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45.奇襲、殲滅、帰還、そして絶体絶命

2022年7月23日 微修正、誤字脱字修正のみ。内容変更なし。

《納屋45》


 ヨロイ大トカゲを狩り、蛇に絞られ、旧帝国製兵器を手に入れ、謎の組織を返り討ちにし、鬼蜂の巣を焼き、天井が凹んでフロントガラスが無くなった軽トラで帰ってきた。


 夕方のまだ明るい時間だ。軽トラに乗ったまま街へ入ろうとしたら門番に止められた。多少怪しい奴でも通す門番だが、さすがに軽トラは怪しすぎたか。


 幸い、アゼリーナさんが一緒だったおかげで簡単に通してもらえた。

「盗賊を捕まえて来たわ」

「はっ、ご苦労様です」


 捕虜をどうしようかと思ったら、盗賊扱いでギルドが引き取ってくれた。

 持ち帰った死体や捕虜からの情報で襲撃者は皇国軍だったことが分かった。すでにオレも完全に足を突っ込んでいるので直接ギルド長から話を聞けた。


「ギルドでもこういう、じん..調査やるんですね」


「必要とあらばな。この街の防衛も、治安維持もできるのは我々だけだ。本音としてはそんな仕事はやりたくないが、独立を維持するためなら戦うという冒険者は多いぞ」


 この街の冒険者は、この街が独立した自治都市であることをとても気に入っている。それはオレも同じだ。


「特に今は皇国の動きが怪しいので警戒中だ。今後も何か情報をつかんだら教えてくれ」


 -解体場-


 取り出す前に予告したのに巨大トカゲを見た職員達がびっくり仰天だ。

 走ってわざわざ野次馬を呼んできたやつまでいる。

 おやっさんだけはそこまで驚いてない。


「エドと嬢ちゃんならこんなもんか。まあ、たまげたがよ。このトカゲな、確実に金貨500枚を超えるが、今査定するより時価で売った方がいいぞ。一番いい条件でさばけるよう準備すっからよ、しばらく預かっててくれや」


