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悪役令嬢にとりつかれました!  作者: 葉桜 笛
悪役令嬢にとりつかれました!

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21/92

第20話 もとの世界にもどっても(挿絵有り)

 アイザック先生とのダンスは、遊園地のアトラクションみたいだった。

 息は切れるけど、ワクワク顔になってしまう!



「アイザック先生、これは楽しいです!」


「“これは”ってのが気になるが……、だろ?

 普通におどるより楽しいだろ?

 理解者があらわれて嬉しいぜ!」



 アイザック先生、さわやか笑顔!

 あれだけの運動量でリードして、余裕よゆうみ。

 宮廷魔法騎士の基礎体力(すご)い。



「舞踏会で沢山たくさんの人と踊り、女性(あつか)いを受ければ、今より自信が持てるかもしれない。

 パーティーに参加しても、たしかお前いつも人と話して踊らないよな?」



 そうなの? ロザリー?


『チッ。この男、よく見てますわね』


 本当なんだ……。



「これからはダンスもやれ。

 これで、今日のレッスンはこれで終わりだ」


「はい。ありがとうございました!」



 最後に、右手で頭を「ポンポン」とでられて気がついた。


 私の事を気遣きづかってくれたのか!

 そうだよね。

 先生に殺されそうになったら、普通は傷ついたり落ち込んだりするよね。

『ここはゲームの世界だから』って、私は思ってるから何とも思わないけど、そうとうショックな出来事だよね。

 アイザック先生優しい。



 厩舎きゅうしゃの所でアイザック先生を見送り、先生の姿が見えなくなった所で、ロザリーに話しかけてみた。


 ダンスの時とか『キャーっ』てロザリーは喜ぶと思ってたのに、静かだったね。



『考え事をしていたのですわ』


 そうなの?


わたくしを殺した犯人がわかれば、すべて解決でもとに戻ると思っていたのです。

 あなたは、日付ひづけがかわったらすべもとに戻ると思っていたようですけど……』


 うん。


『本当に日付がかわれば全てもとに戻るかしら?』



 え?!

 戻れないとこまる!!

 1日や2日ならまだ何とかなるだろうけど、現実世界の自分の体が心配になる!

 このまま帰れないと私の体、死ぬんじゃ……?!

 一人()らしだから、すぐには騒ぎにならないだろうけど、そのうち家族にも心配されちゃう!!

 だから、早く全てもとに戻ってほしい。



 でも、考えても仕方しかたない……。

 どうなるのか、私達にはわからないね。




 ね、元に戻ったら、ロザリーのやりたい事ってどんな事?


『そうですわね。

 "世界の覇者"になりたいですわ。

 自分の持てる力を使い、世界を動かす人間になりたいですわ』




 世界の覇者!!




 何気なにげなく答えてくれたけど、スケール大きいね!

 ここ、"恋愛シミュレーションゲーム"の世界よ?!


わたくしわたくしの夢を叶えるのに有能な殿方とのがたさがしているのです。

 ヘンリー王子は、この国の最高権力者の息子なので、最有力候補ですわ』


 そういう基準で男性を見てるのね。

 悪役令嬢っポイ思考しこうだわ。


『あなたはどういう基準ですの?

 ヘンリー王子から告白されてましたし、早々にくっついても良かったのですわよ?』


 え?! 告白されてた?

 記憶に無いよ?


『クッキー対決の後片付あとかたづけの時、「()殿()に来てほしい」と言われましたわ。

 "きさきになって、一緒に宮殿に住んで欲しい"という、プロポーズですわよ?

 ヘンリー王子は花まで舞わせてましたわ』


挿絵(By みてみん)


『あなた"()()魔法騎士になれと言われている"と誤解してましたけど?』


 何でその時、おしえてくれなかったの?!

 いろんな事があったから、頭がうまく回ってなかったのよ。花は『キャーキャー』言ってるロザリーのものだと思ってた。


『人のせいにしないでくださいませ。

 わたくしうれしくて"きゃあきゃあ"さけぶので精一杯でしたの。

 で? あなたはどうなのです?

 家庭教師の男やヨド先生にも愛情を向けられてましたけど、誰が好きですの?』


 ちょっ、ちょっとって!

 おたがいに気づいてないだけで、アイザック先生とヨド先生は愛し合っているのよ?




『……は?』




 もう! 鈍感どんかんね!!

 アイザック先生はヨド先生の事が好きで、ヨド先生はアイザック先生の事が好きなのよ!

