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21.戦略級のショコラケーキ

《納屋21》


 ああっ!!


 馬鹿かオレ。一生の不覚だ。

 トドメ刺してアイテムボックスに入れりゃ良かったんだ。選択ミスで危険が激増したじゃないか。

その夜、熊よけスプレーを使った一戦を思い返して、敵を仕留めなかったことを激しく後悔していた。街中での戦闘だからと、周囲の目ばっかり気にして思考が硬直していた。


 横でフェレーナさんがよく眠っている。

 激しい夜の後なのにオレは眠れない。


 朝になった。

 防刃シャツを着て背中に杖を背負い、左腕にも杖を装着した。背中の方はアゼリーナさんから借りた長い高性能な杖で、左腕に付けたのは短いスティックタイプだ。ワンドだな。地球では世界的に超有名な、丸眼鏡の魔術師が使ってるようなやつだ。


 このワンドはザックが買ってくれた。オレが異世界へ来た初日、ザック達3人組と遭遇した。角ウサギに足を刺されて難儀していたザックに傷パッドや傷薬で血止めをしてやったのだが、その礼はウサギ狩りで稼いだ金でするとか言っていた。それがこのワンドになったわけだ。


 性能は指向性強化(弱)+威力1.1倍。スペックは大したことが無いように見えるが、オレにはありがたい。これなら長い杖を使わなくてもストーンバレットを一発玉として撃てるようになる。今後は街中でも常備だ。

 ザックのくせにいいセンスしてやがる。誰かに相談したんだろうな。


 フェレーナさんは冒険者ギルドへ出勤し、オレはゴブリン退治に向かう。

「いってらっしゃい。無理しちゃだめよ」

「大丈夫。痛いのは嫌だから慎重にやるよ」

「変な女に捕まっちゃイヤよ」

「あははは...はい」


 -伯爵家のブルグンド邸-


 北のゲート前に集合予定だが、その前に伯爵邸へ顔を出した。今日から街に戻ることは伝えていたが、すぐまた出かけるとは言ってなかったからな。


 1人で貴族屋敷に来るのはちょっと緊張する。

 門番に伯爵家の紋章入りブレスレットを見せて中まで案内してもらった。


「「エド様、お帰りなさいませ!」」

「イングリット、リディア、ただいま」

 本物のメイドさんのお出迎えですよ。本物でしかも戦闘メイド。護衛メイドと言った方が適切か。

 メイド服がちっともファンタジーじゃないのが残念だ。ヘッドドレスはいい感じだが、服が現実的すぎる。せっかくだからコスプレみたいなのを着て欲しいところだが、メイドを観賞しようという発想がないのだろう。

 ただ、スカートの中身は気になる。ダガーの数本は入っているに違いない。


「何か?」

「いえ、素晴らしい衣装につい見とれてしまいました」

「ありがとうございます?」

 いかん、見すぎた。どう思われただろうか。彼女らの表情は読めない。


 建物内を一通り案内してもらい、オレが使うことになる部屋を2つから選ばせてもらえた。ベッドは装飾が無駄に豪華だが弾力が足りない。やはり日本からマットレスを持ち込もう。


 伯爵の代理であるギルバートにショコラを買い取ってもらった。パブロックに売ったのと同じく4種類で、総額は金貨16枚。

「というわけで、今後は主にこの大きな塊を売りたいと思っています」

「承知しました。切り分ければ同じですし、伯爵も納得されるでしょう」


 チョコレートは溶かして菓子の材料にもなるので、メイドさん達に使い方を説明した。見本としてケーキやクッキーも提供する。オレの手製、なわけはなく、見た目がいい高級品を買ってきたのだ。


