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風の想い人  作者: 北見海助
第二章 恐怖の象徴編
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九十八話 『結界師』美羽&紗奈香VS『開花』の虹目

遅くなりすみません。

前回の最後の時刻なのですが、話に矛盾が生じていたため、午後7時15分から午後6時50分に訂正しています。

「薄い記憶の中で想像して転移の魔法を使ったのが正解だったようだな、数年振りに表世界に姿を見せたようだな『結界師』美羽」


この言葉を言った瞬間、美羽は強度抜群で草原を囲うように結界を張ることを決意して行動に移る。


五重結界


規模的には銀世界(シルバーワールド)クラスの魔法を先ほどの炎熱結界を作った後にこれだけの魔法を使えることに紗奈香はとても驚いた。だが美羽はそのようなことを気にしないかのように静かに紗奈香に話しかけた。


「良い紗奈香。私は結界の魔法だけで異名が付いたのだけど、攻撃魔法は努力しても適正はなかったみたいで使えないの。だから紗奈香には出来るだけ時間を稼いで逃げられないように魔法を多く使わせてほしいの。私は結界しか張れないけど魔力は後でも渡すことはできる。だけど味方が居ない1人の『開花』はそれが出来ない」


「魔法使い対魔法使いなら魔力の総量は戦闘の最後で勝敗の明暗を分ける重要なもの。それに二重起動なら集中力が試される」


紗奈香は次に美羽が言いたいことを予測して話して見せた。それを美羽は分かったのか頷くことで紗奈香の推測を肯定する。両手に起動が終わった魔法陣を展開する。右手には直径と長さが10センチの水弾を十発飛ばす魔法に左手からは長さ30センチの氷柱を紗奈香が左手を握るときに生えてくる。


「小賢しい」


虹目は転移の魔法陣の起動を一旦中止にして並列起動していた魔法陣を展開する。その魔法陣には先ほどの炎の魔法弾を上手に紗奈香の氷柱と水弾をぶつける。その瞬間一気に水弾は蒸発し氷柱は氷から水に変わり溶けていく。白い蒸気が発生する中で虹目は追い打ちのように同じ魔法陣を両手で起動しては展開させて撃っていく。だがその攻撃を阻むのはやはり美羽だった。


炎熱結界


何十回も着弾しても一向にひびが入らない強固な結界は15年以上前から変わっていなかった。


それを見て虹目は攻撃は不意を突かない限り通らないのかもしれないと、早く転移の魔法陣を起動しなければならないと焦り始めた。


その焦りは昔、美羽は『破壊者(ブレイカー)』とのコンビで守り担当をしており、攻撃しても結界の守りを突破できないと『破壊者(ブレイカー)』とは別の意味で恐怖し、どうにか突破できないものかと考えて案が浮かばずに焦った記憶が残っていた。特に『結界師』の異名は生き残った部下からの話を聞いて軍師として作戦を変更せざるを得ないと考えたあの時の焦りと一緒だった。


相方が変わっただけなのに不味すぎる。この状況では、あの遠距離の攻撃魔法が厄介すぎるな。もしかしたら相方が破壊者(ブレイカー)だったほうが戦いやすいのかもしれないな


もう事実は事実と切り替えて虹目は再び転移の魔法陣を再び展開始めたが考えている間に今度は無数の水弾が紗奈香方面から飛んでくる。蒸気の色が薄くなってはいたが完璧に虹目を捉えてはいなかった。


虹目の頬から血が流れ始めた。完全に避けたはずだが避けきれてはいなかった。虹目は軽く舌打ちをして顔をしかめた。


さっきの十発は当たれば良いの精神だった。本命はなんだ


そう考えても全く分からず虹目は紗奈香と美羽に手こずってしまい、攻略の糸口が見えて来なかった。だがそこは虹目、糸口はないものの魔法陣を展開しながら炎と水魔法で攻撃及び迎撃をする。さらに転移魔法陣を少しずつだが起動することもでき泥沼のなか50分は経過した。


ーーーーーーーーーー


紗奈香と虹目はもうすでに魔力が5分の4を下回り枯渇し始めていた頃、泥沼を変えるため紗奈香は大博打にでた。


その魔法の名前を氷の地面(アイスフィールド)


範囲は虹目付近と狭いが地面には氷柱が何本もたっており虹目の炎魔法の影響もあるが地面は辺り一面水浸しになっていたお陰で効率良く地面が凍りついた。


「まぁくるだろうなとは思っていましたよ」


そのような虹目の足を凍らそうとする魔法を使ったがなんと虹目はその魔法を推測していたのか足に自身の炎魔法陣を展開させて凍りつくのを防いでいた。


その魔法を見て虹目はある推測をたてて質問する。


「貴方が『氷結の姫』ですか」


「いいえ違いますよ。だって私よりすごい魔法使いなんかあの国にはまだまだいますからね」


良くそんな嘘を声色ひとつ変えなくて言うよ、全く。レストムでしたことは貴方が当事者のなのに。それよりもあの言い方は、百戦錬磨の言い方だよね。よくこんな化け物を育てたものだよね


想っていても口には出さない美羽だったが心の中ではこんなことを考えていた。


「まぁそう言ったことにしときましょうか」


虹目はやっと魔法陣の起動が終わったのか自分と相手の魔法の攻撃範囲の間合いを図りなおかつ、二人の隙を伺っていた。


そしてその時は訪れた。


博打に失敗した紗奈香は気を取り直して足止めプランに思考を変えて氷柱の魔法陣を展開する。地面から無数の氷の柱が表れて虹目も躱していくがその攻撃の最中についに起動していた転移の魔法陣を展開する。そこからの行動は速かった。


「生きていたらまた会うかもしれませんね」


そう言い終わると同時に虹目の足元には転移魔法陣によって自身の体を飲み込ませて一瞬で消えていった。


「ふぅー」


戦闘疲れなのか紗奈香は倒れるように美羽に持たれかかった。冷静になった美羽はこんなことを紗奈香に質問する。


「ここはどこだろ」


「どこだろね」


紗奈香は小さく息をはいて自分の足で立つと辺りを見回してから空を見上げた。


「あれっ?空がかなり黒いですよ」


「あっ……本当だ」


二人が言う通り空は月も星も何もかもが黒雲に飲み込まれていた。


「これは一雨来そうだね」


美羽はそう言うと前に進むために歩き始めた。


時刻は午後7時45分を過ぎていた。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

次回『風の想い人』九十九話は12月23日に投稿する予定です。


次回もよろしくお願いいたします。

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