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悪役令嬢にとりつかれました!  作者: 葉桜 笛
恋の罠

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22/92

〈第二夜〉 悪役魔法少女★ロザリー•ロザリー(挿絵有り)

 夜。

 魔法学園と小さな町のあいだにある森に、巨大なモンスターがあらわれた。

 私は走った。




「ロザリー! 急いで!!」




 てのひらサイズの妖精がとんできて、私をせかす。

 この妖精……なんか、見たことある……。

 そうだ!!




「きのう夢の中であった妖精さん!!!!」


「おぼえていてくれたの? えへへ。

 あ、いけない。

 そんなことより、ロザリー!

 森にモンスターがあらわれたんだよ!」


「知ってる! だから走っているのよ!!」




 あれ?

 走っていったところで、私に何か出来るのかな?












 現地につけば、3人の男性がモンスターと戦っていた。

 白いタキシードに、白いマント、そして、顔の半分がかくれるほど大きく派手はでな仮面。

 仮面舞踏会に参加するような服装だった。




「何?! あの派手な人達……」


「仮面戦士、“ヘンリー仮面”と“アイザック仮面”と“ヨド仮面”だよ!!

 正体しょうたい不明の正義の味方だよ!」



 いや……。

 その名前たと顔をかくしてても、3人とも正体バレバレだよ。



「つまり……。

 “ヘンリー王子”と“アイザック先生”と“ヨド先生”ね」


「さすが“悪役魔法少女”!

 僕がこの国の王子だと、もうバレてしまった」




 “ヘンリー王子仮面”がとても満足そうに微笑ほほえんだ。

 仮面をつけていてもイケメンね。

 でも気になる言葉が……。




()()()()……まほうしょうじょ?」


『そうですわ。

 私達わたくしたちは〔魔法少女〕ですのよ?』


「……うそ」




 聞きなれた声が聞こえて左を向けば、そこに同じ顔の少女がいた。







「ロザリー!!」







『約束(どお)り手をかしに来ましたわ』



 ロザリーが目の前にいる!!

 同じ顔の人物が2人いるのに誰も不思議に思わない。





 これは夢ね!!





 ロザリーがいるなら私はもとの世界の体かと思いきや、そうでもなくて私もロザリーの姿。

 いつものでっかいカールが、私の足元あしもとを見えなくしている。

 そして黒を基調きちょうとした“魔法少女”の衣装いしょう




「さ、ロザリーさん達!

 ここで魔法少女の決めゼリフです!!」




 妖精さんがとんできて、そうさけんだ。




『よろしくってよ!

 こら!

 そこのモグラけいモンスター!!』




 ロザリーがモンスターに向かってさけぶと、私の口が勝手かってに動いた。





「これ以上あなたの好きにはさせないわ!!

 この〔()()令嬢ロザリー〕と!」


『「()()令嬢ロザリー〕が!』


『「暗黒界へ送ってあげるわ!!」』





 あぁ。ついに自分で()()令嬢って言ってしまった。

 ロザリーなんか、自分が()()だってみとめたし。

 ……暗黒界。

 夢の中では“ある”っていう設定なのね。




「君達が来たからには、もう安心だ。

 さぁ!

 ここからはちからを合わせて戦おう!!」

「俺達じゃ退治しかできないからな」

「あなたたちの魔法なら、モンスターを傷つけずに元の世界へ送ることができるから、来てくれてありがたいです」




 仮面戦士たちはとても嬉しそうにそうにいったあと、巨大なモンスターへといどんでいった。

 それとは別に、他に数人いた町の人が恐怖のさけび声をあげた。

 気がつかなかった。他にも人が何人かいたのね。





「うわぁぁぁぁぁ!

 悪役魔法少女があらわれた!」

「もうおしまいだァァァァァ!!」

「逃げろ! とにかく早く逃げるんだァァァァァ」

「暗黒界に引きずり込まれる!!」




 

 えぇ!? なんですって?!

 私は夢の中でも、何かやらかしてるの?





「僕達が時間をかせぐよ!」

「たのんだぞ!!」

「ロザリーさん達、お願いしますね」




 ヘンリー仮面とアイザック仮面とヨド仮面は、モグラ型モンスターと戦いながら声をかけてくる。

 お願いされても、どうすればいいの?


 まよっていたら、モグラ型モンスターの右足がこっちに向かってきた。

 ヘンリー仮面たちに攻撃されて、モンスターがよろめいたからだ。






き飛ばされる!!)






 そう思った時、モグラ型モンスターの足に〔水の魔法〕が直撃した。




なぞの戦士ゼア仮面!!」




 妖精がさけんだ。

 いや、まって。

 それ、ティアのおきのゼアってことだよね?




『何をボケっとしてますの?

 必殺技のチャンスですわ!』


「え? あ、うん」


『「ダブルロザリーアタック!!!!」』




 ロザリーと一緒にさけぶ。

 すると、どこからか一つ目で一本足のからすが飛んできて、私とロザリーのステッキが紫に光った。


挿絵(By みてみん)


 モグラ型モンスターの足もとに紫に輝く魔法陣が広がる。

(え? カラス?!)