「ボアと蛇は?」

「この際、そいつらもまとめて時価だ。へっへっ、楽しみにしてろよ」


<今回の収穫>

ヨロイ大トカゲ  2 金貨500枚以上の時価で二匹分

ブラックボア   1 金貨80枚以上の時価

アジュダハ(蛇) 1 金貨120枚以上の時価

鬼蜂関連の情報 金貨2枚

戦利品の剣と弓と杖


 戦利品は武器だけだ。

 情報源となる死体は防護服を着たままで引き渡した。調査後に防具類ももらっていいと言われたが断った。


 鬼蜂関連は、後で成り行きに応じた金額をもらえることになっている。


 魔導甲冑は見せていない。石銃の弾痕がどうやってできたか詮索されるかと思ったが、反応は『ほおー、体の損傷を少なくしようとしたのか』だった。

 そもそも、冒険者個人の能力を詮索するのはご法度だし。


 街が戦争にでも巻き込まれない限り、旧帝国製兵器を提供する気はない。

 往復4日かかるはずの距離を日帰りしたことはバレてしまった。


 もう一度ギルド長の部屋に呼ばれると、まだまだ希少で高価なショコラが出てきた。それをつまむと、もともとオレを昇格させたがっていたギルド長がニコリとして言った。


「さてエド君、今日から君もCランク冒険者だ。おめでとう」


 アゼリーナさんもショコラを口に放り込んで言った。

「エド君おめれとう」


 昇格の理由は、『ヨロイ大トカゲを倒せるDランクなどいてたまるか』だ。高速な移動手段がバレたのも大きいだろう。


 あんまり嬉しくない。嬉しくはないが、昇格はフェレーナさんとの約束でもあるので手間は省けた。

 今後は指名依頼も来るんだろうな。

 めんどくせえ。


「本当はBランクまで上げたいのだが、私の権限でもあれやこれの条件を無視できない。ドラゴンでも討伐してくれたら話は別だが...どうかね?」

「できるわけないでしょ。Cランクで十分です」


「では、ギルド職員にならんか?君なら特別にある程度の自由を約束するぞ」

「ごめんなさい。それも無理です。自由がある程度に減ってしまったら窒息して死んでしまいます」


「やっぱり根っからの冒険者だな。では、早速で悪いが君へCランクの指名依頼が入っている」


「え、なんで?おかしくないです?」


「依頼者は君の知り合いらしい。昨日、話を聞いたらCランク相当の依頼だったのだが、エド君が最適だと言われたので保留になっていた」


 依頼者はエーリカの第二母ちゃんだった。以前、大トカゲが出る場所で助けた3人組エーリカ、エミル、ロベルトの親パーティが帰ってこないらしい。依頼内容はその捜索だ。


 ワイバーン狩りからの帰還予定がすでに10日ほど遅れているらしい。

 ギルドに保管されている登録証の色で生存は確認できている。


「あいつらの..受けます!蜂の群れに突入して皇国軍を蹴散らすだけの簡単な仕事ですよね」


「まてまて、蜂は想定外だし、皇国と戦争になるのも困る。依頼者だけの問題ではないと分かったのでギルドからも支援を出す」


「支援ならアゼリーナさんを1名、貸してください。それ以上は足手まといです」


 チョビ髭オヤジとオレが見つめ合う。


「承知した。エドワード・フリントロック、捜索とは別にギルドより、『賊討伐』を依頼する」


 *


 軽トラのフロントガラスの代わりは、アイテムボックスに入れていた大量の雑貨でなんとかできた。


 段ボールを布ガムテープで貼り付け、切り抜いた2つの穴に小型のポリカ盾を貼り付ける。視界は悪くなったが、ポリカ盾の部分だけは以前より割れにくい。


「ごめん、なさいね」

「本当にどうってことないから」


 *


 翌朝、エーリカ達に見送られながらまた戦場へ向けて街を離れた。

 ゆっくりと動き出した車を追って、エーリカ達3人や他の子ども達が手を振ってくれる。


「エドさん頼んだよ!」

「無事に連れて帰ってね!」

「みんな無事に戻ってね」


「鬼蜂の大群だなんて..知っていて助けてくれるのはあなたたちだけよ」

「任せてください」


『必ずここへ帰ってくる』と手をふるオレ。


「無事に戻ってきたらお嫁さん紹介してあげるから!」

 ちょっ、リーザさんやめて。

 お嫁さんは一番危険な死亡フラグだよ。




 昨日と同じコースを避けるため、途中から山に入った。

 2体の魔導甲冑が木々の間を猫獣人のように駆け抜ける。

 身軽な三型を持っきてよかった。


「うほー、これすげえ。アゼリーナさん、実は昨日楽しかったでしょ」

「ふふ。今のあなたと同じよ」


 通信状態も良好だ。魔導甲冑同士の通信は思念伝達だが、幸いなことに声を出さないと伝達されない仕組みになっている。合理的だ。


 昨日戦った場所を横切って向こう側の山に入った。ここからは敵を警戒しながら慎重に進む。


 蜂の群れの中に人間がいた。

 昨日の連中と同じ格好をしたのが18人いる。まあ楽勝だろう。


 あ、問題あり。

 正式に敵対してないし、殺意を向けられてもいない。

 索敵の反応も青だ。

 オレ的には敵認定できない。

 う~ん、困った。どうすればいい?


「エド君?」

「鬼蜂は困るけど、あいつら、まだ敵とは決まってないですよね。例えば、ブルグンドとは無関係などこかとの戦争準備かもしれないし」


「放置すればここに近づく無関係な人間が犠牲になる。すでに、何人も蜂の、餌になっているはずよ。付近にはもう魔物だって、いないでしょ。無差別に人を殺す賊と同じよ」


 確かに、犠牲者が出ていないはずがない。無差別に周囲の動物を餌にしているのだ───二足歩行する動物も含めて。賊も殺人者も問答無用で滅して構わないのがこの世界の流儀だ。


 オレ的交戦規定クリア。

 殺る。


「なるほど。理解できました。では、オレが右半分をやります」


 あー、なんかまだ釈然としない。

 無残な犠牲者でも見たら迷わないが、見たくはない。

 だが、どうせ帰り道で遭遇戦になる。

 なら今殺る。


 森の中から2丁の石銃が無音で掃射され、ピュンピュン空気を切り裂く音に続いて敵、いや『賊』が次々と倒れていく。

 2人だけ倒れず、金属を叩く音を響かせて弾丸をはじいている。防護服の下は重鎧か。


「あの2人、硬いだけじゃなく強いです」

 強い奴がいるのは分かっていたが、生き残るとは思わなかった。


 2人が大剣を振り上げて向かってくる。

 背中の長銃で、いや、練習不足だ。


「わたしが足止めする。エド君は斜めから全力攻撃!」

「了解!」

 敵から見て斜めの位置へ走る。


 アゼリーナさんがストーンバレットを放ち始めた。

 バキン! ギンッ! ダカカカキンッ!

