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10.アイスクリーム

猫耳3人組の名前をようやっと考えました。

ミシャーナ 斧使い

ミャナーシャ 魔法使い

リニャータ 弓使い <--- 豚くさいって言ったのはこいつ

 山でゴブリンの巣を掃討した。依頼達成だ。ついでにボスオークを倒したり、途中で女子4人を助けたりして一緒に山を下りてきた。


 はたしてエルフと付き合える可能性はあるのか、エリカに聞いてみた。

「エルフって、エルフ以外の男に興味あるのかな?」

「冒険者同士なら普通に付き合うわよ。クロエはどうかしらね?あんまり期待できないんじゃない。あんた弱いし」

「分ってないね。オレの価値は腕力じゃないんだよ。そっちこそ腕力が売りなんて、女の子としてどうなんだ?」

「うるさい!女だって強い方がいいに決まってるだろ」

「焦ったら男口調になるのもどうかと思うぞ。あー、そっちが地か」

 ズドッ!

「ぐえっ」


 夕飯の準備だ。女子が4人もいることだし、いいところを見せなくてはならない。アイテムボックスからいろいろ出す。

「ここはオレに任せてもらおうか」


 まずは、アウトドアテーブルと折り畳み椅子。

「ほい、椅子な。こうやって開くんだ」

「何だこの棒は?鉄にしてはえらく軽いな」

「何の布?やたら丈夫ね」

「すごーい。便利~」


「これがテーブルだ。そっち側持っててくれ。こうやって足を広げるんだ」

「これもまた、軽い割りに丈夫だな」

「アイテムボックス持ちだとは思ってたけど、まさかテーブルまで入ってるとはね」


「エドは何でもありだからな」

「ああ、いちいち驚いてられん」


「なんか変わった人だとは思ってたわ。ぜんぜん冒険者っぽくないし」

「不思議な人だとは思ってました」

「こんな場所でテーブルと椅子で食事なんて、まるで貴族の野営ね」

 想定内の反応だ。


 この前の大猪の肉を3Kgくらい焼いて一口サイズに切ったやつを鍋で持ってきた。

「本日のメインディッシュ、ブラックボアの肉だ。味は付けてないぞ。このソースか、塩と香辛料を混ぜたやつを適当にかけてくれ」

「ちょっ、ブラックボアがこんなに!?」

「なっ、こっ、こっ、これ全部ブラックボアなの?全部食べちゃっていいの?」

「いいわけないでしょ!あたしが半分もらうわよ」

「ブラックボアなんて久しく見てませんよ」


「お、エルフも肉大丈夫なのか。そりゃよかった」

「エルフが菜食主義なんて誰が言ったんでしょうね。森の狩人なのに」


 焼き肉のタレさえかければ何の肉だろうが美味くなる。しかも、元々うまい肉ならその威力は絶大だ。これも期待通り高評価だ。

「これはどんな肉にも合う万能ソースだ」

「うっ、これは!1人で全部でも食べられそう」


「この肉は数日前にオレ達が倒したブラックボアだ。あんときは本当に死んだと思ったからな」

「あんた達そんなに強くないでしょ。よく無事だったわね」

「ミシャーナ達、猫娘3人組も一緒だったんだ。半分はエドの魔法で倒したようなもんだが」

「それに、この肉はエドが1人で倒した別の大猪だがな」


 女子4人の視線がオレに集中する。脳筋女もオレを見る目が変わったようだ。


「俺達が倒した方もエドが大ダメージを入れたんだぞ。ウインドカッターを目前で放ってな、その一発でも倒せるくらいのすげー威力だったぜ」

クロエ 「それ!気になってました。変わった呪文を使ってましたよね」

マリー 「うん、私も気になってた」

 やはり魔法使いの2人は気づいていたか。


「一回やって見せよう」

「’&%##&()(’&&$”{‘@」

 空へ向けてウインドカッターを放った。


マリー 「音が違う!すごい威力じゃない!?」

クロエ 「知らない呪文..。私が知らないなんて、まさか」

 耳長さんが考え込んでぶつぶつ言っている。


 ペットボトル入りの水。

「ほい、水な。冷たいぞ~」

「何だこりゃ?ガラスみたいなのに柔らかいな」

「何この容器?軽いし蓋がしっかり閉まるよ」

「湧き水みたいに透き通ってる」

「そりゃ、湧き水だし」

「冷たくてうめ~」

「まだ腹いっぱい飲むなよ。冷たい酒もあるからな」


  缶ビールを出した。こんな場所で酔っぱらう奴がいても困るので350mm缶を1本ずつだ。空き缶もペットボトルも後で回収する。

「ほい、冷たいエールだ。容器が気になるかもしれないが、とりあえず乾杯しようぜ」


 こういうのはザックの出番らしい。

「よし、まかせろ。え~、今回は俺達もエリカ達も無事に依頼を達成した上におまけの収穫もあった。我らの楽しい冒険者生活と、まだ見ぬ一攫千金に、乾杯~~~」


 初めて飲む冷えたビールだ。現地のぬるくてまずい安酒とは比較にならないだろう。しかもいい具合に喉が渇いている。一口飲んだだけで、皆ここが無法の荒野だとすっかり忘れてしまったようだ。そんな顔されてもお代わりは出さないぞ。