「お近づきの印にこれらをどうぞ。ショコラを使えば作れますよ。クッキーは屋敷の全員分あるので、後で守衛さんとかにも渡してくださいね」


 見たこともない菓子類を前にして、甘いものは別腹らしい女子はもちろん、ギルバートまでもが目を輝かせている。

 説明を聞きながら見本を食べてもらう必要があるだろうと理由をつけて、メイドさん達も同じテーブルに座ってもらった。本音は彼女らとも一緒にお茶したかったのだ。


 特にケーキは作りが凝っている。

ギルバート「見事ですな。これほど凝った菓子は王宮の料理人でも作れないでしょう。食べるのが恐れ多いくらいです。2人とも味だけでなく見た目もしっかり覚えてくださいね」

リディア  「こっ、これは無理。こんなの作れません」

イングリット「こんなに見事なお菓子なんて見たことがありませんよ。さすがにこれは本職の人じゃなければ無理では?」


「とりあえず、今は面倒くさいことは考えずに食べましょう。伯爵にはまた持ってきますから」

「本当に私たちまで食べていいのでしょうか」

 銀のフォークでチョコレート・ケーキを切るリディアの手が震えている。

「はう....」

「美味しい...」

 期待通り、いい反応だ。


「んん~~~っ..。はあ....絶妙な甘さ...生地も軽くて柔らかい....分かったわ。やたらと甘さを強調するのは、下品だということが。甘味とはこうあるべきなのよ。でもこれは、ショコラの仄かな苦みがあってこそなのかしら?」


「ん~っ。そうねえ。ショコラケーキの上品で繊細な甘さに比べたら、やたら甘いだけの砂糖菓子なんてもう欲しくなくなるわ」


 ギルバートが、オレには思いもよらない感想を漏らした。

「これはもはや、戦略物資と言った方がいいでしょう。敵対派閥を切り崩す武器になります。この菓子類も取引対象に加えていただけないでしょうか。ショコラがあれば作れるとしても、容易でないことは私にも分かります」


 ケーキは大量には持ち込みたくない。かさばって面倒くさいから。

「分かりました。ただ、ケーキは毎回は無理かもしれません。やはり、作れるようになってもらった方がいいでしょう」

 と言ってイングリットとリディアを見ると、2人は顔をひきつらせた。


リディア 「無理、無理、許してください。ギルバートさん、これはもう伯爵家の料理人の出番ですよ!きっと大喜びで飛びつくはずです!」


イングリット「クッキーはともかく、ケーキは難しそうです。この、パンでしょうか?こんなに柔らかい生地は見たことがありませんし、飾りつけはもはや芸術です。これを作れと言われる料理人が気の毒なくらいです。でも頑張ってもらうしかないですね」


 2人は何としてでも料理人に押し付ける気だ。


「ふむ。ケーキのレシピも提供しましょうか。今日は無理ですが後で調べてきます」

「よろしいのですか!願ってもないことです。あの、もしかして、金額次第ではショコラのレシピもお譲りいただけるとか?」

「あー、そっちはレシピだけでは作れないでしょう。『カカオ』をご存じで?」

「かかお、ですか?」


 発音がおかしい。謎翻訳を通した日本語ではなく生音声だ。

 ということは、仮にこの世界にカカオが存在していたとしても、この言語圏では知られていないことになる。


「カカオとはショコラの主原料になる木の実ですが、私にも入手できる伝手(つて)はありません。参考までに、後で色付きの絵を持ってきましょう」


 ケーキもレシピを渡すだけで作れるのだろうか?

 スポンジが無いみたいだし、クリームも無さそうだ。調べて自分で説明できるようにしておくか。


「是非お願いします。それでは菓子類とショコラケーキのレシピも追加という事で伯爵に話を通しておきます。詳細は後ほど詰めるとしましょう」


 ケーキが戦略級とかまったく想定外だった。まだ伯爵が急速に力をつけるような技術を提供する気はないのだが。

 伯爵の第一印象は良かったが、それはオレに利用価値があると思わているからだろう。万一、伯爵が悪徳貴族だったら、欲しい情報を引き出すための最低限の取引に留めたいと思っている。