 とすごい打撃音を響かせて大小の石が跳ね返る。


 敵は一発玉を大剣で受け流しているが、すごい威力に剣を持っていかれそうになっている。散弾も織り交ぜるので、防ぎきれずに完全に敵の足が止まった。


 こちらもストーンバレットの自動詠唱開始。

 MP10倍で一発玉、おまけに甲冑でブーストだ。

 詠唱が終わると、ブオンッと音が出るほどの高速で、ボーリング玉のような丸石が飛んだ。


 丸石が敵の頭に直撃し、バガンッ!と音を立てて首があらぬ方向へ曲がった。敵の足は衝撃で浮き、吹き飛ばされるようにひっくり返った。


 もう片方の敵は1人じゃ攻撃を防ぎきれなくなっている。腹に丸石を食らって体が『く』の字に折れ曲がり、前に出た頭にでかい丸石が直撃した。

 バガンッ!と首が後ろへ折れ曲がり、ひっくり返って体が跳ねる様子は投げられた人形のようだった。


 彼女、手加減してたな。威力を上げて、一発目で防御ごと吹き飛ばすこともできたはずだ。たぶん、さっきのセリフを言いたかったんだろう。

 次はオレが言いたい。


 倒れている敵を確認すると、ズタボロの防護服の下に金属甲冑が見えている。2人ともかなりの大男だ。


 アイテムボックスを使って防護服を消すと、下には黒と銀の豪奢な金属鎧が出てきた。丸石が命中した腹の部分が少し凹んでいる。

 あの威力でも少ししか凹まなかったと言うべきか。


 首が折れて衝撃を受け流したおかげで兜には凹みがない。


「この黒いところミスリルね」

「おお、ミスリルと鉄の組み合わせか」

 塗装が少し剥げて薄緑の光沢が見えている。鉄板は塗装無しで銀色に輝いている。


 鎧もアイテムボックスの中へ消えると、出てきたのは世紀末覇者の手下のように筋肉モリモリで、立派なトサカのモヒカン男だった。2人ともお揃いの髪型だ。


「これがもし冒険者だったらAランク相当だったりしますかね?」

「見た目だけじゃ判断しにくいけど、AかBランクね」


 もう敵はいないようだ。

 昨日の今日だし、養蜂部隊が消えたことに皇国が気づくのはまだ先だろう。


 死体には女子も混じっていた。

 指揮官以外は若い奴ばかりだ。


 今回は使えそうな敵の装備は全部、というより燃えない装備を全部回収する。金貨とかも持っていた。それが何であれ等しく戦利品だが、なぜだか金銭に手を付けるのは割り切れなさを一層強く感じる。


「識別票とかは..持ってないのか」

「軍隊では個人にいちいち登録証を出さないわ」


 離れた場所に馬を止めているはずだ。

 放置すれば飢え死にするかもしれないので後で探す。


 10台の大型荷車に乗った巣箱を焼き払うのだが、これを楽しみにしていた。左腕の火炎銃がまるでビーム兵器なので早く使ってみたかったのだ。


 長さ数メートルもある中身が詰まった木箱だが、至近距離から振れば本当にビーム兵器のように反対側まで切断する威力だ。命中個所では激しい発熱が起き、木板が一瞬で燃え上がる。


 火炎ビームで岩をひと撫でしてみた。

 命中点の発光がまぶしくて目に悪い。

 オレンジのビームに撫でられた跡は、表面が溶けて赤い光の線となり、徐々に冷えて黒くなっていく。


 さて次。

 火炎ビームを左右に振りながらジグザグに下から上へ木箱を切断する。反対側まで貫通するオレンジ色の光が切断面に火を噴かせる。わずか数秒で高さ2mほどもあった木箱が崩れ落ち、燃え上がる焚火に変わった。