 魔法陣からは黒い煙があふれだす。




「逃げろぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

「巻き込まれるぞ!!」

「暗黒界に引きずり込まれる!」

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」




 仮面の戦士を見たくて残っていた町の人が、悲鳴ひめいをあげながら逃げていく。

 夜の森で、紫に光る魔法陣に黒いけむりは、たしかに不気味ぶきみよね。

 しかも、おでこの部分に大きな目が一つある一本足のからすが必殺技の発動をうながすって……。


 魔法陣は「ゴゴゴゴゴ」という音をあげて、モグラ型モンスターを飲みこんだ。

 それは何だかおそろしい光景こうけいだった。


 あ、〔正義の味方みかた〕の仮面戦士たちに対して、町の人を巻き込みそうになり恐怖をあたえる〔悪役〕の魔法少女ってこと?

 町の人への配慮がたらないから“悪役”とついてしまうのか……。夢の中とはいえ、なかなかきびしい世界ね。


 そんなことを考えていたら、木から落ちそうになった。必殺技で大量の魔力を使ってしまい、足がふらついたみたい。

(意外と体力いるのね)とか思いながら体勢たいせいを立て直そうとした時、“ヘンリー王子仮面”が手をかしにきてくれた。






「お姫様だっこ!?」







 きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!

 ドキドキするからやめてほしい!!






 木から落ちそうになったところを助けに来てくれたのはうれしいけれど、お姫様だっこで木から木へとうつるって、さすが夢ね!!

 でも今は顔を見れたくない。

 顔が、顔がになるのを止められないのが自分でもわかる!

 真っ赤な顔を見られるのは、はずかしい!!




「このまま君を王宮にれて帰るってのも良いよね」




 ヘンリー王子仮面が何か言っている!

 ドキドキしすぎて何を言っているのかよくわからない!!




「?!

 なにをおっしゃっているのか、よくわかりませんが、い、いじわるしないでくださいね!!!!」




 とりあえずさけびながら、お願いしておいた。

 地面は!?

 地面はまだなの!?




「でも君は、“優しくしなくていい”と言ったじゃないか」


「……!!」




 さっきと違い、静かにゆっくり話したヘンリー王子仮面の言葉がしっかりと耳に入ってきた。

 頭が「ボンッッッ!!」って爆発したかと思うぐらい、顔の温度がさらに急上昇きゅうじょうしょうした。


 ロザリーが、ロザリーが寝る前に変なこと言うから、こんな夢を見るんだ!!


 それから無言のままで、“ヘンリー王子仮面”はお姫様だっこをしたまま木から木へとうつり、やがて地面にり立った。

 顔がなのを変にからかったりされなくてよかった……。




「“優しくしなくていい”と君は言ったけど……」


「……?」


「大好きだから、優しくしたいと思うんだ。

 ……こまったものだよね」


「!!」




 ドキドキしすぎて言葉が出てこなかった。

 もう何も考えられない。

 ヘンリー王子仮面は、そんな私のほほにそっと手をのばして、はにかんだ。




「夢の世界でずっと一緒にくらすのもいいけれど、やはり現実で君にふれて存在そんざいを感じたいから、今日はおとなしく帰るよ。

 じゃあね」




 そういって、ヘンリー王子仮面は闇へと消えていった。

 ヨド仮面とアイザック仮面がいつのまにか近くにいて、私の頭をポンポンとなでてさっていった。





「はあぁぁぁぁぁぁぁ、ドキドキした!」



 謎の戦士が立ちってから一気いっきに気がけた。

 夢って恐ろしいわね。

 ヘンリー王子があんな甘いセリフを悪役令嬢の私にを言うわけないのに、みょうにリアルだった!

 夢の世界。本当、おそろしい……。




「カァ!」


「あ、まだいたの?

 魔法の発動をうながした不気味ぶきみなカラス。

 ダックスフンドよりデカイ……

 いやぁぁぁぁぁ!

 肩に止まろうとしないで!!

 こわいぃぃぃぃぃ!!!!」


「いやぁ、無事にモンスターを暗黒界に送り戻せて良かったですねぇ」




 からすが肩に止まろうとするので逃げ回っていたら、妖精さんが飛んできた。




「そのカラス、悪役魔法少女のマスコットキャラですよ? かわいがってあげてください」


「急には無理! 怖い!!

 こんな時こそロザリーじゃない?!

 ロザリー!

 助けてロザリー!!

 悪夢を見たら助けてくれるって約束してくれたじゃない!!!!」




 必死にロザリーをよんだら、ふらふらとロザリーが歩いてきた。

 あれ?

 いつもの自信満々な態度は?




「ロザリー? あの、だいじょうぶ?」


「ふふふ。

 悪霊令嬢のロザリーさんは、なぞのゼア仮面に『ぎゅ〜』ってされたんですよね?」


「ぎゅ〜?」




 妖精さんが何を言っているのかわからなくて、ロザリーに説明してもらおうとロザリーを見れば、顔が




「じつはですね、必殺技で魔力を大量に消費してふらついたロザリーさんを、ゼア仮面が抱きしめたんですよ!」


「あ、だから『ぎゅ〜』ね」


「いえいえいえ。

 それだけじゃないんです!

『ロザリー。生きていてくれて良かった』って、いってからの『ぎゅ〜』です!!

 しばらく抱きしめられてましたね」


「!!

 ロザリー! 恋! 恋の始まりね!!」




 一つ目一本足のからすが私の肩に止まったけれど特に害はないし、もうどうでもよくなった。




「あぁ! ステキなロマンスね!!

 くわしく、詳しく聞かせて!!」


『よ、よろめいたところを、助けていただいただけです!!』


「それでいいから、そこを詳しく!!」




 そこからは妖精さんと「キャーキャー」言いながらロザリーに話しを聞こうとりあがったところで目が覚めた。


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