 乙女ゲームにBL入れてくるなんて、このゲームはかなりヤバイわね。幅広はばひろく乙女の心を鷲掴わしずかみにしようとめてるわ。

 何て、強欲ごうよくなゲームなの……。


『ちょっと! まちなさい!!

 あなた、なんて残念な人なの!? あの時の花は、両方とも()()()に向けられたものですわよ?!』


 いや、それは無いよ。


『思い出しなさい。あなた始めてヨド先生にお会いした時「2人目の攻略対象だ」って言いましたわ』



 あっ!!



『ヨド先生が“ティアを好きになる”という展開てんかいがあるなら、“わたくしを好きになる”という展開もあるという事ですわ』


 そう言われてみると、そうだね……。


『あなたが学園で勘違かんちがいした時、あの家庭教師も「違う」と否定ひていしておりました。

 それにさっきのダンス!

 舞い上がっていた花弁はなびらは、あなただけのものではありませんでしたわよ?』



 えっ?!



 ロザリーの指摘してきに、どんどん顔が赤くなる。



『あなたがやらかした校庭の“毒の沼”の後片付あとかたづけでつかれているだろうに、わざわざ様子ようすを見に来て、ダンスまで!!

 普通の家庭教師は、ここまで面倒めんどう見ませんわ』


 ……!!

 そう言われると、とても親切しんせつだった気がする。


『私達が燃やされていた時、ゼアも全力をつくしてくれたらしいですけど?』


 待って! 待って! 待って!! ロザリー!!

 私がモテモテみたいな言い方しているけど、からかわないでよ!!


『あ〜ら、恋愛シュミレーションゲームの世界ですわよ?

 可能性は無限大ですわ!』


 もう!

 私なんかがそんなにモテるわけないじゃない!





『……私()()()……?』





 急に頭の中のロザリーの声がくぐもった。




『あなた……。今、()()()、体にいますの?』




 ロザリーが怒ってる……?



『美しき、わたくしの体ですわよ!!

 モテないはずがありませんわ!!!!』


 ロザリー!

 すごい自信!!

 でも、そうだよね。

 ロザリーはすごく美人だものね。


『その通り!

 だから気になる殿方とのがたがいたら、だまって手をにぎるだけで恋が始まります!!

 良いですこと?

 もしもとの世界に戻ったら、後で後悔こうかいしないよう、気になる殿方の手をにぎるのですわよ?』


 ロザリー……。

 私の事、心配してくれてるのね。

 ありがとう。

 うん。がんばってみる。


『その意気です!

 手をにぎっただけでは何も始まらないかもしれないけれど、何かしなければ何も進みませんわ!!』



 ロザリーにはげまされて、胸が熱くなってきた。

 私、特にやくに立たなかったのに、心配してくれてありがとう。


『いいえ。

 あなたがマリーとスピカに〔水の魔法〕のコツをおしえたのよ?

 わたくしが人生を何度くりかえしたとしても、周りの人の力をりられても、自分におそいかかる大きな炎を消せなくて死んでしまうに違いありません。

 あの炎を消したのはマリーとスピカですが、炎を消せたのはあなたのおかげでもあるのよ。

 あなたをこの世界に引きんで良かったですわ』


 ……本当に、ヨド先生にとりいたバグが取れて良かったね。




 ねぇ。




 そういえばヨド先生は「悪霊にとり憑かれた」って皆に説明したけど、今の私達はどうなんだろう?

 私にとり憑いているロザリーは「悪霊」になるの?

 

『何て事を言いますの!

 この体は私のものです!!

 私の体に入っているあなたが「悪霊」ですわ!』


 えぇ!?

 ひどいよロザリー!!


『フフン。

 わたくしをからかおうなんて100年早いですわ』



 そして、少し間を置いてロザリーが静かに話しだした。



『生きている人間の力は世界を変えていきます。

 もとの世界にもどっても、私達わたくしたちと出会った事を忘れないでくださいませね?』


 うん。


 


 このあと、私とロザリーは寝るまでに沢山たくさん話しをした。

 それはベッドの中に入っても。

 執事さんがお弁当を持たせてくれてたけど、食堂にも行ってみたかったねとか、制服の魔法防御が高くてビックリしたねとか、くだらない話。

 そして、いつか眠りについた。

















 目がめて視界に入ったのは、白い天井てんじょう

 白でそろえた家具。

 4人一緒(いっしょ)に眠れそうな、白の天蓋てんがい付きベッド……。

 白のレースがお姫様みたい……。






 え!?!?






 ここ、ロザリーの部屋!!!!



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