「ではまた数日後に。ゴブリン砦を攻略したら戻ります」

「ご武運を」

「「エド様、行ってらっしゃいませ!」」


 イングリットとリディアはチョコレートクッキーの小袋をもらってからずっとニコニコだ。


 ***


 -ゲート前-


 オレ達野郎組が4人、猫耳さん達3人、エリカ達女子4人が揃った。合計11人。そのうち魔法使いは5人。ヒーラーは2人もいる。万全と言っていいだろう。


 ふふっ、オレも回復魔法を使える。アゼリーナさんはいい先生だ。あの部屋でのことは何故か記憶があいまいだが、かなり頑張ったはずだ。思い出そうとすると、甘く切ない気持ちと、恐ろしい不安感が同時に湧き上がってくる。二重の意味でどきどきして息苦しい。


 集まったみんなはいつもよりやる気に見える。

 猫耳さん達は顔になんか書いている。戦化粧っていうのかな。雰囲気が「戦士」だ。

 魔法使いのマリーとクロエが木の盾を持っている。矢が降る中、魔法で応戦する状況を想定しているらしい。

 ロンセルは鉄兜を持ってきた。それに金属板で補強された革鎧だ。これならゴブリンの攻撃など通らないだろう。

 ザックは金貨7枚で弓を新調したと言っている。


 オレもフルフェイス・ヘルメットを持っているが、できれば使いたくない。こんな物かぶったらファンタジーの雰囲気がぶち壊しだ。透明なポリカーボネート盾は使うつもりだが、これはいいんだよ。樹脂製って知らなけりゃ、不思議なカッコいいアーティファクトにでも見えるだろう。


 11人みんな軽装なので、他の冒険者に比べて歩くのが早い。水や食料その他、重いものはオレが預かっている。この人数ならまず道中の危険はないだろうから、最初の目的地までは武器のみ装備した軽装で歩く。


ケイト  「こりゃ楽ちんだわー」

ミシャーナ「行きはともかく、獲物を丸ごと持って帰れるのがな。なあ、エド...!」


 猫耳3人がなぜかオレに寄ってきてスンスンしだした。そしてオレの顔を見ると、嫌らしく、にちゃあと笑って尻尾でパシパシとオレの尻を叩く。

ミシャーナ「真ん中だな」

リニャータ「だにゃ」

ミャナーシャ「うん、間違いない」


 ミシャーナの姐さんが肩を組んできて、尻尾でオレの腰回りを撫でる。

「意外とやるなあ、エド」

 あーら、また匂いでバレてら。てことは、真ん中ってフェレーナさんの席のことか。


 なんだか3人のオレを見る顔が上気してるようだ。日本人の女子ならキャーキャーうるさいところだが、猫耳さん達の反応は違う。

 金色の目に普段は細い、縦長の瞳孔が今はだいぶ広がっている。これって、獲物を見る目だったりしないよな?


 ミシャーナの尻尾を撫でながら、騒がないでくれと頼んだつもりだった。

「穏便に頼むぞ」

「うん?どうだ、いい尻尾だろ。気に入ったか?」

「うん?ああ?」

 何?ニヤニヤする猫姐さんが怖いんですけど。


 エリカがさり気なくロンセルの隣に位置どった。長剣と大剣、2人とも剣士なので共通の話題があるようだ。ケイトが「あっ」って顔をしたが今は動かないつもりらしい。

 声を潜めてケイトに話しかけた。

「槍のケイトさんや、出遅れたかのう」

「うう、別にそういうわけじゃ」

「安心するがよい。ワシが協力してやろう。お前さんの方がお似合いじゃて」

「ほんとに?」

 半分冗談で言ったのだが、もし何か思いついたら協力してやるつもりではいる。


 * *


 歩き出してからも脳内マップでずっと周囲を警戒しているが、あの馬鹿どもは追ってきていないようだ。さすがに昨日のダメージからすぐ復活するとも思えないが。

 オレも目が痛かったので魔法屋に駆け込んで、解毒ポーションを買ってその場で飲んだ。だが、ほとんど効かなかった。トウガラシとかの主要な刺激成分は毒じゃないってことだ。