 言いたくないものも一緒に焼いた。

 それだけは灰も残らないよう超火力で完全燃焼させた。

 もうこの手の仕事はしたくない。


「エド君、大丈夫?」

「だいぶ慣れました」


 ぜんぜん慣れない。

 今回の状況は気分が悪すぎる。

 最高の状況だったけど。奇襲、殲滅には。


 鼻水まで出る。

 甲冑のおかげで顔を見られずに済んだ。拭けなくて困るけど。



 周囲に飛んでいる蜂もできる限り焼いて落とす。

 オレもファイヤーボールを放ってみた。ゴウッと巨大な火球が飛んで行き、燃えながら落ちる蜂は火球の航跡のようだ。


 甲冑の魔力ブーストのおかげで、火球を直径5mくらいまで広げてもまだ一瞬で蜂に火をつける火力がある。


 鬼蜂は魔法に反応するので、わざと群がらせて効率よく焼き払える。

 遠くて魔法に反応しない蜂はファイヤーストームで焼いてもらう。


 魔導甲冑を装着したアゼリーナさんは一発で半径100m近い範囲を焼ける。おまけに、周囲の木が燃え出しても彼女は気にしない。


『あとで消化するわ』とのことだ。

 我が災厄様は頼もしいなあ。


「ここまでにしましょう。魔力を半分くらい、使ってしまったわ」

「賊討伐はもう十分達成ですね」

「ええ」


 次は捜索依頼だ。

「近いし甲冑のままで、移動しましょう」

「了解です」


 車よりは甲冑の方がまだ目立たない。変な甲冑には見えるだろうが、旧帝国の遺産に詳しい者など滅多にいないし、バレやしないだろう。


 ピョーン、ピョーンと軽く跳ねながら進んでもほとんど疲れない。

 ザンッ、ザンッという足音に続いてビィーン、ビィーンと静かな駆動音が甲冑の中に響く。


 谷の雰囲気が変わってきた。緑で覆われていた山の斜面には岩肌が多くなり、山頂付近はそそり立つ岩の絶壁だ。


「ああ~~~っ!!あれ、ワイバーン!?」

「そうよ」


 ついに見たぞ。本物のドラゴンだ。亜竜でもドラゴンだ。

 超望遠で撮影だ。

 くうう~っ、異世界だ。


 翼竜のようなワイバーンが2頭、時々羽ばたきながら山頂より高く舞っている。


「おお~い!あんたら、オーガホーネットの中を抜けて来たのか?」


 ちょっと先にある岩壁の向こうから出てきたのは、エーリカ達の親パーティだった。話を聞いてみると、蜂のせいでワイバーン狩りどころじゃなくなっていたらしい。


 ロベルト父

「いやまいったぜ。来るときには蜂なんていなかったのによ、たしか、餌を仕掛けて3日目だったか、餌の肉に鬼蜂が群がって食い尽くしやがったんだよ」


「おお~..それはそれは」


 エーリカ母

「ね~え。せっかくこんなところまで来て3日も待ち続けたのに」


 エミル母

「新しい餌を仕掛けても私達まで蜂に襲われるし、この先は危なくて進めないし、戻れば蜂の大群だし、ずっとこの穴に隠れて退屈で死ぬところだったわ」


「無事でよかったです。オレ達はギルドから捜索依頼を受けて来ました。依頼者はリーザさんです。そしてオレは、エーリカ、エミル、ロベルトの知り合いです。隣はギルドの魔法担当、アゼリーナさんです」


 エーリカ母

「まあ、アンゼちゃん!来てくれてありがとう!」


 ロベルト父

「それにしても珍しい甲冑だな」

「いいでしょ、これ。隙間が無い特注品ですよ」

「だから蜂の群れを突っ切って来れたのか」


 さて、帰りはまた助手席に2人乗せて、壺には4人か...う~ん..あっ、甲冑を仕舞えばいい。


 帰りは、壺に全員乗せて飛ぶことにした。

 ポンと壺を出したら6人はすごく驚いた。

 搭乗口が開いたらもっと驚いた。


 8人は定員オーバーかもしれないが、甲冑は全部仕舞ったのでまあ平気だろう。


「ほんとにこんなのが動くか?」

「こんなに大きなのが全部魔道具だなんてちょっと信じられないけど」

「あ..この赤いの魔法の光だわ」


 入り口を閉めると内部の照明は、薄暗く赤い光だけだ。


『メイン魔導回路接続』

 ウォンッ


 LEDのような小さな光が多数点灯していく。


 白い多数の照明が、円形の内部にぐるりと点灯した。

「おおおっ?」


 顔の高さの全周が透明になり、外が見えるようになった。

「うわっ!何これ!」

「すごい...」


 内部にはヒュウウゥーンとかすかな音が響き始めた。


「それじゃ、行きますよ」


『補助エンジン始動』

 ウィン ウィン ウィン ウィン ウィン....


