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風の想い人  作者: 北見海助
第二章 恐怖の象徴編
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九十六話 グリーンアイVS反撃

それから15分は経過したが、時成は一刀流でも新中黒尾の技術と能力の壁に時成はなす術がなく刀をぶつけ合うかカウンターを貰い続け、いつの間にか彼の体からは大小様々な斬り傷が数十ヵ所つけられていた。そして今もなお休む間がなく時成の血は流れ続けていた。


それでも時成は少しずつ黒尾と戦う上で攻撃の緩急の感覚を掴み始めていた。


能力の細かい使い方がいつもより上手に使えている気がする


普通に攻撃する上ではかなり大きい反撃技が返ってくることを覚悟しなければいけないが、瞬発力で攻撃の速さにメリハリをつければ反撃されにくいことが一連の攻撃の流れでわかってきた。それは黒の殺し屋(ブラックキラー)とまで呼ばれた人達の奥義に近づきつつあった。まぁ本人の時成は全くと言っていい程気がついてはいないが。


時成は右上から振り始める瞬間に能力の身体強化を最大出力で加える。だがそれは黒尾も分かっていた。


「甘いな」


そう言うと、勢いが失くなってくる攻撃に黒尾はバックステップで避けると振り切る時の無防備な時成の姿を見て右上から左下へ刀を振り下ろした。


「うぉーー」


時成は振り切った時の勢いを失くしながら少ない動作で刃を反転させ攻撃する。そして能力を全力で使う瞬間、髪の色が緑色に変色した。その瞬間、時成の刃は黒尾の薙刀の刃の根元へぶつかった。その後、薙刀からは刃の部分が失くなっていた。


よくよく考えてみると彼と刃を交差させる時はいつも刃の付け根であった。時成の攻撃の意図が今になってようやく彼の狙いが分かったがもう遅かった。


「くっ……そっ」


そう呟いた瞬間、彼は距離を詰めていた時成によって気絶させられていた。


「少しの動揺と少しの隙で勝敗は常に決まる。それがよく分かる勝負だった。はぁーつかれた」


そう言うと時成はポケットに入っていた最後の黒いロープを投げて新中黒尾を拘束してから、弥生の方へ向いた。


そんな時成は赤い血を流して、見るだけで分かるくらいにふらついていた。それでも弥生は勝った時成に駈け寄って回復の力を使いながら背後から抱きしめた。


「折角、気に入って買った可愛い服が台無しだぜ、全く」


力失く言う時成は抱きつかれたままふらふらと地面に膝をつけながら座った。


「別にいいの。こんな服よりも買えないものは沢山あるから」


弥生は時成の耳元でそう言いながら時成を治していく。


嬉しそうに涙流す弥生を見ながら、覚束ない足取りで二人の方へ歩いて行くソーキは、守りたかったのはこの子達の笑顔だったことを再び思い出した瞬間だった。


時刻は午後7時45分を過ぎていた。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

次回『風の想い人』九十七話は12月16日に投稿する予定です。

次回もよろしくお願いします

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