 手軽に解毒できるこの世界では、それが効かない刺激物はある意味厄介な毒物と言えるかもしれない。


 肺まで吸い込んでたみたいだし、さぞかし...微塵も気の毒になんて思っていない。ザマーだ。だが、しかし、次に現れるときは間違いなく殺る気(ヤルキ)MAXだろうなあ。

 早まって街中で仕掛けてこないかだけが心配だ。人気が無い場所なら今度こそ確実に仕留めてやる。


 * *


 巨木の森と平行に伸びる道を歩き続ける。ただ歩くのは退屈だから、オレは空へ向かってMPが空になるまで魔法を放つ。これを繰り返せば少しずつ最大MPが増えるし、威力も上がる。

 アゼリーナさんとの練習の成果か、回復魔法以外の自動詠唱じゃない「普通の魔法」も成功率が上がっていた。それでも数秒かかるが、以前なら歩きながらの魔力操作なんてできる気がしなかったのだ。


 ドーン  空高く上がった光点が大爆発を起こして空気を震わせる。


 途中からクロエがオレを訝しげに見ていた。

「....エドさん、いったいどれだけ魔力あるんですか?」

「うん?ファイヤボールなら10発分かな」

「でも、さっきからいろんな魔法を30発は撃ってますよね」

「ああ、回復してからまた撃ってるだけだぞ?」


 MPが完全回復するまで7分かからない。単純計算では9発分のMPだが、詠唱と詠唱の間隔を1秒空ければ、回復したMPを足して10発連続で撃てる。1分弱で1発分のMPが回復するのだ。