『魔導エンジン点火10秒前...2.1.フライホイール接続・点火』

 ガチン!

 ヒュオオオォ--ン


『壺、発進!』

 フオンッ


「「「 うおおおおーっ!! 」」」

「「「 うわあっ.... 」」」


 壺が垂直に浮き上がり、それからしばらくの間、乗客がどれほど驚いていたかは表現しきれない。


「エド君!なに今のセリフ!?カッコいい!後でわたしにも教えて!」

 アゼリーナさんには分かるかあ。

 カッコいいもん。

 あれに勝る発進シークエンスはない。


 森を飛び越え街を目指して壺が飛ぶ。

 せっかくの遊覧飛行なので景色を見ながゆっくり飛んでいる。最高速がどれくらいかはまだ試していない。


「ねえ、ねえ、もっと高く飛べないの!?」

「平地じゃこれくらいが限界ですね。あ、そうだ。もし大物を見かけたら狩りませんか?」


「おお!そいつはありがてえぜ!」

「全くだ。もう15日は経っただろ。手ぶらなんざありえねえ」

「獲物がいる場所は皆さんの方が詳しいでしょ。案内してください」


「まかせろ、まかせろ!空から探せるなんてよ、

 大物行くぜ、大物だぜーっ!ヒャッハーッ!!」


 1人だけテンションがおかしくなっている。

 ヒャッハーなんて言う人には見えないのに。


 壺の底を木の葉にこするまで高度を下げ、オレの索敵能力でブラックボアや熊を見つけた。狩ったのは肉がうまいブラックボアだけだ。熊肉の味は『普通?』だそうだ。狩りは乗客に任せて上から見物していた。


 壺や甲冑でも魔力探知できるが、それより詳しい識別はできない。性能は索敵能力の大幅な劣化版だ。似て異なる物かもしれない。


 養蜂部隊が使ったと思われる馬は森を越えてすぐに見つけている。馬車4台に、馬が20頭以上もいて、人間も数人いたので接近は避けた。


 街が見えてきた。

 その右側には、西の森の向こうへ夕日が沈みかけている。


「15日..いや、16日だな」

「ブルグンドか....何もかも皆懐かしいぜ」


「壺を目撃されたくないので、ここで降ります」


 *


 特に出迎えもない普段通りの街へ入り、Bランクの冒険者パーティ『ガルデ・ミスリル』は歩いて家へ戻った。


「えっ、もう戻ったの!?」

「遅くなってすまん!」


 感動の再開を邪魔したくはなかったが、連れて行かれるのを断ることもできない。


 リーザさんに抱きしめられた。

「エド君ありがとうっ!いいお嫁さんを紹介してあげるわね。すごくいい娘よ」

「いや、あの..」

 勘弁して!


 アゼリーナさんが助けてくれた。

「リーザ待って。エド君は既にわたしのモノ。おまけだけど、フェレーナにも食いつかれてる」


 この中では一番がさつそうなロベルト父ちゃんが援護、じゃなくて背中を撃ってきた。


「がはははは!何言ってやがる。

 エドなら女の10人や20人余裕で面倒みるぜっ。この色男め!

 俺の知り合いからも一番いい女紹介してやるからよ」


 大怪我していたエーリカを治療し、ゴブリンや大トカゲとの死闘を潜り抜けて3人を連れ帰っていたことが分かると、それはもう命の恩人のように感謝された。


「なんてこったい!!エドよ、女1人じゃ恩を返しきれねえ。

 おう、お前らも知ってる限りの胸のでかい女連れてこい!」


「おう!」

「まかせな!」


 第二婦人組のリーザとニーナが目を輝かせた。

「「任せてよ!!」」


 冗談じゃねえぞ。

 ハーレムなんていらんし、この父ちゃん達は胸しか見て無さそうだし。


 リーザとニーナが動いたらシャレにならん。

 うわ、他の母ちゃん達も全員やる気だ。


 オレ、絶対絶命かよ!?


《納屋45》

魔導甲冑の内装火器

石銃:ほぼストーンバレット。銃と言いながら銃身は無く窪みがあるだけ。

火炎銃:細長いファイヤーボール。こちらも窪みがあるだけ。

甲冑の素材は金属と石っぽい素材で、たぶん、破壊されると曲がらずに割れます。

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