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悪役令嬢にとりつかれました!  作者: 葉桜 笛
恋の罠

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29/92

第26話 王子は基本、我儘だそうです(挿絵有り)

「あ!

 あそこにアイザック様がいます!

 ロザリー様は、彼を御存じですか?」




 ダンスの途中でサフラン生徒会長がアイザック先生を見つけたようだった。テンションの上がり具合からして、かなり尊敬そんけいしているみたい。




「アイザック様は、この国で1番の宮廷魔法騎士です。剣も魔法も、とても素晴らしいと聞きます。

 私は彼にあこがれて宮廷魔法騎士になりたいと思いました」


「そうなんですね」


「なのに……、【暗黒令嬢】のせいで、彼は魔法学園にり出されたらしいのです! アイザック様の通常業務を妨害ぼうがいするとは、憎々(にくにく)しい!!

 しかも、せっかく学園でお目にかかれるチャンスだったのに、私は生徒会の仕事がいそしくて気付くことができず、無念です……!」




 サフランさん、すごくやしがっている。なんか、後半はつ当たりのようにも感じるけどね……。

 私が問題をこさなければアイザック先生が学園に来ることもないのに、会えなかったことも私のせいなの?

 私が【暗黒令嬢】と呼ばれていることに気付かれる前に、話をそらそう!




「あっ! あのっ!!

 実は、私、アイザック様に家庭教師をしていただいております。よければ、御紹介しましょうか?」




 会うと、アイザック先生は本当は口が悪いことが判明はんめいして、サフラン生徒会長はガッカリしてしまうかもしれない。

 でも、今はなるべく穏便おんびんにこの人とお別れしたい。




「いいのですか!?

 ぜひ! 紹介してほしいです!!

 アイザック様が家庭教師とは、何とうらやましい!」




 上手うまく話をそらせてよかった。

 サフラン生徒会長と私は、曲が終わるとアイザック先生の方に向かった。意外にも、アイザック先生はすぐこちらに気付いてくれた。




「ロザリー様。

 早速さっそく私のアドバイスを聞いてくださったのですか」


「はい。先生のアドバイスですから……」


 


 私が自分に自信無いから全力で呪文をとなえてしまい、魔法の威力いりょくが大きくなってしまう可能性があるって指摘してきされたんだよね。

 だから、パーティーで沢山の人とおどって女性(あつか)いされて自信をつけろって言われ、私は何でもいいからパーティーに参加することになった。


 それにしても……。

 アイザック先生、本当はあらい話し方なのに見事みごとかくしてる。一応いちおう他の人も大勢おおぜいいるから、紳士しんしぶっているのね……。

 見事な猫(かぶ)りだわ。


 早くアイザック先生にサフラン生徒会長をし付けて、逃げよう!




「私がかよっている学園の生徒会長が、アイザック先生のファンだそうなんです」




 といって、サフラン生徒会長を紹介した。

 私は優雅ゆうがに人をけつつ、人がいなさそうなテラスへと避難ひなん





『ちょっと聞いても良いかしら?』


 何? ロザリー。


『"乙女ゲーム"というものは、"攻略対象"の殿方とのがたから逃げ回るゲームですの?』


 う…………。違うわよ。

 自分のこのみの攻略対象と結ばれるように、頑張るゲームよ。

 でも、今は仕方しかたないでしょ?

 サフラン生徒会長に、【暗黒令嬢】は悪魔だって思われているんだよ? 皆が勝手かってに、私のこと【暗黒令嬢】って言ってるだけなのに!


『それは仕方しかたがないとして、何故なぜヘンリー王子かヨド先生の所にもどりませんの?

 なかを深めるチャンスですわよ?』


 


 ダンスフロアから、外の広いテラス(ここでもダンスできそう)に出るガラスりのドアを押しけて、私はロザリーに答えた。




「だって、仕方ないでしょ?

 出会って2日や、4日でプロポーズされても、私の心がついていかないわよ!!」



「ロザリー?」




 名前を呼ばれてビックリした。

 誰もいないと思ってたのに、テラスに出たらヘンリー王子がいた。もしかしたら、次々に取りかこんでくる令嬢から、逃げてきたのかもしれない。




「今の話は本当ですか?」





 もしかして……。頭の中のロザリーに答えてるつもりが、興奮こうふんしすぎて口に出てた..?