「ちょっとこれ!美味しすぎるんですけど」

「お~、何だこれ、しゅわしゅわしてるぞ!」

「まだこんなものを隠し持っていたとは」

「もう、ぬるくて薄いエールなんて飲めなくなりそう」


「あたし、この人でもいいかな」

「ダメですよ?この人は私に一目惚れなんですから」

「釣られない、釣られない。わたしはそんな安い女じゃないわよ。...でも、これをあと3本飲めるなら考えても」

「あんた達、安いわねえ。私なら、これに加えて毎日ショコラが出るくらいじゃないと」

 一部の女子が獲物を狙う目でオレを見ている。


 粉を溶かしただけのコンソメスープ。少しばかり野菜を刻んで入れてある。サラダもある。

「ほれ、サラダに暖かいスープもあるぞ」

「なんて贅沢な」

「ほんとに貴族の野営みたい」


「パンは自前のを出してくれ。スープがあれば平気だろ。硬くてまずいパンを抜きにして冒険者の野営とは言えないからな」

「なんだそりゃ」

「考えてもみなかったが、たしかに」

「事実だけど、それは悲しい事実よ」

「パンも出してくれていいのよ?」

「エドのアイテムボックスからは何でも出てくるからな」

「四次元ポケットじゃないぞ」

「「「「「 ?? 」」」」」


 最後はアイスクリームだが、これは女子にトドメを刺しそうな気がする。

「酒も肉も、もう無いな。最後はデザートだ。冷たくて甘いぞ~」


 男共は少し固まったがすぐ正気に戻って、うほ~っで感じで大喜びだ。

 それよりも女子の反応が尋常じゃない。一口目で目を丸くして数秒ほど固まった。二口目からは、4人とも一口ごとにトリップしている。こりゃもう、食べ終わるまで帰ってこないな。


 出したのはちょっと高級なやつだ。あまりにも反応が面白いから、次はソフトクリームも持ってこよう。


 従兄の娘が5歳頃に初めてアイスクリームを口にした時もしばらく固まっていたな。だがその時は正気に戻ったら普通にがっついていた。

 砂糖すら貴重な世界で育った女子にアイスクリームは刺激が強すぎたようだ。昨日オレからせしめたショコラも超貴重品扱いで1日1個で我慢するとか言ってたし。


 正気に戻った女子達のオレを見る目が、..いや、まだ正気じゃないな。最後はオレを取って食う気か。


-通りすがりの馬車-


ジゼルマイン「なんじゃあれは?」

伯爵   「冒険者のようだが、こんな場所で椅子にテーブルとは奇妙な」

アゼリーナ「ん~、あれエド君、じゃない?」

伯爵   「あの大荷物を冒険者が運ぶわけがないな。となると、あの中の誰かがアイテムボックス持ちか」

ジゼルマイン「なるほど。さすがはフリントロック。街へ戻ったらすぐさま招待状を出さねば」


「あの女共の様子...まさかとは思うが、妾も知らない美味を食しているのではあるまいな。

 伯父上!」


「寄り道はせぬぞ」



 ***



 助けたお礼にと、耳長さんに普通の魔法を教えてもらうことになった。


「先生、分かりません!」

 魔力の流れを感じる、というのがさっぱりわからん。


「では、分かりやすいように私の魔力を流してみましょう。こう両手をつないで魔力を循環させます」

 向かい合って両手をつなぎ、またも見つめ合っている。ごっちゃんです。


「では、いきますね」

「ひうっ」

「え?」

「お~、エドを瞬殺とはさすがエルフ」

「あちゃー、伸びちゃったね。あんた、手加減した?」

「ん~、普通に流しただけですよ?」

「あんたの普通は、普通より強力だからね」


 オレは気絶した。気が付いたら膝枕(ひざまくら)されていた。

 流れ込んだ魔力にオレの意識が押し流されてしまったらしい。魔力と精神は相互作用する。普通は自分の意志で魔力の流れを作るのだが、今回はその逆になったのだ。地球人だし、こんなのに耐性なんてない。


「何というか、ほぼ無抵抗に魔力が流れた感じです」

「ええ~?そんな人がいるなんて聞いたことないよ」

「あれだけ魔法を使えるのに、ありえん」

「別世界から来たオレは普通の人じゃないと思うぞ」

「何のことか分からないですけど、もう一回やってみます?」

「もちろん。何度気絶しようとも、この手は離しません!」

「それでこそ私の弟子です。今度は少しずつ流してしてみましょう」


 少しづつ流れを強くしていき、意識を持っていかれそうになったら少し弱める、というのを繰り返した。数回ぶっ倒れて、その度に膝枕である。

「大丈夫ですか~?」

「師匠の膝が気持ちいいです」


 苦労?の甲斐あって感覚をつかめた。なるほど、これは集中が必要だ。意識を押し流そうとする魔力を感じるのは簡単だが、逆に自分の意志で魔力を流そうとしても、ほとんど何も感じない。例えるなら、ゆっくり手を動かして空気の存在を感じるようなものだ。集中、集中...。


 明鏡止水。

 雑念を払い、呼吸はゆっくり静かに。

 魔力を手のひらに集める。


「......ファイヤーボール!」

 ボヒュッと、火の玉が空へ飛んだ。


「おめでとうございます!」

「師匠!やりました!」

 抱き合って喜ぶ師匠とオレ。何故か他の女子が胡乱(うろん)な目で見ている。


 しかし、難しい。

 集中に4秒以上かかるので、まだまだ自動詠唱の方が早い。おまけに、横から声をかけられただけで失敗する。さらには、圧縮しようとか考えるだけでも雑念になって失敗するか威力が落ちる。

 魔力の流れを体内で圧縮しようとしても効果はなかった。圧縮するのは発動した魔法でなければならないようだが、微妙な感覚に集中するために発動時のイメージを作る余裕が無い。

 自動詠唱とは使い分けだな。


 「火炎弾、炎弾、火の玉」のどれでも発動した。自分の中で意味が明確な言葉なら何でもいいようだ。なので一番短い「炎弾」を使うことにした。慣れたらMPが空になるまで速射できるはずだ。今のMPは36なので、7連射のすごい瞬間火力になるぞ。

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