の付け根を押さえるのですわ」

「わかりました。マリー様。こうですか?

 これ……けっこう、息苦いきぐるしいです、ね……」

「わ! ティア様!!

 鼻のだけでなく、鼻も押さえてしまっています!」

「ティア様! でしたら、〔ほほの筋肉〕の一番内側の部分に、指をおいてみましょう!!」

「え? はい。スピカ様。こうですか?

 ……あ、鼻がよくとおりますね」

「「そうですわ! ティア様!! そこです!」」




 マリーとスピカの説明に、ゼアも興味を持ったらしく、深く説明を聞いていた。


 話の邪魔をしないように、私は後ろからついて行くことにした。すると、ヘンリー王子に左手を強くつかまれたので、その場に立ち止まった。

 皆がどんどん遠ざかっていく。

 でも、ヘンリー王子が何か思いつめた顔をしていたので、心配になった。いつもニコニコしていたのにどうしたんだろう?




「ロザリーに……確認したいことが、あるんだ」


「確認したいこと……?」


「……ロザリーは、僕のこと…………嫌い?」


「!?」


護衛ごえいのジェイクとフォスターには、声が聞こえない所でひかえてもらってるから、正直しょうじきに答えてほしい……」




 わ、ホントだ!

 ジェイクとフォスターが、いつの間にか校庭のはしの木々の所にいる!!(私が入学初日に燃やした木のあたりに!)

 

 そして、このとき初めて気がついた。

 追放されてドラゴンに食べられる未来が怖くて、ヘンリー王子となるべく距離をおこうとしたことで傷つけていた……?

 いつもグイグイくるから、ちょっと距離をおこうとしたぐらいじゃ傷つかないと思ってた……。

 どうしよう? 「そんなことない」って、早く返事しなきゃ!!




「そんなことない!

 ヘンリー王子はカッコいいし、優しいし、魔法もすごいし、非の打ち所がないもの!!」




 ……あれ?

 あわててヘンリー王子の言葉を否定ひていしたけど、何か心に引っかかった。

 それは、ヘンリー王子がパァァァァァァァァァっと笑顔になったから。




「嬉しいよ。ロザリーは、僕のことそんなに好感を持ってくれてたの?

 ねぇ、提案ていあんなんだけど、まず婚約をしてみよう? 

 もし、合わなかったら婚約を解消すればいいから」




 〔婚約〕をとっても簡単かんたんな事のように言うけど、これ、わななんじゃ……?

 でも……わなとわかってても、まっすぐに見つめられて好き好きオーラを出されると、あらがえない……。「はい」と言ってしまいそう。

 私は……恋愛とはあまり縁のない生活だったから、……こういうのに免疫めんえきが…………無いのよ……!


『“合わなければ婚約を〔解消〕すればいい”って言ってるのですから、〔婚約破棄〕とはちょっと違うのではないかしら?

 あなたが心配する事態にはなりそうにないですわよ?』


 う……。でも、今まで好きにならないように頑張ってたのに!

 ヘンリー王子を好きになった後で、もしも、公式シナリオ通りヘンリー王子がティアとむすばれて、二人に冷たく断罪だんざいされたら……!! ドラゴンに食べられる前に、切なくて力尽ちからつきてしまうと思う……。

 それに、ロザリーにはゼアと幸せになってほしい。


『だから、あなたはヘンリー王子に冷たくしますの?』


 ……それは…………どうだろう。

 好きな人が傷つくのも切ない…………。


わたくしのことなら、気にしなくて良いと言ったでしょ? 自分でも何となくわかるのよ。多分、わたくしはこの体に戻れませんわ』


 そうなの?

 それも……切ないよ。ロザリー。


『どうなるかわからない先のことより、あなたは自分の事を考えなさい!

 あなたは、自分が不安に思っている事を、ヘンリー王子に先に伝えておけば良いのですわ』


 先に?


『こうなるのが嫌だから、“こうしてくれるなら”と条件をつけるのよ』


 じょ、条件!


『あなたは、今、〔ロザリー・バードック〕ですのよ!? 美しくて可憐なわたくしと婚約したいなら条件が一つや二つや三つ! いえ、いくつ出されても、当たり前ですわ!!』


 う……うん。

 流石さすがロザリーだね。



 ロザリーにいわれた通り、私はヘンリー王子に条件を出してみることにした。




「へ……ヘンリー王子!

 じょ、条件があります!!」


「うん! 何?

 僕はどうしようもなく君に恋してる。何でも聞くよ」




 ヘンリー王子が目を輝かせて聞いてきた。

 王子の魅力みりょくにクラクラしそうになるのをこらえて、私は提案ていあんした。なるべくソフトに。




「ヘンリー王子が、私に“恋”をしてくれたのはよくわかりました。

 でも、恋はいつかめるもの。その時が私は怖くて……」




 すると、今度はヘンリー王子が顔を赤くした。


 え?

 ……なんで?




「それは、“二人で愛を探そう”という提案ていあん?」


「えっ?

 そ、そうじゃなくて、『もしも、他に好きな人ができたらすぐにおしえてください』って、言いたかったんです!」


「ロザリー以外の人と? それは、無いと思う」


「“もしも”の話です!

 おしえてくれたら、私は大人しく身を引きますから!!」




 “婚約破棄しなくても大人しく引き下がるから、私を国外追放にしてドラゴンに食べさせないでくださいアピール”なのに、ヘンリー王子は不機嫌ふきげんになって、話を真面目に受け止めてくれているかあやしい。

 それでも、私からの条件は最後まで言わなきゃ。




「あと、私が人として間違った行為こういをしたら、おしえてください。直します」




 ティアをいじめる気はったくないけど、何かのばつとして突然とつぜん〔ドラゴンに食べられる刑〕っていうのも、回避かいひしたい。




「ロザリーは頑張がんばり屋さんなたけだから、それは無いだろうね」




 サラッと言ってくれたのは嬉しかった。

 ある程度ていど信頼しんらいされているんだなって思えた。


『これ……あれですわよ?

 あなたが校庭の木を焼きくしたのも、校庭を水沈しずめてしまったのも、あなたが“頑張った結果”なだけで、“悪意があったと思ってない”って事ですわよ?

 ヘンリー王子って、あなた自身をしっかり見てますのね』


 え!?

 も、もう!

 やめてよロザリー!!

 ドキッとすること言わないで!

 まだ、もう一つ条件じょうけん出すんだから!!


『まだありますの?』


 そうよ。

 三つ目は……、




「三つ目は、もし、私の性格が突然とつぜん変わったら、別れてください。それは私ではないので……。

 以上の三つの条件を約束してくれるなら、……その、…………婚約……してみま……」




 最後まで言いきる前に、ヘンリー王子に抱きつかれた。

 舞い上がる花びらは量が多くて、私のものなのかヘンリー王子のものなのか、わからなかった。







挿絵(By みてみん)







「“押してだめなら引いてみろ作戦”成功だ!」


「うぅ……。やっぱり、これはわなだったの!?」


「違う違う!

 “()”じゃなくて“()()”だよ。ロザリー」

お読みくださりありがとうございました。

次回は02/06㈪に投稿予定です。


自費出版の小説「いいからレジを打ってくれ!!」もどうぞよろしくお願いいたします(書店かネット書店でお買い求めいただけます)




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