 普通の人間は完全回復までおよそ半日らしい。エルフであるクロエはもっと早いらしいが、それでもオレとは比ぶべくもない。


マリー   「あり得ない。別の世界から来たって話、信じたくなるわね」

クロエ   「さすがは我が弟子」

ミャナーシャ「エドは、使い放題」


 魔法を撃つのにも飽きたのでザックの新しい弓を借りてみた。

「うぐぐぐぐ...無理だ」

 すごい強弓だった。オレには半分も引けない。

「あっはっは。魔法使いに引けるほど甘くないぜ」


アドル 「エド、俺のを試してみろ。これならお前でも引けるかもしれん」

「うおおおおおお....くっ、無理だ」

 かなり無理しても、引いた右手が一瞬顔に付くのがやっとだった。

マリー 「エド君て生粋の魔法使いなのね。ちょとそれ、私に貸して」


「なんっ、だと..」

 オレが引けなかった弓を魔法使いのマリーは全部引いてしまった。ちょっと無理してるっぽいが、それでもオレとの差は一目瞭然だ。

「ね、わかったでしょ。最弱はエド君よ。この前の腕相撲はいったいどんなインチキだったのかしら」


「ま、まさか、ミャナーシャもこれを引けるとか言わないよな」

「もちろん、できる」

 杖を預かり弓を渡した。

 彼女は耳をぴくりとさせ、尻尾を往復させるのに合わせて、いとも簡単に弓を引いてしまった。まったく余裕そうだ。


「エド君、そんな顔しない。私たちが守ってあげるから」

「「「「(にゃ)あはははは」」」」

「くっ」

 笑う女子達にバシバシ背中を叩かれた。

「かわいい」

 ケイトさん、大人の男にそれ言っちゃダメ。


 川岸で軽く昼食だ。今回は川にエクスプロージョンを撃ち込んだりはしない。11人分の魚を獲るのは時間がかかりそうだから。

 デザートにソフトクリームを出した。

「ほら、アイスクリームの柔らかいやつだ。すぐに溶けて流れるから手早く食った方がいいぞ」

「にゃ!」

「うめっ」

「冷たい。甘い...」

 猫耳さん達がペロペロペロと無言で舐めだした。

「ああっ、エドさん。この世の物とは思えないです」

「こんなアイスもあるのね。んん~っ!何これ。本当にこの世のものじゃないのかも」


 今日の目的地は、前回と同じく山を少し登ったところにある絶壁だ。絶壁の下で夜営して、夜が明けたらゴブリン砦へ偵察を出す。


 -夜営-


 川沿いに山を登り、日が沈む前に絶壁の下まで到着した。空は夕焼け色だ。

 真夜中になったら交代で見張りを立てて寝るのだが、まだ数時間ある。


 1日歩いた後の冷えた缶ビールはうまい。

「これこれ、この味よ!」

「にゃ!?何にゃこのエール、うまいにゃ」

「おおお!エドーっ!こりゃうますぎるぞ。お前もう、あたしの嫁になれ!」

 ミシャーナが、がしっとオレの首に腕を回してきた。


 エリカとケイトは結構な酒好きのようだ。ビールを飲ませたらオレを見る目つきが怪しくなった。こいつら、また自分が誰を好きなのか忘れてないだろうな。


「エド、いいのか。いつもこんな高級酒振る舞って」

「はっはっは。気にするな。オレには格安で仕入れる伝手がある」


 夕暮れだったのが、ビールと焼肉であっという間に時間が過ぎ、星が良く見える夜空になった。あっちの方には花火でキャーキャー騒いでいる女子達がいる。

「必殺、火炎旋風!」

「ああっ!毛が焦げた。ミシャーナのバカ!」


 オレは男共と地味に線香花火をしながら話をする。

「なあ、砦とか作るくらいだ、ゴブリンにも頭がいいヤツがいたりするのか」

ロンセル「いるな。たまにシャーマンとか、ホブ・ゴブリンなんかが群れを率いていることがあってな、油断するとこっちがやられる」

 なるほど、やっぱりそういうものか。


「頭いいヤツもいるのなら、ゴブリンと人が仲良くなったりは?」

ザック 「そっか、お前の地元には魔物がいないって話だったな。一言で言えば、あいつらは敵だ。例外は無い。盗賊に例えるなら、ニヤつきながら人を殺すような一番タチの悪い連中と同じだ」


アドル 「エドよ、奴らは半端に知恵がある。不利になれば命乞いをしたりもするが、絶対に容赦はするな。そこで背中を見せたら死ぬのはお前だ」


 前回戦った感触から、そんなものだろうとは思っていた。しかし相手は人型生物だ。状況次第では殺すかどうか迷っていたかもしれない。


 この世界のゴブリンは敵。今はそう認識しておく。

 話が本当かどうか自分で確認すべき、などと考えるのはもっと経験を積んでからでいい。ついでなので、奴らの生態とか習性とか、思いつく限り質問した。


 暗くなってからときどき下を見ていたが、時間要塞がある場所に何も光は見えなかった。


「「「くらえ(うにゃ)ファイヤーボール!」」」

 シュボッ シュボッ シュボッ

 突然、火の玉の集中砲火を浴びた。

「うわっ!バカ!」

「何しやがるこのバカ猫共!」

「よろしい、ならば戦争だ」


 奴らには渡していない秘密兵器がある。大量の爆竹の束に火をつけてオレ達野郎4人が一斉に反撃した。


 パンパン!パパパン!パン!パパパパパパ!!


 そこいら中で爆竹がはじける。

「キャーッ!ちょっとあんた達、巻き込まないでよ!」

「ふっ、悪い子にはお仕置きが必要ですね」

「おいっ、そりゃ反則だろ!」

 オレ達の足元を本物のファイヤーボールが抉った。


「あ、やべ」

 ついに段ボールの火薬庫に直撃弾を受け、戦いはオレ達の敗北で終わった。

 途中、騒ぎにゴブリンが寄ってきたりもしたが、そんなものは瞬殺だ。


 そろそろ寝る時間だ。


《納屋21》

エクスプロージョン:火属性の爆裂魔法

 ダイナマイトくらいの威力。ビー玉サイズの白く輝く点がゆっくり飛び、射程限界に達するか空気以外の何かに接触すると爆発する。または、自分の意志で爆発させることもできる。飛ぶ速さは投石の半分くらい。絵的には光子魚雷。

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