九十七話 上野虹目が開花と呼ばれた理由
遅くなりすみません。
辺りは一面暗くなり雲一つない星空が、とても光輝いているそんな場所に美羽と紗奈香が転移魔法陣で転移させられていた。
「ここはどこだろ」
周囲を見渡しながら自分が知っている記憶を必死に思い出そうとしている紗奈香は目の前にいる人に注目した。
「まさか緑目を押しのけて入れ替わるとは思いませんでしたよ。非常に驚きました」
上野虹目はそう言って転移者の方を見る。ここは首都魔京の北部にある森の中にある木が生えていない草原にいた。
「開花の虹目さんが相手とはね。覚悟していたけどさ、まさかここで戦うとは思いませんでしたよ」
美羽はテツの読みに呆れて薄い笑みを浮かべて返事をしているが仮面で他の人には誰にも見えてはいなかった。そんな美羽は虹目が開花と呼ばれている理由を知っていた。
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かつて上野家はこの地域を支配していた風雲家の譜代家臣の一家だった。だが先代は同じく譜代家臣の飯田家を慕っており主君の風雲家当主とは仲が良くなかった。
そのような状況の中で虹目は飯田家の長男である正則と幼馴染であり遊び相手だった。この後『風雲の悪夢』では飯田側で上野家は参戦しその先代の後を継いで今の虹目があるのだが『開花』と呼ばれたのには二つの理由があった。
一つ目は飯田正則と幼馴染であるからこそ二人の実力の比較をつけたときに彼の成長が遅咲きだったことを意味してこの異名になっている。
また二つ目は彼が転移魔法陣を使えるようになり魔法の才能が『開花』したという意味でつけられた異名でもあった。
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そのようなことを考えていると虹目から炎の魔法弾がとんでくる。それを見て美羽は紗奈香の方を見るが彼女は頷くことと魔法陣を起動すること意外は何もしていなかった。それを見た美羽は元々構えていた魔法陣を展開して対応する。
炎熱結界
赤い色をしたうす透明色の結界が二人の前に現れる。それを見た虹目の顔は自分の記憶が正しかったのだと笑顔になった。そして魔法陣を起動しながら話かけた。
「薄い記憶の中で想像して転移の魔法を使ったのが正解だったようだな、数年振りに表世界に姿を見せたようだな『結界師』美羽」
虹目の顔は二人の魔法使いを巻き込めたことに喜びを感じ、帰るための転移魔法を展開させようと再び魔法陣を起動させるのであった。
時刻は6時50分を過ぎようとしていた。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
次回『風の想い人』九十八話は12月20日に投稿する予定です。
少しずつ誤字や抜けを修正しています。ですが修正が足りないところや修正をしていない所も多くあるので気を長くして修正されるところをお待ちください。いつも迷惑をかけてすみません。
もうすぐ百話に突入しますのでいつもより気合いを入れて今後も更新していくので、次回からもよろしくお願いいたします。