『えぇ。出てましたわね』


 ヘンリー王子の悪口を言っているように聞こえたかな? 私はただ「こまる」って言っただけなんだけど……。

 ご、誤魔化ごまかさなきゃ!!





「えっと……、あの…………」




 ダメだ!

 動揺どうようしすぎて言葉が出て来ない!!

 なんて言ったらいいの?!




「出会って2日や、4日……?

 僕が求婚したのは出会って2日目だから、他にもあなたに求婚した者がいたという事ですね?

 しかも……今日?」


「な……、なんで、そう思ったのですか?」


「さっきのロザリーの言い方からして、プロポーズされてそんなに時間がたってなさそうだったから。

 “出合って4日目”ということは魔法学園の人?」




 ひ、ひぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!

 何?!

 この推理力すいりりょく!!

 ヘンリー王子、かんするどい!




「……ロザリー」




 ヘンリー王子が一歩いっぽ前に出てきたので、右足からズリズリとあとずさった。




「僕は王子として、国民の事を第一に考えるようきびしく育てられてきました」




 また一歩いっぽ前に出てくるから、今度は左足からズリズリとあとずさる。

 でも、まっすぐ後ろに行くとパーティー会場に戻ってしまうから、方向ほうこうを少しずつ変えながら……。




「気をつけないと、気付かぬうちに国の財政ざいせいかたむけさせてたり、政治戦略に巻き込まれていたり、思わぬ事態じたいを巻き起こす可能性があるから……。

 だけど……」




挿絵(By みてみん)




 バルコニーの手すりにぶつかった。

 もうこれ以上、後ろに逃げられない!

 え?!

 いつの間に……、いつの間に追いやられたの?!




おぼえておいてください。

 もし、なにか願えば何でも手に入る環境で育っているがゆえに、基本的に王子は我儘わがままです。

 しいと思ったものは()()()手に入れる」




 ヘンリー王子が両手を伸ばしてきた。

 優しく私の頬にれる。

 いつの間にか距離が近くなっていた。

 鼓動が早くなるし、頭の中がグルグルしてる。




「お、王子……。ち、近い..です…………」




 何とかうったえてみた。

 ドキドキするから、少し離れてほしい……。


 ヘンリー王子は、「フッ」と優しく微笑ほほえんだ。




「困った顔も、あなたはとても可愛い」





 うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

 “可愛い”っていわれた!!!!

 元々(もともと)そんなこと言われることが滅多めったにない上に、最近は【暗黒令嬢】とかいわれてけられてるから、よけいに破壊力がある。

 ダメだ! このままではキュン死にしてしまう!


『え?!

 死んでしまいますの????

 それは、いけませんわ!』




 私だけでなく、ロザリーもあわてだした。




「あ、あの……!」




 とりあえず、距離を、距離をとりたい。

 なんて言えばいいか言葉を探そうと思ったら、ヘンリー王子がなやましげにいった。




「あの日、あなたは、"優しくしなくても良い"といった」




 ぶはっ!!

 ……は、鼻血出そう。…………耳からも出そう。



 でも、違う!

 あの時の言葉は、そういう意味じゃない!!


 2日前のクッキー対決の後片付けの時のこと言ってるのよね?

 ティアとマリーとスピカが「卒業後に宮廷で働かないか?」ってさそわれたのに、私だけさそわれなかったのをヘンリー王子に不憫ふびんに思われたんだと思って、“気にしなくていいですよ”って意味でいったのよ!


『そうねすわよね。

 ヘンリー王子はあの時プロポーズしたのに、元気づけられてるとあなたは勘違かんちがいしたのですわよね?』


 ゔぅ〜!

 ヘンリー王子、勘違かんちがいして申し訳ない!!


 っていうか、ヘンリー王子の今のセリフ初めて聞いた気がしないんだけど、予知夢よちむでも見たのかしら?!?!


 私の頭の中はグルグルグルグルなって、目が回ってきた。

 何をどう説明したら良いの?

 動揺どうようしすぎて頭が上手うまく回らない!


 その間にも、ず――っとヘンリー王子は両手で私のほほれたまま。

 ドキドキが!

 ドキドキが止まらないのよ――――――――!!



 今でもかなり近いと思うのに、ヘンリー王子がさらに距離をめてきた。


 




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